戦時教育令施行規則（抄）（昭和二十年五月二十二日文部省令第九号）

　第一条　戦時教育令(以下令ト称ス)第三条ノ規定ニ依ル学徒隊ノ組織編制ハ左ニ依ルモノトス

　一学校毎ニ組織スル学徒隊ハ左ニ依リ之ヲ組織ス

　（イ）学徒隊ハ原則トシテ学部、学科、学年、学級等ヲ単位トシテ之ヲ組織ス但シ必要アルトキハ特別ノ組織ヲ為スコトヲ得

　（ロ）学徒隊ニ学徒隊長ヲ置キ学校長ヲ以テ之ニ充ツ

　（ハ）学徒隊ハ必要ニ応ジ大隊、中隊、小隊、班等ニ之ヲ分チ其ノ長ハ教職員及学徒ノ中ヨリ学徒隊長之ヲ命ズ

　二　地域毎ニ組織スル学徒隊ノ連合体ハ左ニ依リ之ヲ組織ス

　（イ）全国学徒隊ハ地方学徒隊ヲ以テ之ヲ組織シ其ノ隊長ハ文部大臣ヲ以テ之ニ充ツ

　（ロ）地方学徒隊ハ地方行政協議会区域内ノ大学高等専門学校学徒隊及都道庁府県学徒隊ヲ以テ之ヲ組織シ其ノ隊長ハ当該地方行政協議会ノ会長タル地方長官ヲ以テ之ニ充ッ

　(以下略)

　（ハ）都道府県学徒隊ハ都道庁府県中等学校学徒隊、都道庁府県青年学校学徒隊及都道庁府県国民学校学徒隊ヲ以テ之ヲ組織シ其ノ隊長ハ当該都道庁府県ノ長官ヲ以テ之ニ充ツ

　(以下略)

　（ニ）郡市青年学校学徒隊及郡市国民学校学徒隊ハ夫々当該郡市(東京都ノ区ノ存スル区域ニ在リテハ区、北海道及樺太ニ在リテハ支庁)内ノ青年学校学徒隊及国民学校学徒隊ヲ以テ之ヲ組織シ其ノ隊長ハ夫々当該郡市内ノ青年学校長若ハ国民学校長又ハ地方事務所長(東京都ノ区ノ存スル区域ニ在リテハ区長、北海道及樺太ニ在リテハ支庁長)ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ

　（ホ）各市町村長ハ夫々関係学徒隊ノ名誉隊長又ハ顧問トシテ地方長官之ヲ委嘱スルコトヲ得

　（ヘ）盲聾唖学校学徒隊ハ都道庁府県学徒隊ニ之ヲ編入ス

　（ト）専門学校、中等学校、国民学校等ニ準ズル各種学校ノ学徒隊ハ夫々其ノ準ズル学校ノ例ニ依ル

　三　職場毎ニ組織スル学徒隊(以下職場学徒隊ト称ス)ハ左ニ依リ之ヲ組織ス

　（イ）二以上ノ学徒隊ノ一部が同一ノ職場ニ挺身シタルトキハ其ノ職場ヲ単位トシテ学徒隊ラ組織ス

　（ロ）二以上ノ学徒隊ノ全部が同一ノ職場ニ挺身シタルトキハ其ノ職場ヲ単位トシテ学徒隊ノ連合体ヲ組織ス

　（ハ）二以上ノ学徒隊ノ一部及全部が同一ノ職場ニ挺身シタルトキハ実情ニ応ジ其ノ職場ヲ単位トシテ学徒隊又ハ学徒隊ノ連合体ヲ組織ス

　（ニ）職場学徒隊ニ隊長及副隊長ヲ置キ隊長ハ当該職場ニ挺身中ノ学徒ノ属スル学校ノ学校長ノ中ヨリ、副隊長ハ当該職場ニ挺身セル教職員ノ中ヨリ、大学高等専門学校ノ学徒ヲ含ム場合ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ場合ニ在リテハ当該職場ノ所在地ノ地方長官之ヲ命ズ但シ大学高等専門学校ノ学徒数五十人未満ナルトキハ当該職場ノ所在地ノ地方長官之ヲ行フモノトス

　（ホ）職場学徒隊ヲ組織スル各学校ノ学校長ニシテ隊長又ハ副隊長ニ非ザルモノハ学徒隊参与トシ学徒隊長ト密接ナル連繋ノ下ニ当該学徒隊ノ指導監督ニ参与スルモノトス

　（ヘ）職場学徒隊ニ在リテハ職場トノ密接ナル連繋ヲ保チ学徒ノ指導ニ遺憾ナカラシムル為学徒隊長ハ当該職場ノ幹部職員中適当ナルモノヲ当該学徒隊ニ嘱託スルコトヲ得

　（ト）職場学徒隊ハ都道庁府県学徒隊ニ之ヲ編入ス

　（チ）一職場ニ挺身スル学徒隊ガ一学校ノ学徒隊ノ全部又ハ一部ノミナル場合ニ於テハ（ヘ）及（ト）ノ適用ニ付テハ其ノ学徒隊ノ全部又ハ一部ヲ以テ当該職場学徒隊ト看做ス

　第二条　左ノ各号ノ場合ニハ令第三条ノ規定ニ依リ職場学徒隊ヲ組織セザルコトヲ得

　一挺身スル学徒五十人未満ナル場合

　二挺身スル期間三十日未満ナル場合

　三其ノ他文部大臣又ハ地力長官ニ於テ職場学徒隊ヲ組織スル必要ナシト認メタル場合

　第三条　令第三条ノ規定ニ依ル学徒隊ノ教育訓練ハ左ノ事項ニ重点ヲ置クモノトシ其ノ指導監督ニ関シテハ大学高等専門学校ノ学徒隊(職場学徒隊ニ属スル場合ヲ含ム)ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ノ学徒隊(職場学徒隊ニ属スル場合ヲ含ム)ニ在リテハ当該学校ノ所在地ノ地方長官之ヲ行フモノトス

　一軍事教育ニ関スル事項

　二防空防衛ニ関スル事項

　三生産技術ニ関スル事項

　四其ノ他戦時ニ緊要ナル教育訓練ニ関スル事項

　第四条-第八条　略

　第九条　文部大臣特別ノ必要アリト認ムルトキハ令第四条ノ規定ニ依リ国民学校、盲学校、聾唖学校、青年学校、中等学校、師範学校、青年師範学校、高等師範学校、女子高等師範学校、臨時教員養成所、実業学校教員養成所、専門学校、高等学校又ハ大学ニ関スル文部大臣ノ定メタル規程又ハ認可シタル学則ニ拘ラズ左ノ各号ノ措置ヲ為スコトアルベシ

　一教科課程、学科課程又ハ教授及訓練課程並ニ修練課程ニ付其ノ一部ヲ欠キ若ハ重点的ナル取扱ヲ為シ又ハ授業日数ヲ短縮スルコト

　二　一定期問内ニ修業年限又ハ在学年限内ノ所要課程ヲ集約シテ課スルコト

　三　一定期間ヲ限リ学校ニ於ケル正規ノ授業ノ停止ヲ命ズルコト

　第十条　授業料ヲ徴収セル学校正規ノ授業ヲ停止シタルトキハ授業料ニ代へ授業料相当額ヲ超エザル限度ニ於テ教育訓練ニ要スル経費ヲ徴収スルコトヲ得公立又ハ私立ノ学校ニ於テ前項ノ経費ノ増額ヲ為ス場合ニハ管理者又ハ設立者ハ文部大臣又ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ

　第十一条　学校長ハ最高学年ニ在学スル学徒ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付令第五条ノ規定ニ依ル卒業(之ニ準ズルモノヲ含ム)ノ認定ヲ為スコトヲ得文部大臣ノ指定スル専攻学科ヲ修ムル者ニシテ文部大臣ノ定ムル期間内ニ当該学科ニ必要ナル課程ヲ修メタルモノニ付亦同ジ

　一　徴集、召集等ノ事由ニ因リ軍人(陸海軍ノ学生生徒ヲ含ム)ト為リタル者

　二　戦時ニ緊要ナル要務ニ挺身シテ殉職シ若ハ傷痍ヲ受ケ修学困難ト為リタル者

　前項第一号及第二号ノ者ニシテ特別ノ事由アルトキハ最高学年ニ在学セザル者ト雖モ学校長ハ文部大臣ノ承認ヲ受ケ卒業(之ニ準ズルモノヲ含ム)ニ付特別ノ認定ヲ為スコトヲ得

附則

　本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

　本令施行ノ際現ニ動員中ノ学徒ハ本令ニ依リ挺身セルモノト看做ス

　学徒勤労令ニ規定スル学校報国隊ハ当分ノ内令第三条ノ規定ニ依ル

　学校ニ於ケル学徒隊ノ一部又ハ全部ト看做ス