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2部   文教施策の動向と展開
第9章   教育・文化・スポーツの国際化に向けて
第4節   人づくり等に貢献する国際協力
2   国際機関を通じた協力



(1) ユネスコ事業への参加・協力

我が国に対しては、開発途上国からの、人づくりに対する協力の要請が増大している。文部省では、開発途上国の人づくりに対する協力のため、外国人留学生の受入れやユネスコ等の国際機関を通じた協力等を実施するとともに、工学、農学、医学、教育学の各分野ごとの「開発援助大学間等協議会」の設置、国立大学における国際開発援助関係の研究科等の設置、(財)国際開発高等教育機構(FASID)の開発援助分野の人材養成事業への助成、国際協力事業団(JICA)の技術協力事業等を通じた専門家等の派遣(平成8年度568人)や外国人受託研修員の受入れ(同年度446人)への協力等を行っている。

また、文部省では、平成7年12月に「時代に即応した国際教育協力の在り方に関する懇談会」を開催し、8年6月に、開発途上国に対する教育協力を効果的・効率的に推進するための基本的方向や方策等について報告を取りまとめた。その中では、教育協力に対する教育関係者の意識の醸成の必要性を指摘するとともに、関係機関との連携・協力の強化、教育協力のための事務、情報収集・活用体制の整備、国際協力センター(仮称)の設置、教職員の派遣の促進、開発途上国からの研修員受入れ体制の整備、開発援助人材の養成等の重要性が記されている。これを踏まえて、9年4月、広島大学に教育開発国際協力研究センターを設置するなど、教育協力を推進するための施策を実施している。

2-9-7 我が国が協力しているユネスコの主な事業

「アジア太平洋地域高等教育会議」(国連大学:東京)

ユネスコを通じた識字教育協力

ユネスコの推計によると、1995年(平成7年)の世界の成人非識字者の数は8億8,500万人で、15歳以上の人口の23%が読み書きができない。男女別に見ると同年の非識字率は成人男性16%、成人女性29%であり、女性の非識字者数は男性の非識字者数の2倍近くになっている。また、地域別に見ると非識字者の約70%はアジアに集中している。なお、世界の識字率は1990年から1995年の5年間で約2%上昇していると見られている。

非識字の問題の解決は、地球的規模で取り組むべき緊急の課題であり、1990年(平成2年)の「国際識字年」を契機として、ユネスコ等の国際機関において、識字普及のための各種の協力事業を実施してきている。

我が国は、ユネスコの教育協力事業への参加・協力、ユネスコへの識字教育信託基金の拠出、(財)ユネスコ・アジア文化センター(accu)による事業等を通じて、アジア・太平洋地域における識字の普及に積極的に協力している。

さらに、ACCUでは、平成6年度から「女性のための識字教育モデル事業」を開始した。この事業は、ACCUが国内外のNGO(民間援助団体)と協力して、アジア・太平洋地域の開発途上国において識字教育モデルセンターを設置し、ハード面で識字教育施設の整備を行うとともに、現地の識字教育指導者の養成や識字教材の制作・配布を通じて、識字教育のソフト面での充実にも協力するものである。平成8年度は、カンボジア、インド及びネパールの3か国において本事業を実施するとともに、本事業によって既に設立されたモデルセンターの機能強化を目的とするワークショップをタイで開催した。

また、(社)日本ユネスコ協会連盟では、開発途上国のNGOが行う識字教育活動を支援する「世界寺子屋運動」を実施している。

識字教室で学ぶ女性たち(バングラデシュ)


(2) 経済協力開発機構(OECD)事業への参加

OECDは、先進諸国29か国をメンバーとする国際機関であり、様々な分野における政策課題について、加盟国間の意見及び情報の交換を行っている。教育分野については、教育委員会と教育研究革新センター(CERI)の二つの機関を設置し、教育政策に関する調査研究及び比較分析等の事業活動を通じて、各国における教育改革や政策の形成に寄与している。

OECD教育事業に関する基本方針は、5年間に1回程度開催される教育大臣会議において決定される。このほか、非公式の大臣級会合が随時開催されており、平成8年10月にオランダのハーグで開催された会合は、社会における知識の役割等をテーマとし、我が国からは文部政務次官が出席し、各国大臣等と討議を行った。

現在、平成8年1月の教育大臣会議で合意された生涯学習の推進という観点から、教育統計の収集・比較分析とインディケータの開発、高等教育政策や学校教育から職業生活への移行に関する政策の比較分析、明日の学校教育等に関するプロジェクトが実施されている。文部省では、こうしたOECDの事業活動に参加するとともに、OECD加盟各国との間で教育政策上の重要課題について知見を交換するOECD/Japanセミナーを我が国で毎年度開催している。


(3) アジア・太平洋経済協力(APEC)事業への参加

APECは、アジア・太平洋の18か国・地域が参加する地域協力の枠組みとして、貿易・投資の自由化・円滑化などの経済問題とともに、人材養成や技術協力などの分野についても積極的に取り組んでいる。教育分野については、人材養成ワーキング・グループの中に教育フォーラムを設置し、教育政策上の様々な課題に関する調査研究事業や交流・協力事業を実施している。APECの教育事業は、加盟各国・地域のイニシアティブで行われており、教員の能力開発、教育統計、産学協力、アジア・太平洋大学間交流(UMAP)等のプロジェクトが実施されている。

我が国は、教育フォーラムにおいて「21世紀に向けた新しい高等教育交流」のプロジェクトを主導しており、「APEC研究センター日本コンソーシアム」の協力を得て、アジア・太平洋地域の高等教育機関における学生・教職員交流及び研究協力の促進を目指した活動を行っている。APEC研究センターは、APECに関する教育・研究を推進するため、参加各国・地域の高等教育・研究機関により組織されたもので、我が国では、現在11大学・機関が参加して「APEC研究センター日本コンソーシアム」(コンソーシアムとは緩やかな連合体の意)が組織されている。平成9年3月には、文部省、同コンソーシアム及び国連大学の共催により「APEC/国連大学:アジア太平洋における学術協力国際会議」を国連大学で開催した。

「APEC/国連大学:アジア・太平洋における学術協力国際会議」(国連大学:東京)


(4) 欧州連合(EC)との協力

EUは、それまでの欧州共同体(EC)を発展させる形で1993年に創設され、現在、ヨーロッパの15か国が加盟している。EUは、域内の協力・統合を推進すると同時に、域外国との対話・協力も積極的に推進しており、1991年の日本・EC共同宣言発出以降、我が国との間においても様々な分野で協力の枠組みが構築され、連携・協力の拡充・強化が図られている。教育の分野については、1996年6月にベルギーで「日本・EU教育ラウンドテーブル」が開催され、この分野における日本・EU間の本格的な対話が開始された。1997年9月の日本・EU協力週間においては、学者・専門家の参加を得て、教育及び科学技術の分野における日本・EU間の協力に関する国際会議を東京で開催した。


(5) 国連大学への協力

国連大学は、我が国に本部を置く唯一の国連機関であり、人類の存館続、発展及び福祉に関する世界的規模の諸問題についての研究、研修及び知識の普及を目的としている。国連大学は、他の国際機関や世界各地の高等教育・研究機関とネットワークを形成し、平和とガバナンス、開発、環境、科学技術の分野で、国際社会が直面する重要な課題に取り組んでおり、国連のシンクタンクともいうべき役割を果たしている。平成7年には国連大学の高等研究所が我が国に開設され、我が国の学界との連携・協力も得ながら、これらの課題に関する国際共同研究や研修プログラムを通じた人材養成等の事業活動を展開している。我が国は、施設の提供や大学基金及び事業費への拠出などの財政的支援とともに、我が国の大学・研究機関及び研究者との連携・協力の推進を通じた事業活動面での支援を行っている。


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