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2部   文教施策の動向と展開
第9章   教育・文化・スポーツの国際化に向けて
第3節   相互理解を進める国際交流
3   日本語教育の振興



(1) 日本語学習熟の高まり

近年、我が国の国際的地位の高まりや諸外国との国際交流の進展により、日本語学習者は海外で約162万人(平成5年国際交流基金調べ)、国内で約8万5,000人(7年11月文化庁調べ)に上っている(2-9-4 )。

ある言語を学ぶことは、その言語の話されている国及びその文化への関心を深め、ひいては国民相互間の友好を深めることにつながるものであり、我が国としても、国内外の日本語学習者の増大や学習目的の多様化等に対応した日本語教育の一層の拡充を図る必要がある。

2-9-4 日本語学習者の推移


(2) 日本語を学ぶ世界の人々に
(ア) 日本語教員の養成と資質の向上
(a) 日本語教員の養成機関

文化庁の調査によれば、平成7年11月現在、日本語教員養成課程・コース等は、国公私立の大学学部等で108、大学院で18、短期大学で25、高等専門学校で1となっており、これらの機関における受講者数は、1万6,844人となっている。

さらに、大学以外の一般の日本語教員養成機関の数は134、受講者数は6,676人となっている。


(b) 日本語教育能力検定試験の実施

この試験は、(財)日本国際教育協会により、日本語教育の知識・能力が、日本語教育の専門家として必要な水準に達しているかどうかを審査し、証明することを目的として実施されている(2-9-4 )。

2-9-4 日本語教育能力検定試験の結果


(c) 日本語教員の研修

国立国語研究所日本語教育センターにおいて、現職日本語教員を対象に専門的知識の充実を図るため、長期専門研修(10か月)、日本語教育相互研修ネットワーク事業(12か月)等を実施している。


(イ) 日本語教授法・教材の研究開発等

関係機関において、以下のとおり日本語教授法・教材の研究開発等が積極的に進められている。

文部省

日本語教育研究協力校の指定

文化庁

日本語教育研究委嘱

日本語教員等による日本語教育研究協議会の開催

主な日本語教育実施機関の代表者による連絡協議会の開催

国立大学の留学生センター等

日本語教材の研究・開発

国立国語研究所日本語教育センター

日本語教育教材の作成・普及

現職教員対象日本語教育研修会の開催

日本語・日本語教育国際シンポジウムの開催


(ウ) 日本語教育施設の質的向上

日本語教育施設(いわゆる日本語学校)については、文部省が定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」に基づき、(財)日本語教育振興協会が審査・認定事業を行っている。

同協会が認定した施設は、平成9年3月末現在で287施設となっている。

また、同協会では、認定した日本語教育施設を紹介する「日本語教育施設要覧」の作成、日本語教材の研究・開発、教員等に対する研修会の開催など日本語教育施設の質的向上を図るための諸事業を行っており、文部省は、これらの諸事業に対し助成している。


(エ) 外国人日本語能力試験の実施

この試験は、(財)日本国際教育協会と国際交流基金が主催しており、国内では(財)日本国際教育協会が、海外では現地関係機関の協力を得て国際交流基金が実施している。この試験は、1級(日本語学習時間900時間程度)から4級(同150時間程度)までの試験レベルに分かれており、各大学における私費外国人留学生の入学者選抜の際の資料としても活用されている。

また、この試験は日本語学習者にとって自己の日本語能力を測定する上で極めて重要なものであり、その需要が増大していることを考慮し、年間実施回数の複数化、時期、方法等についての検討を行っている(2-9-5 )。

2-9-5 外国人日本語能力試験受験者数の推移


(オ) インドシナ難民・中国からの帰国者に対する日本語教育

文部省では、昭和54年4月の閣議了解を受け、(財)アジア福祉教育財団に委託して、我が国に定住等を希望するインドシナ難民に対する4か月間の集中的な日本語教育を行うほか、定住後も日本語学習を継続している難民に対する教材の提供、日本語教師の派遣や通信教育等を実施し、社会生活に必要な日本語能力の維持向上を図っている。

また、文化庁では、中国からの帰国者への日本語教育について、日本語教材及び指導参考書を作成し、帰国者及び日本語指導者に対して無償配布するとともに、指導者を対象とした研修会や研究協議会の開催、日本語通信教育の試行的実施等を通じて、指導方法の改善を図っている。

平成9年3月には、指導用の手引書として「中国帰国者のための日本語教育Q<A」を作成し配布した。


(カ) 地域における日本語教育の推進

文化庁では、地域社会での外国人の増加に対応するため、モデル地域(4地域)を指定して、地域における日本語指導者養成のための講習会開催等の事業を実施している。 また、平成7年度から、モデル地域における日本語教育推進事業の成果を広く普及するために、都道府県・市町村の国際交流担当者等による地域日本語教育セミナーを開催している。


(キ) 高度情報化に対応した日本語教育

高度情報化に対応して、平成8年度から、衛星通信やパソコンなどの新しい情報手段を利用した日本語教育の在り方について、衛星通信利用実験、ビデオ・CD等マルチメディア教材の作成などを実施しながら、指導内容・方法に関する調査研究を行っている。


(ク) 海外における日本語教育への協力

文部省及び自治省の協力の下、地方公共団体は「外国教育施設日本語指導教員派遣事業」(REXプログラム)を実施している(2-9-5 )。

このプログラムは、海外における日本語教育の需要の高まりにこたえるとともに、教育・文化交流活動を通じて、教員の国際性が養われ、また、地域での国際交流が促進されるよう、我が国の公立中・高等学校の若手教員を海外の中等教育施設に2年間派遣し、日本語教育や日本文化の紹介等を行うものである。

2-9-5 rexプログラムによる派遣状況


(3) これからの日本語教育

今後、世界の中の日本として、各国、諸民族と友好的な関係を発展させていくには、今まで以上に我が国に関する情報の発信が求められており、特に、日本人の思考の基礎となっている日本語について理解の増進を図るための努力をする必要がある。

日本語教育については、従来、日本語学習者の増大に対応して、その基礎整備が進められてきたが、今後も、平成5年7月の日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議の報告や、6年6月の国際文化交流に関する懇談会の報告等を受けて、より一層の推進を図っていく必要がある。


(4) 外国人子女に対する日本語教育等

我が国に在留する外国人の数は年々増加を続け、特に、南アメリカからの日系人在留者が増加している。このような趨勢(すうせい)の下で、外国人子女の就学が増えており、平成7年9月現在、日本語教育が必要な外国人児童生徒が公立小・中学校に1万1,542人在籍している。これら外国人児童生徒のほとんどは、来日前に日本語教育を受けないまま言語も生活習慣も異なる環境の中に入ってくることから、特に入学当初の段階では、言葉と学校生活への適応に苦労することになる。一方、受け入れる側の学校や教員も外国人児童生徒を受け入れた経験に乏しいため、彼らに対してどのように対応してよいか分からず戸惑うことが多い。

このため、国としては、就学を希望する外国人子女の保護者を対象に母語による就学ガイドブックを作成し、情報の提供を図っているが、学校における日本語指導体制を確立するとともに、学校への支援やきめ細かな指導を行えるようにする必要があり、日本語指導をはじめとする外国人子女教育の充実は急務となっている。

文部省においては、

1) 外国人子女教育研究協力校の指定、
2) 外国人児童生徒を受け入れている学校における日本語指導に対応する教員の加配、
3) 外国人子女等指導協力者派遣事業の実施、
4) 外国人子女教育を担当している指導的立場の教員を対象とした研修会の開催、
5) 日本語指導教材及び外国人子女等指導資料の作成、

などを行っている。

また、外国人家庭の地域への受入れを促すため、日本語能力が十分でない保護者等に対する日本語適応教室の開設促進事業を実施している。


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