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2部   文教施策の動向と展開
第8章   文化立国を目指して
第4節   文化財を後世に伝えるために
2   国宝・重要文化財等の保存と活用



(1) 指定

国は、絵画・彫刻等の美術工芸品及び建造物である有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定し、そのうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定している。

美術工芸品に関しては、平成9年度には、奈良時代から江戸時代初期までの東寺の寺院組織や公家と武家との関係を伝える大文書群である「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ」を国宝に指定した。このほか、重要文化財には、昭和25年の文化財保護法施行以来、初めて近代の歴史資料を指定するなど、新たに50件を指定した。新たに指定したものとしては、明治5年の新橋・横浜間鉄道開業の際に運行した「1号機関車」、幕末に来日した米国遣日使節ペリーが将軍への贈り物として持参した「エンボッシング・モールス電信機」、我が国の最初の洋式工場で使用された現存する最古の工作機械である「竪削盤(たてけずりばん)」及び幕末に欧米諸国との間で結ばれた条約5件などがある。

建造物に関しては、最近は日本の近代化に大きな役割を果たしてきた産業・交通・土木に関する建築物等(近代化遺産)及び明治以降の伝統的な和風建築(近代和風建築)について保存を図るため、各都道府県単位で順次調査を進めている。平成9年5月には「正倉院正倉(しょうそういんしょうそう)」(奈良県奈良市)を新たに国宝に指定した。国宝(建造物)の新規指定は、昭和42年6月の「法隆寺綱封蔵(こうふうぞう」以来のことである。また、9年5月には、東京駅などに使われた煉瓦を製造した「日本煉瓦(れんが)製造株式会社旧煉瓦(れんが)製造施設」(埼玉県深谷市)、著名なアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトの作品として知られる「自由学園明日館(みょうにちかん)」(東京都豊島区)、鐘楼(しょうろう)として我が国で最大級の規模を誇る「知恩院大鐘楼(ちおんいんだいしょうろう)」(京都府京都市)などを新たに重要文化財に指定したほか、昭和の建造物としては初めて、「明治生命保険相互会社本社本館」(東京都千代田区)を重要文化財に指定した。

「堅削盤」我が国の最初の洋式工場で使用された最古の工作機械


(2) 管理・修理・防災・活用

国指定文化財の管理・修理等は、所有者が行うのが原則であるが、所有者による管理が適当でないなどの場合には、文化財保護の観点から、必要な管理・修理等が適切に行われるよう、文化庁長官が地方公共団体等を管理団体として指定する。

また、美術工芸品、建造物については、それぞれ修理を必要とする周期等に応じて、国庫補助により計画的に修理を実施するとともに、保存・防災のための施設・設備の設置等の事業を行っている。

なお、平成7年1月の阪神・淡路大震災における文化財の被害状況を考慮して、美術工芸品については、9年6月に文化財の有効な防災対策と災害発生時の緊急対応について具体的留意事項を示した手引を策定した。さらに、文化財建造物及び伝統的建造物群保存地区の耐震性能等の向上に関し、有識者の協力を得て、8年1月に「文化財建造物等の地震時における安全性確保に関する指針」を策定した。現在、さらに具体的な技術指針についての検討を進めている。

また、美術工芸品については、新たに平成9年度から重要文化財の鑑賞機会の拡大を図るため、博物館等が開催する展覧会について国が一部経費を負担する「重要文化財公開促進事業」を行っている。さらに、建造物、特に近代の建築物については、活用しながら保存することが重要であることから、文化財を活用する際の所有者の参考として、8年12月に「重要文化財(建造物)の活用に対する基本的な考え方」をまとめた。今後、さらに具体的な活用のための指針について検討することとしている。


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