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2部   文教施策の動向と展開
第7章   スポーツの振興
第3節   世界の頂点を目指す競技スポーツの振興
1   トップアスリート育成のために


オリンピック競技大会等の国際競技大会における日本選手の活躍は、国民、特に青少年のスポーツに対する興味や意欲をかき立て、我が国のスポーツの普及・振興を促進するものであり、ひいては明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するものである。

また、グローバル化している現代社会において、我が国はもとより世界のスポーツの発展に寄与するとともに、スポーツを通じた交流により、世界の人々から我が国が理解され、敬愛されるなど国際的な友好と親善のためにも有意義である。

近年、世界の競技水準は著しく向上し、我が国の国際競技力は低下している現状にあり、我が国の選手がオリンピック競技大会、アジア競技大会等の国際競技大会において優秀な成績を修めることは次第に困難になってきている(2-7-1 )。

その要因としては、

1) 選手に対するジュニア期からの一貫指導の欠如、
2) スポーツ医・科学を取り入れた育成カリキュラムの不備、
3) 選手に対するスポーツ医・科学面のサポートが可能な高度なトレーニング拠点の不足、
4) 世界レベルの経験を有する優れた指導者の不足、
5) 選手及びコーチに対する支援体制の不備や選手生活を終えた後の処遇の問題

などが考えられ、これらの問題に積極的に対応することが望まれる。

このような中で、平成9年9月の保健体育審議会の答申においては、我が国の国際競技力の向上方策について幅広い視野から検討を行い、カリキュラム開発によるジュニア期からの一貫指導の早期実現及びそのための競技者育成拠点の整備、中央競技団体のマネジメント機能の充実、企業のスポーツ支援の促進策など、国際競技力向上のための総合的システムとして、「競技力向上トータルシステム」の構築を提言した。また、カリキュラム開発の指針として「一貫指導カリキュラムの策定指針(参考案)」を提示した(表2-7-3)。

今後、本答申の内容等も踏まえながら、文部省、地方自治体、競技団体等が我が国の国際競技力の向上を図るための施策に積極的に取り組む必要がある。なお、文部省では、現在次のような施策を実施している。

2-7-1 オリンピック競技大会等におけるメダル獲得状況

2-7-3 一貫指導カリキュラムの策定指針(参考案)


(1) 選手強化事業の充実

文部省では、(財)日本オリンピック委員会の行う

1) 選手強化事業、
2) 国際交流事業、

などの事業、(財)日本体育協会の行う

1) 社会体育指導者の養成、
2) ジュニア育成事業、
3) 海外スポーツ技術協力事業(ODA)、

などの事業に対して国庫補助を行っている。

平成9年度から新たに、サッカーの2002年ワールドカップの日韓共同開催を契機として、日韓両国の親善・友好を図るため、日韓両国のスポーツ愛好者のためのスポーツ交流事業、競技力向上のためのスポーツ交流事業を行うこととしている。

また、スポーツ振興基金( 第1節2(1)参照 )も、各競技団体等やトップレベルの選手・指導者に対し、競技力向上のための援助を行っており、国による援助と併せて、我が国スポーツの振興に大きな役割を果たしている。

日・韓スポーツ交流事業について

文部省では、サッカーの2002年ワールドカップの日韓共同開催を契機に、日韓両国の親善・友好を一層促進するため、平成9年度から新たに、(財)日本体育協会及び(財)日本オリンピック委員会に対して補助を行い、以下のような日・韓スポーツ交流事業を行うこととしている。

1)青少年スポーツ交流事業(受入れ及び派遣)

サッカー、バスケットボールなど5競技について、両国の小・中学生段階の児童・生徒及び指導者を相互に受入れ・派遣し、スポーツを通じた交流を行った。日本では、平成9年8月下旬の7日間、秋田県及び岡山県において受け入れるとともに、同時期に秋田県及び岡山県の児童・生徒を韓国の慶尚南道・昌原市に派遣した。

2)成人スポーツ交流事業(受入れ及び派遣)

陸上、ボウリングなど8競技について、両国のおおむね30〜50歳の愛好者及び指導者を相互に受入れ・派遣し、スポーツを通じた交流を行った。日本では、平成9年11月に沖縄県で開催される全国スポーツ・レクリエーション祭に韓国のスポーツ愛好者に参加してもらう予定であり、また同年10月中旬に韓国のソウルに日本のスポーツ愛好者を派遣した。

3)ジュニア選手競技力向上事業(受入れ及び派遣)

体操、レスリングなど4競技について、両国の12歳から16歳のジュニア選手を相互に受入れ・派遣し、交流を行う予定である。

4)ナショナルチームの交流(派遣)

陸上、柔道、漕艇(そうてい)など13競技について、各競技のナショナルチームを韓国に派遣し、交流を行うこととしている。


(2) 都道府県における競技力向上施策への援助

ジュニア層の選手の発掘・育成のための強化システムを構築するためには、各地域において強化拠点を整備することが重要である。このため、平成9年度から新たに、都道府県において都道府県体育協会及び競技団体との連携を図りつつ、全国の広域市町村圏内の基幹的スポーツ施設等を競技力向上のための強化拠点として位置付け、競技力向上を行うための事業に補助を行うこととしている(地域における強化拠点整備事業)。

また、我が国の体育・スポーツの向上と振興に、特に顕著な功績のあった者をスポーツ功労者特別指導委員として委嘱し、都道府県の主催するスポーツ事業における指導等に派遣している(平成9年度予定15競技19名、42事業)。


(3) 指導者の資質向上

競技力の向上を図るためには、資質の高い指導者の養成・確保も重要な課題である。このため、平成9年7月現在、陸上競技など32競技について、競技団体等が実施する競技力向上指導者(6,911人)の養成事業を文部大臣が認定している。

また、選手の育成・強化に当たるコーチ、スポーツ医・科学の研究者及び都道府県の行政担当者等が、研究協議や情報交換を行うとともに、相互の理解を深め、有機的な連携に基づく強化指導体制の確立を目指すため、スポーツコーチ国内サミットを開催している。


(4) 文部大臣顕彰制度の実施

世界選手権大会等の国際競技大会で優秀な成績を修め、又は、その指導に携わるなど、我が国スポーツの振興に特に功績があった者に対して文部大臣顕彰を行っている。

特に、オリンピックメダリストについては、他の競技大会による成績優秀者との位置付けを明確にするため、平成6年2月にオリンピック競技大会優秀者顕彰規程(文部省令)を制定し、リレハンメル冬季オリンピックから、この規程に基づき文部大臣顕彰を行っている。

また、(財)日本オリンピック委員会は、平成4年のアルベールビル冬季オリンピックからオリンピックメダリストに対して報奨金を交付しているが、このようなオリンピック競技大会の特殊性を考慮し、6年のリレハンメル冬季オリンピックから、この報奨金について所得税が非課税とされている。


(5) スポーツ医・科学の研究体制と強化拠点となる施設の整備

近年の世界の著しい競技水準の向上に対抗するためには、科学的・体系的・組織的な選手強化が必要である。このため、保健体育審議会、臨時教育審議会、スポーツの振興に関する懇談会(内閣総理大臣の懇談会)等においても、我が国におけるスポーツ医・科学の研究の遅れを指摘した上で、競技力の向上を図るためのスポーツ医・科学研究所とナショナルトレーニングセンターの設置が急務であると指摘されている。

このような提言等に基づき、文部省では、現在、スポーツ医・科学の研究等を行うことを目的とする「国立スポーツ科学センター」の設置を進めており、平成9年度からその建設に着手している。また、このセンターと連携し、科学的なトレーニングに基づき、組織的・計画的にトップレベル選手の競技力向上を図ることのできる、高度で大規模な総合トレーニング施設(ナショナルトレーニングセンター)の整備の在り方について、9年度から調査研究を行っている。

国立スポーツ科学センターの完成予想図

国立スポーツ科学センター

オリンピック競技大会等の競技成績に見られるように、我が国の国際競技力は相対的に低下傾向にあり、その要因として、科学的な根拠を踏まえた選手強化などの、スポーツ科学の分野での体制の立ち遅れが各方面から指摘されている。

このため、スポーツ医・科学の研究、スポーツ情報の収集・提供、科学的トレーニング方法の開発等を行う全国的な拠点として、日本体育・学校健康センターに「国立スポーツ科学センター」を設けることとし、平成9年度から建設に着手し、12年度の完成に向けて計画を推進している。


(6) 国民体育大会の開催

国民体育大会(国体)は、各都道府県対抗による我が国の総合的な競技大会であり、「国民スポーツの祭典」として、我が国のスポーツ振興に大きな役割を果たしている。

国体への外国人の参加については、従来から、学校教育法第1条に定める学校に在籍する者の参加を認めてきたが、(財)日本体育協会では、国際化の進展等を踏まえ、平成9年第52回国民体育大会夏季大会からこれまでも参加を認めてきた外国籍の学生生徒について、卒業後も国体に参加できるようにすることとしている。

平成9年度は、夏季・秋季大会が大阪府で、冬季大会が岩手県で開催され、10年度は、夏季・秋季大会が神奈川県で、冬季大会が長野県及び北海道で開催されることとなっている。


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