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2部   文教施策の動向と展開
第4章   高等教育の多様な発展のために
第5節   人材育成を支える育英奨学事業の充実
1   日本育英会の育英奨学事業の充実



(1) 未来の先行投資としての育英奨学

日本育英会は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学困難な者に対して、学資の貸与事業を行っている。昭和18年の創立以来、平成8年度までの54年間で、奨学金の貸与を受けた学生・生徒総数は約534万人、奨学金貸与総額は約3兆2,396億円に達する。

育英奨学事業としては、無利子奨学金及び有利子奨学金の貸与制度がある。有利子奨学金貸与制度については、在学中は無利息とし、更に返還時の負担をできるだけ軽減するため、長期間の低利(上限年3%)による返還として、財政投融資資金からの借入利率との差額は国の資金によって利子補給している。

平成9年度には、優秀な学生が安心して大学院に進学できるよう、大学院の貸与人員について、博士課程1,500人、修士課程4,500人、合計6,000人の増員を図ることとし、大学学部についても6年度の新規増員の学年進行により3,210人の増員、専修学校専門課程についても8年度以前の新規増員の学年進行により1,800人の増員を図ることとしている。

また、奨学金貸与月額についても、学生生活費の上昇等を踏まえ、大学院博士課程で3,000円の増額、修士課程・大学・高等学校等で一律2,000円の増額を図ることとしている。これにより、平成9年度事業費総額は、前年度に比べ145億円増の2,538億円となり、約49万3,000人の奨学生に奨学金を貸与することとなる(2-4-2 2-4-3 )。

2-4-2 日本育英会の貸与人員・事業費総額(平成9年度)


(2) 返還金の循環運用

日本育英会の奨学金は、制度発足以来、貸与制としている。これは、奨学生が卒業後、奨学金を返還し、この返還金を後進育成の資金として循環運用することによって、一人でも多くの学生・生徒に奨学金を支給しようとするためである。

平成9年度当初予算においては、事業費総額の約48%が卒業奨学生からの返還金で賄われており、事業規模の拡大とともに年々事業費に占める返還金の割合も増えている。

奨学金の返還は、貸与総額によって返還年賦額、返還年数(最長20年)が決められている。従来は、銀行又は郵便局から主として年1回振込み等の方法による返還のみであったが、平成7年10月から口座振替により月賦、半年賦、年賦、月賦・半年賦の併用等、返還者が返還しやすい方法で返還できるシステムを導入し、今後段階的に拡充することとしている。

2-4-3 日本育英会の貸与月額(平成9年度)


(3) 今後の育英奨学の在り方

学術研究の進展や社会の構造変革の進展に対応した大学院の整備充実や、高等教育の規模の拡大とそれに伴う学生の能力・適性の多様化等、高等教育を取り巻く状況の変化に対応し、育英奨学事業の改善・充実を図ることが求められている。このことから、文部省では平成8年5月より「育英奨学事業の在り方に関する調査研究協力者会議」において検討を行った結果、9年6月に「今後の育英奨学事業の在り方について」報告を取りまとめた。この報告では、

1) 大学院奨学金について、貸与人員・貸与額の充実や返還免除制度の弾力的運用を図ること、
2) 教育職・研究職に関する奨学金の返還免除制度について、大学進学率の上昇、学術研究の高度化を踏まえ、大学院において貸与された奨学金を除き、大学学部等において貸与された奨学金について廃止すること、
3) 大学学部の奨学金について、予約採用に比重を置いた運用を図ること

等に触れている。文部省では今後、この報告を受け、制度の改善・充実を図っていくこととしている。


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