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2部   文教施策の動向と展開
第4章   高等教育の多様な発展のために
第3節   大学入学者選抜の改善
2   特色在る多様な入学者選抜の実現



(1) 各大学における入学者選抜の工夫改善

各大学の入学者選抜においては、それぞれの大学・学部の目的、特色や、専門分野等の特性に応じ、評価尺度を多元化・複数化し、受験生の能力・適性等を多面的に判定する方向で、工夫改善に努めることが重要である。このような観点から、近年、学力検査だけでなく、面接、小論文、実技検査、リスニング等を実施する大学や、推薦入学、帰国子女・社会人等を対象とする特別選抜を導入する大学が多くなってきている。

また、商学・工学・農学・水産学・家政学・看護学等に関する大学・学部が、職業教育を行う専門高校や総合学科の卒業生を対象に、その専門性に着目して一般の受験生とは別枠で受験させる専門高校・総合学科選抜が、平成8年度入試から導入され始めている。

なお、国立大学においても、大学入試センター試験のほかは学力検査を課さず、面接や小論文だけで選抜を行う大学が増えつつある。ある大学の医学部では、知力に偏重した入試ではなく、知・徳・体を身に付けた医師としての資質を持った学生の選抜を目的に、大学が独自に作成した調書にボランティア活動やスポーツ活動等を記載させ、入学志願者の高校時代の学力以外の種々の活動を評価する選抜を実施している(2-4-4 )。

2-4-4 多様化が進む国立大学の入試


(2) 国公立大学の受験機会の複数化の改善

国公立大学の受験機会の複数化を図るため、昭和62年度入試から「連続方式」(個別の大学がA日程又はB日程のいずれかの日程により、試験を1回実施する方式)が導入され、平成元年度入試からは、この方式に加えて「分離・分割方式」(個別の大学が学部の定員を分割し、試験を2回実施する方式)も併用されるようになった。その後、しばらくは「連続方式」と「分離・分割方式」が併存する複雑な制度となっていたが、国立大学は、9年度入試から「分離・分割方式」に統一され、公立大学についても11年度入試から、原則として「分離・分割方式」に統一することとなっている。


(3) 推薦入学の改善

推薦入学は、大学入試の多様化を進める上でも大変意義のある制度であるが、数年前、一部の大学においては、

1) 非常に早い時期に、
2) 一般選抜と同程度の学力検査を課し、
3) 入学定員の大半を推薦入学者で占める

など、推薦入学を、単により多くの学生を早期に確保する手段として利用されるという状況が見られ、高等学校教育への悪影響が憂慮された。

大学審議会報告では、推薦入学の具体的な改善方策として、

1) 学力検査の免除を徹底、
2) 受付開始時期を11月以降など一定の時期以降にすること、
3) 入学定員に占める推薦入学者の割合は、大学については3割、短期大学については5割を超えないことを目安にすること、

との提言がなされた。文部省では、本報告の趣旨を尊重し、推薦入学について、提言に沿った改善を行うよう各大学に促している。


(4) 中央教育審議会の第二次答申について

中央教育審議会の第二次答申において、大学入学者選抜については、大学の様々な改善の努力によって着実に変わりつつあると評価しつつ、なお受験競争は依然として厳しく、これを克服するため一層の努力が求められるとして次のような改善方策を提言している。


(ア) 選抜方法の多様化や評価尺度の多元化
1) 選抜方法の多様化・評価尺度の多元化を更に徹底することが必要であり、特に影響力のある特定の大学の取組を要請する。
2) 各大学の判断により、入学定員の一部に地域を指定した枠を設定したり、地域を指定した推薦入学を実施する取組を拡大する。

(イ) 受験機会の拡大

4月入学を基本とする一方で、秋季入学を拡大し、海外帰国生徒や社会人以外に一般受験者の選抜を行う。


(ウ) 初等中等教育の改善の方向を尊重した入学者選抜の改善

高等学校での生徒の学習や活動を的確に評価するため、調査書を一層活用することが必要であり、調査書の信頼性を高めるための取組を進めたり、履修科目指定制を導入する。


(エ) 推薦入学の改善

推薦入学について、実施大学・学部の増を図るとともに、入学定員に対する割合を拡大する。


(オ) 大学入試センター試験の活用
1) 大学入試センター試験の活用によって大学入学者選抜の多様化が図られつつある点を評価し、その多様な利活用を推進する(センター試験が一定水準に達していれば、各大学で学力試験以外の資料により選抜する取組など)。
2) 高校段階の基礎的な学習の達成度を適切に判定するため、大学入試センター試験の運用に当たって、高等学校関係者との緊密な連携を図る必要があり、試験問題の作成を含め幅広く高等学校関係者の協力を得る。

(カ) 入学者選抜の改善のための条件整備
1) 我が国の大学の特性を踏まえた アドミッション・オフィス 【用語解説】を整備する。
2) ゆったりとした入試日程を確保するため、入学者選抜の実施時期の終期を繰り下げる(場合によっては、4月にかかることがあっても良い)。
3) 進路指導の改善や大学入試センター及び個々の大学による情報提供の充実を図る。
4) 大学入学者選抜について、各大学において、広く学外の意見を求めるとともに、参与会等を通じて外部の意見を取り入れていくなどの取組を進める。

<アドミッション・オフィス(AO)>

入学者選抜を含め、入学業務全般を担当する大学の専門組織。AOに関して長い歴史を持つ米国では、学生募集から入学者選抜まで学部段階の入学者選抜にかかわるほとんどすべての業務をAOが行い、教官はこれに関与しない場合が多い。一般に、AOはアドミッションオフィサーと呼ばれる専門の職員を中心に構成される。有名私立大学の入学者選抜に典型的にみられるように、AOの専門の職員は、学業成績のほか、文化、スポーツ、ボランティアなど課外での活動実績などから入学希望者を多面的に評価し、大学の使命、校風に適した学生を2〜3か月かけて選抜する。


(キ) 高等教育全体を柔らかなシステムへ

単位互換の拡大、編入学・転入学の拡大、社会人入学の拡大などにより、高等教育をより柔軟なものとする一方、大学の教育機能の強化を図り、入学後の学業成績の評価を厳正に行っていく。


(ク) 学(校)歴偏重社会の問題

過度の受験競争の緩和は、学(校)歴偏重社会の問題とも関連が深く、企業や官公庁の採用や昇進の在り方の改革や、国民の意識(横並び意識、同質志向)の改革が必要である。


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