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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初頭中等教育の一層の充実のために
第11節   魅力ある優れた教員の確保
2   教育養成・免許制度と採用


学校教育の直接の担い手である教員には、教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児児童生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、そしてこれらを基盤とする実践的指導力が求められる。このような教員としての資質能力は、養成・採用・研修の各段階を通じて形成されていくものであり、それぞれの段階を通じた総合的な方策を図る必要がある。


(1) 教育養成・免許制度の改善
(ア) 新たな時代に向けた教員養成の改善

我が国の教員養成は、いわゆる「開放性」の原則の下に、一般大学と教員養成大学とがそれぞれの特色を発揮しつつ行っている。

平成8年3月に大学等を卒業し、免許状を取得した者は、約13万4,000人(取得者実数)であり、また、このうち教員として就職した者は14.3%であった。

教員の専門性の確保と実践的指導力の育成を図る観点から、昭和63年に教育職員免許法が改正され、すべての学校種における修士課程修了程度の専修免許状の創設、免許基準の引上げ、社会人の学校での活用を可能とする 特別非常勤講師制度 【用語解説】の創設等を行った。

しかしながら、近年の我が国の学校教育については、個性を生かす教育の実現や社会の変化への対応、いじめや登校拒否等の児童生徒の問題行動への対処など、様々な課題が指摘されていることから、平成8年の中央教育審議会第一次答申も踏まえ、同年7月に文部大臣から教育職員養成審議会に対し諮問がなされた。同審議会では9年7月、「新たな時代に向けた教員養成の改善方策について」、第一次答申を行った。

答申では、使命感を持ち、個性にあふれ、得意分野をそれぞれに持ち、学校教育の課題に適切に対応できる力量のある教員を養成することを目指して、種々の提言を行っている。まず、

1) 大学の創意工夫や学校の実態・要請を踏まえた教員養成カリキュラムの実現を促進する観点から、教育職員免許法に定められているカリキュラムの基本構造を転換し、選択履修方式を導入することとした。また、
2) 社会的な要請を踏まえたカリキュラムの改善を図る観点から、学問的知識よりも教え方や子どもとの触れ合いを重視するとの考え方をとっている。具体的には、教師としての在り方・生き方を学ぶことを主たる内容とする「教職ガイダンスに関する科目」、地球環境、高齢化と福祉等国内外の今日的課題を扱う「総合演習」等を新たに必修とすることとした。また、
3) いじめ等の問題に対処するため、特に生徒指導上の課題の多い中学校段階の教育実習期間を現行の2週間から4週間に倍増するとともに、生徒指導及びカウンセリングを含む教育相談に関する内容を質・量ともに充実することとした。さらに、
4) 福祉体験、ボランティア体験、自然体験などを促進する授業科目の積極的奨励、教育実習以外の子どもとの触れ合い体験の重視

を提言している。

また、

5) 社会人の活用

については、特別非常勤講師制度や特別免許状制度の活用の促進のため、対象教科の拡大、手続きの簡素化等を図るべきであるとしている。

文部省としてはこの答申に基づき、速やかに教育職員免許法の改正など所要の措置を講ずる予定である。

なお、小学校及び中学校の教員免許状の取得希望者に社会福祉施設等での介護や交流等の体験を義務付ける法律が成立し、平成10年度の大学入学者から適用されることとなっている。文部省としては、厚生省等関係方面と協力しつつ、その円滑な実施に努めることとしている。


<特別非常勤講師制度>

教員は、教員免許法により免許状を有する者であることが原則であるが、その特例として、教科の領域の一部又はクラブ活動を担任する非常勤講師については、都道府県教育委員会の許可により、免許状を有しない者を充てることができることとされている。任用期間は1年以内。


(イ) 国立教員養成大学・学部の充実

主として義務教育教員の養成を目的としている国立の教員養成大学・学部では、近年のいじめ問題等に対応するため、教育実践総合センター等を設置し、教育委員会と連携・協力して、いじめに関する実態把握や対応方法の研究等を行っているほか、フレンドシップ事業として、学生が子どもたちと触れ合い、子どもの気持ちや行動を理解し、実践的指導力の基礎を身に付けられるよう、宿泊触れ合い活動や理科実験教室などの機会を設ける等の取組を行っている。

また、教員の資質能力の向上という社会的要請にこたえるため、大学院(修士課程)を設置し、高度の専門性を備えた初等中等教育教員の養成及び現職教員の高度の研修を行っており、平成8年度までに全大学に整備を行った。今後とも各大学の大学院における専攻等の増設など、その内容の充実を図っていくこととしている。


(ウ) 学校教育における社会人の活用・免許外教科担任の解消

優れた知識や技能を持つ社会人を学校教育において活用することは、学校教育の多様化や活性化を図る上で極めて重要である。免許状を持たない社会人が教科の一部等について非常勤講師となることができる特別非常勤講師制度は、主として高等学校で、看護、外国語会話、体育実技等の分野を中心に活用され、平成8年度には全国で延べ3,537人がこの制度により教壇に立っている(2-3-4 2-3-5 )。文部省では6年度から、公立中学校に特別非常勤講師を配置する事業に対し補助を行っているが、9年度にはこれを拡充するとともに新たに小学校についても対象とするなど、その活用の促進を図っている。

なお、教員が保有する免許状の教科以外を担任するいわゆる免許外教科担任については、その解消のため、教職員定数改善において配慮するとともに、都道府県教育委員会に対して教員の適正な人事配置を指導している。さらに平成6年度からは、小規模中学校において免許を有する非常勤講師を配置する事業に対して補助を行っており、9年度にもこれを拡充した。これらの結果、平成9年度の免許外教科担任の許可件数は元年度の4万6,000件に対し53%減、また前年度に比して約12%減の2万1,600件となっているが、引き続きその解消を促進する必要がある。

2-3-4 特別非常勤講師の許可件数の推移

2-3-5 特別非常勤講師による具体的な教授内容の例(平成8年度)


(2) 教員採用の改善

教員採用については、採用の段階で教員としてふさわしい資質能力を備えた優秀な人材を確保するため、各都道府県・指定都市において選考方法の多様化や採用スケジュールの早期化等様々な工夫・改善がなされている。

文部省においては、教員採用等に関する調査研究協力者会議の「審議のまとめ」(平成8年4月)を踏まえ、各都道府県・指定都市教育委員会あてに通知を出し、筆記試験の成績を重視するよりも人物評価重視の方向に教員採用選考の在り方を一層移行させ、選考方法の多様化、選考尺度の多元化を図っていくよう指導している。

これを受け、各教育委員会では、面接方法の改善、生活体験・社会体験を適切に評価した選考の実施、筆記試験の比重の置き方の見直し、教育実習の評価や大学等からの推薦の活用、定員を区分した選考の実施など、積極的に教員採用等の改善に取り組んでいる。文部省では、平成8年12月に新たな取組や特色ある事例を取りまとめて情報提供を行うなど、各教育委員会における教員採用の改善促進に努めている。


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