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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初頭中等教育の一層の充実のために
第6節   体育と健康教育
2   心とからだの健康を保つために



(1) 健康教育の充実

近年の社会環境の急激な変化に伴って、子どもの心身の健康問題が多様化、複雑化し、また、高齢化社会の到来により、生涯にわたり健康で安全な生活を送ることが重要な課題となっていることから、健康教育の充実や総合的な施策の展開がより一層重要となっている。

このため保健体育審議会においては、平成8年12月に文部大臣からの諮問を受け、社会変化に対応した、児童生徒等の心身の健康の基礎づくりに関する施策の基本的な在り方等について審議を行い、9年9月に答申を行った。

文部省においては、平成9年度から体育局学校健康教育課内に健康教育企画室を設置し、総合的な健康教育推進のための体制の整備を図っているが、今後、審議会の検討結果を踏まえ、健康教育のより一層の充実について、総合的な施策を展開することとしている。


(2) 当面する健康問題への対応
(ア) 薬物乱用防止教育の充実

最近、覚せい剤等薬物の乱用によって補導される青少年が増加する傾向にあり、その中に占める中・高校生の割合が増加するなど、児童生徒の薬物乱用の実態は極めて憂慮すべき状況にある(2-3-4 )。このため、政府としては内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置し、政府一体となった取組を推進している。

文部省では、学校教育においては、教科「保健体育」における指導や道徳、特別活動における指導など、学校教育活動全体を通して薬物乱用の危険性、有害性を的確に認識させるとともに、学校、家庭、関係機関・団体等と一体となった総合的な取組を推進するよう各都道府県教育委員会等を指導している。また、小・中・高等学校教師用指導資料の作成・配布を行うなど薬物乱用防止教育の充実に努めている。


(イ) 心の健康相談活動の充実

近年、学習面、いじめなどの友人関係、家庭事情などについて様々な悩みを持つとともに、これらを背景として、心因性の頭痛、不快感など種々の症状を訴えて保健室を訪れる児童生徒が増えていることなどから、適切なヘルスカウンセリングや心の健康に関する保健指導が求められている。このため、平成8年度からは、新たに養護教諭等を対象とした「保健室相談活動研修事業」を実施するとともに、9年度より新規採用養護教諭研修の拡充や経験者研修の新設を図るなど、指導の充実を図っている。


(ウ) 被災地における児童生徒の心の健康について

平成7年1月の阪神・淡路大震災により被災した児童生徒について、心に大きな打撃を受けていることが指摘されている。このため、7、8年度において、被災した児童生徒等の心への影響や、学校での教育的な配慮を必要としている児童生徒の状況等を明らかにし、学校における対応の在り方を検討するため調査研究を実施した。この調査結果に基づき、学校に対し、普段から子どもたちの心の健康への支援体制を確立しておくこと等を要請するとともに、さらに、災害時における学校での支援方法等についてのマニュアルの作成の必要性などが指摘されていることから、9年度においては災害時における実践的な手引の作成を行っている。


(エ) エイズ教育の充実

エイズは、近年、我が国においても若い世代を中心に感染が広がりつつあるなど、今後の蔓延(まんえん)が危倶(きぐ)される状況にある。このため、児童生徒の発達段階に応じて正しい知識を身に付けさせることにより、エイズを予防する能力や態度を育てるとともに、エイズ患者・感染者に対する偏見や差別を払拭(ふっしょく)し人間尊重の精神を育てることが重要である。このため、文部省では、児童生徒用教材及び教師用指導資料の作成、教職員の研修、エイズ教育推進地域の指定による実践研究等を行っている。さらに、平成7年度からはエイズ教育情報の全国的な普及と活用を図るため、「エイズ教育情報ネットワーク整備事業」を実施している。


(3) 安全教育の充実

学校においては、児童生徒等が日常生活全般における安全のために必要な事柄を実践的に理解し、自他の生命を尊重し、安全な生活ができるような態度や能力を養うため、教科「体育」や「保健体育」、道徳及び特別活動を中心に、学校教育活動全体を通じて安全教育を行っている。

文部省では、二輪車研究指定校を指定し、高等学校における実技を含めた二輪車に関する指導の内容等について実践的な調査研究を行うなど、交通安全教育の充実を図っている。また、平成8年度から防災教育モデル地域の指定等を行い、学校・家庭・地域が連携協力した地域ぐるみの防災教育の在り方を調査研究するなど、防災教育の充実を図っている。


(4) 学校給食
(ア) 学校給食の役割と現況

学校給食は、栄養のバランスのとれた食事を提供することにより、正しい食習慣の形成を図るとともに、教職員と児童生徒のコミュニケーションや児童生徒間の好ましい人間関係の育成の場として、児童生徒の心身の健全な発達を図る上で大きな教育的意義を有している。平成8年5月現在で、全国で約1,193万人の児童生徒等が学校給食を受けている(2-3-2 )。


(イ) 栄養教育の推進

児童生徒が、生涯にわたって健康な生活を送るための基礎を培う観点から、栄養に関する知識や望ましい食習慣を身に付けさせることを目的として、学校給食と各教科等が連携を図って栄養教育を推進している。

文部省では、平成6年度から実施している「栄養教育推進モデル事業」に加え、8年度からは、新たに教員や学校栄養職員等が栄養教育に取り組むための指針となるよう「栄養教育カリキュラム開発のための調査研究」を実施している。


(ウ) 米飯給食の推進と食事内容の充実等

食事内容の多様化を図るとともに、日本人の伝統的食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身に付けさせ、日本の農業等に対する理解を深めさせる等の教育的見地から、米飯給食の計画的な推進を図っている。平成8年度の平均実施回数は、週2.7回に達している。

また、各学校では、郷土や姉妹都市の料理を給食の献立に活用したり、児童生徒が複数の食品や料理の中から栄養のバランスを考え、自分の身体に応じて適切に食品や料理を選ぶバイキング方式等による選択給食が導入され、食事の内容や方法の多様化が図られている。

さらに、食事内容にふさわしい食器具の使用や学校食堂・ランチルームの整備など、食事環境の整備・充実を推進している。


(エ) 学校給食における衛生管理の改善充実

平成8年度においては、学校給食による腸管出血性大腸菌O157による食中毒が6府県7市町にわたって発生し、7,000人以上の有症者が発生し、5名の児童が死亡する事態となった。

文部省では、平成8年7月から専門家による「学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議」を開催し、その報告を踏まえ各都道府県教育委員会等に対し、衛生管理チェックリストによる給食従事者の健康状態及び施設・設備等の緊急点検、日常点検等により衛生管理の徹底を図るよう指導した。

また、平成8年度の2学期以降もO157、サルモネラなどによる食中毒が発生したため、専門家等による食中毒発生地の現地調査を行うなど、これまでの食中毒事故発生事例も参考にしつつ、協力者会議において総合的な検討を行い、同年12月に報告書が取りまとめられた。その中では、今後の対応策として、学校給食施設設備の改善、学校給食関係者の意識改革、調理実施上の改善工夫の必要性などが改めて指摘された。

これを受け、文部省では平成9年1月には、学校給食における衛生管理の改善充実について早急に整備すべき事項等を各都道府県教育委員会を通じて全国に通知するとともに、8年度補正予算において、学校給食施設について、床を乾いた状態で使用して高湿度による雑菌等の発生を抑制する調理システムであるドライシステムへの転換を促進し、保存食用冷凍庫の整備等を措置した。

平成9年度においては、衛生管理強化の観点から、引き続き学校給食施設のドライシステム化等、施設設備面の改善充実を図るとともに、

1) 新規採用学校栄養職員研修の拡充、
2) 経験者研修の新設など学校栄養職員に対する研修の充実、
3) 衛生管理推進のための研究地域の指定、
4) 学校給食調理員等に対する研修等を行う「衛生管理推進事業」

を行うこととしている。

また、これまでの学校給食における衛生管理の改善充実及び食中毒発生の防止に関する通知を見直し、留意事項を集約・整理するとともに、衛生管理の改善充実の観点から必要な点を加えた「学校給食衛生管理の基準」(平成9年4月)を作成し、衛生管理の徹底を図っている。

さらに、学校給食調理場における食中毒防止に万全を期すため、都道府県教育委員会を対象とした担当者会議や市町村の教育長を対象とした全国研修会の開催などにより、衛生管理について周知徹底を図っている。

2-3-4 覚せい剤で補導された犯罪少年のうち中・高生の推移

2-3-2 学校給食実施率(児童生徒等数比)(平成8年度5月1日現在)

楽しい学校給食


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