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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初頭中等教育の一層の充実のために
第3節   いじめ・登校拒否等の解消を目指して
1   深刻化するいじめ・登校拒否等の現状等


深刻化するいじめ・登校拒否等の現状等  学校における児童生徒の問題行動等の現状を見ると、いじめや登校拒否の問題など深刻な状況にあり、その解決が大きな教育課題となっている。


(1) いじめの問題の現状と対応

いじめの問題については、平成7年度には全国の公立小・中・高・特殊教育諸学校において約6万件のいじめが発生したことが報告されている(2-3-1 )ほか、いじめが関係したとみられる児童生徒の自殺が報道されるなど、依然として憂慮すべき状況にある。

文部省では、平成7年末に中学生がいじめを苦に自殺するという痛ましい事件が発生して以降、この問題の解決のために取組を特に強化してきたが、こうした状況を踏まえ、更に一層の取組の強化を図っている。

これまで、緊急に都道府県・指定都市教育委員会教育長会議を開催し、いじめの問題に関する指導の徹底、各地方公共団体における地域を挙げた取組の実施などを求めるとともに、平成7年12月、「いじめの問題への取組の徹底等について」の通知を発し、いじめの問題への取組の一層の徹底を求めるとともに、各学校、各教育委員会等の取組の総点検を行うことを指示した。

さらに、平成8年1月に文部大臣が緊急アピール「かけがえのない子どもの命を守るために」を発表したのをはじめ、教育関係団体への協力要請、スクールカウンセラー及び教育相談員の臨時会議や、養護教諭の臨時会議の開催など一連の緊急対応措置をとった。

また、いじめの問題については、学校教育のみならず、家庭教育、青少年教育、体育・スポーツなど幅広い分野で対策を推進する必要があることから、このための体制として平成8年2月に文部事務次官を本部長とし、初等中等教育局、生涯学習局、教育助成局、高等教育局、学術国際局、体育局の局長等を本部員とする「文部省いじめ問題対策本部」を設置した。

さらに、「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議」においては、児童生徒・保護者・教師約2万人を対象とする「児童生徒のいじめ等に関するアンケート調査」を行うとともに、教育委員会や学校におけるいじめの問題への取組状況について数度にわたり現地調査を行った。これらの結果等を踏まえ、同会議では平成8年7月に「いじめの問題に関する総合的な取組について〜今こそ、子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜」と題する報告を取りまとめ、文部省に提出した。

この報告においては、「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つことなど、いじめの問題に関する五つの基本的認識に立ち、家庭・地域社会、学校、教育委員会、国のそれぞれにおいて取り組むべき具体的な方策について、総合的に行うよう求めている。

この報告において改めて確認されたいじめの問題への取組に当たっての基本的認識は次の5点である。

1) 「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つこと
2) いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと
3) いじめは家庭教育の在り方に大きなかかわりを有していること
4) いじめの問題は、教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること
5) 家庭、学校、地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって取り組むことが必要であること

また、具体的な取組として、家庭・地域社会に対しては、

1) 家庭教育の重要性の再認識、
2) 真の「心の居場所」となる家庭づくり、
3) 家庭と学校の役割分担、
4) 地域を挙げた積極的な取組

が要請されている。

学校に対しては、「子どもの立場に立った学校運営」と「開かれた学校」という二つの学校運営改善の基本姿勢を示した上で、

1) 実効性ある指導体制の確立、
2) 事実関係の究明等、
3) いじめる児童生徒への適切な教育的指導、
4) いじめられる児童生徒への弾力的な対応、
5) 積極的な生徒指導、
6) 家庭・地域社会との連携協力、

について具体的な取組が求められている。

この中で、特にいじめる児童生徒に対しては、いじめの非人間性やそれが他人の人権を侵す行為であることに気付かせ、他人の痛みを理解できるような教育的な指導を徹底して行うことの必要性、校内の他の児童生徒と異なる場所での特別の指導計画による指導、いじめの状況が一定の限度を超える場合における出席停止の措置などが盛り込まれている。また、いじめられる児童生徒への弾力的な対応としては、緊急避難としての欠席、学級替え等の弾力的運用、「転校」措置の弾力的運用の徹底など、あくまでいじめられる児童生徒の立場に立って弾力的な運用が行われる必要があることが盛り込まれている。

文部省では、この報告を受けて、臨時の都道府県等の指導事務主管部課長会議を開催し、この報告についての趣旨の徹底を図るとともに指導通知を発し取組の徹底を図った。

2-3-1 いじめの発生件数(小・中・高)


(2) 登校拒否問題について

登校拒否の問題については、平成8年度間に「学校ぎらい」を理由に年間30日以上学校を欠席した児童生徒数は、小学生1万9,488人、中学生7万4,757人の計9万4,245人であり、同様の理由で50日以上学校を欠席した児童生徒数は、小学生1万5,301人、中学生6万2,148人の計7万7,449人である。この登校拒否児童生徒数は、年々増加しており、いずれも調査開始以来最多となっている(2-3-2 )。

登校拒否は、本人はもちろん、家庭も悩み苦しみ、学校も対応に苦慮するなど、極めて深刻な問題であり、文部省としても重大な教育課題と受け止めている。

このような登校拒否問題については、登校拒否はどの児童生徒にも起こり得るものであるとの視点に立った指導が必要である。また、登校拒否に対しては、個々の登校拒否児童生徒に応じた適切な対応と同時に、学校全体において、自主性、主体性をはぐくむ指導がなされているか、適切な集団生活を行い、人間関係を育てる工夫がなされているか、児童生徒の立場に立った教育相談がなされているか、保護者や地域に開かれた学校づくりがなされているか、など様々な観点からの取組が不可欠である。

2-3-2 登校拒否児童生徒数の推移(30日以上欠席した者)/登校拒否児童生徒数の推移(50日以上欠席した者)


(3) 高等学校中途退学問題について

平成7年度中の公・私立高等学校における中途退学者の合計は9万8,179人で、中途退学者が年度当初の在籍者に占める割合は、2.1%となっている(2-3-3 )。

高等学校中途退学問題への対応に当たっては、多様化した中途退学の現状に適切に対応するため、各学校において、中学校における進路指導の充実及び高等学校入学者選抜の改善がなされているか、高等学校教育の多様化、個性化、柔軟化の推進が図られているか、個に応じた手厚い指導が行われているか、開かれた高等学校教育の仕組みが整備されているかなどの観点から総合的かつ積極的な取組が必要である。

2-3-3 公・私立高等学校中途退学者数の推移


(4) 校内暴力問題について

校内暴力(対教師暴力、生徒間暴力及び器物損壊を合わせたもの)は、平成7年度に中学校では、全学校の13.8%に当たる1,460校において5,954件、高等学校では全学校の18.6%に当たる775校において2,077件発生している。

校内暴力は、思いやりや正義感をはぐくむ学校において決して許されるものではなく、教師をはじめ関係者はその根絶に全力で取り組んでいく必要がある。


(5) 校則について

校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長発達していくため、各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められている一定の決まりである。校則自体は教育的に意義のあるものであるが、その内容及び運用は、児童生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情、時代の進展等を踏まえたものとなるよう積極的に見直しを行うことが必要である。


(6) 体罰について

極めて残念なことであるが、学校において、いまだに児童生徒への体罰が跡を絶たない。文部省の調査においても、平成7年度に体罰ではないかとして問題とされ学校において調査した事件は298件に上っている。

体罰については、学校教育法により厳に禁止されているものであるが、もとより体罰による懲戒は、児童生徒の人権の尊重という観点からも許されるものではない。また、教師と児童生徒との信頼関係を損なう原因ともなり、教育的な効果も期待されないと考えられる。

文部省では、従来から、各種通知や各種会議等を通じて体罰の根絶について指導を行ってきたが、今後ともその徹底を図っていくこととしている。


(7) いじめ、登校拒否等の問題への対策

いじめ、登校拒否などの問題の原因・背景は、個々のケースにより様々であるが、一般的には、

1) 家庭における幼少時からのしつけの問題
2) 児童生徒の多様な能力・適性等に十分に対応できていない学校の在り方
3) 生活体験の不足、物質的な豊かさの中での他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化などの社会状況

など、家庭、学校、地域社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられる。

したがって、これらの問題の解決のためには、家庭、学校、地域社会がそれぞれの役割を果たし、一体となった取組を行うことが重要である。この中で学校は、家庭及び地域社会との連携を深めるとともに、深い児童生徒理解に立ち、一人一人の児童生徒が生き生きとした学校生活を送ることができるよう努める必要がある。

文部省においては、深刻化するこれらの問題に対応するため、

1) 家庭・学校・地域社会の連携の推進
2) 一人一人を大切にし、個性を生かす教育の実現
3) 教員の資質能力の向上
4) 教育相談体制の充実

という観点から、各種の施策を総合的に推進している。


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