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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初頭中等教育の一層の充実のために
第1節   心の教育の充実


中央教育審議会は平成8年7月の第一次答申において、教育においては、どんなに社会が変化しても「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)があるとして、次のように指摘した。すなわち、「豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたものを子どもたちに培うことは、いつの時代、どこの国の教育においても大切にされなければならないことである。」

このような教育は、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たしつつ相互に連携し、これらの教育がバランスよく行われる中で、豊かに実らせることができるものである。

しかし、現実には、家庭や地域社会の教育力の低下が指摘され、また、学校教育についても、過度の受験競争などを背景として、ややもすると学校生活に十分な「ゆとり」を持つことができず、友人たちとの交流を深めたり、自己実現の喜びを実感しながらじっくりと豊かな心をはぐくむ環境を構築しえていないとの指摘がなされている。さらに、社会一般においても、暴力的、性的情報が氾濫し、薬物乱用、性の逸脱行為、少年非行の凶悪化など極めて憂慮すべき状況となっている。

文部省としてはこれまでにも、これらの問題に対して学校教育、社会教育等を通じて種々努力しており、例えば、初等中等教育において次のような施策を進めてきた。

○ 道徳教育の充実

学校における道徳教育は、各教科、道徳、特別活動など教育活動全体を通じて行うことを基本としている。小・中学校では、特に道徳の時間(週1単位時間)を設けて、豊かな体験を通して内面に根ざした道徳性を育成し、道徳的実践力を養うことを目指して指導の充実に努めてきた。また、高等学校においては、公民科や特別活動を中心としながら人間としての在り方生き方を考えさせる教育の充実に努めており、幼稚園においても、幼児の生活全般を通じた指導により、道徳性の芽生えを培うことに努めてきた。

○ 豊かな心をはぐくむ教育推進事業の実施

全国271校の学校を実践研究協力校に指定し、豊かな心をはぐくむ教育推進事業を実施してきている。これらの学校は全国の学校のモデル校として、児童生徒一人一人が道徳的価値を主体的に身に付け、日常生活において実践できる道徳性を育むことを目指して、家庭及び地域社会との連携を図りながら、各学校の特色を生かした多様な実践体験活動を通して児童生徒の豊かな心をはぐくむ教育に取り組んでいる。

○ 交流教育地域推進事業

この事業は、盲・聾(ろう)・養護学校及び小・中学校の特殊学級と、幼稚園・小・中・高等学校や地域社会との多様な交流活動を展開することによりすべての児童生徒等の社会性の育成や豊かな人間形成を図るとともに、障害のある児童生徒等に対する理解と認識を推進しようとするものである。

しかし、子どもたちを取り巻く教育環境の現状を直視するとき、ここで改めて子どもたちの「心の教育」の在り方を問い直し、社会全体で真剣にこの問題に取り組んでいく必要がある。

そこで、平成9年8月、文部大臣から中央教育審議会に対して「幼児教育からの心の教育の在り方について」諮問を行い、子どもの心の成長をめぐる状況と今後の重視すべき心の教育の視点や幼児期からの発達段階を踏まえた心の教育の在り方等について検討することとした。

文部省としては、中央教育審議会の答申を得しだい、それを踏まえて更に「心の教育」の充実に取り組んでいくこととしている。


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