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1部   未来を拓く学術研究
第4章   学術研究をめぐる内外の動向
第3節   海外における学術政策の同行
1   経済協力開発機構(OECD)の科学技術政策委員会(CSTP)・科学システムグループ(GSS)における議論



(1) OECD諸国における状況

GSSは、OECDの下に置かれた作業グループで、国際情勢、経済情勢、社会情勢等の変化が各国の大学等の研究組織や政策に与える影響を把握し、有効な対処方法について検討することを目的としている。

現在、GSSでは、大学等の高等教育機関を対象に、各種の要因が21世紀の学術研究に与える影響について情報交換や検討を行っているが、その中で、OECD諸国に多く見られると報告されている状況について、紹介することとする。


(ア) 政府の研究開発費の減少

政府の研究開発費は、多くの加盟国において減少傾向にあり、大学の研究開発費も、その影響を受けている。伝統的に、大学における学術研究は「公共財」として財政支援を受けているが、政府の研究開発費の減少に伴い、新たな財源の確保が求められている。


(イ) 政府資金の質的変化

大学の研究に対する政府資金が、成果を重視した、目的指向型のプロジェクトに投じられ、その結果、大学の研究開発が短期的・市場指向型のものへと向かう傾向が見られる。


(ウ) 産業界からの研究開発資金の増加

産業界は、共同研究、委託研究や研究者の人件費の支出という形で、大学の研究資金を担い、その結果、大学における研究は、製品化のための応用へと向かう傾向が見られる。


(エ) 経済への貢献の要請の高まり

経済発展と技術革新への貢献の要請が高まり、大学の伝統的な学問分野別研究組織との緊張関係が生じている。


(オ) ネットワーク化の進展

産業界、政府の研究所等との共同研究等の進展に伴って、研究機関の間のネットワーク化が進み、研究体制が変容しつつある。


(カ) 大学における研究の国際化

情報通信技術の発達によって国際化が進展し、研究環境や研究開発に影響を与え、研究における国際競争の激化と更なる専門分化をもたらしている。


(キ) 研究者の養成・確保をめぐる問題の進行

研究者の高齢化と若者の科学離れによって、研究者の確保に対する懸念が強まっており、同時に、研究者の養成方法も多様化している。


(2) 我が国における状況の紹介等

我が国からは、

1) 大学改革の進捗(しんちょく)、
2) 科学技術基本計画の策定と競争的資金を中心とする研究資金の増加、
3) 産学の連携・協力の進展、
4) 国際化の進展

などの状況について報告した。これに対し、各国からは、フィンランドを除く多くの欧米諸国において科学技術予算が伸び悩む中、我が国が科学技術基本計画に沿って科学技術予算を着実に増加させていること、また、目的指向型の研究に重点を置く傾向が見られる中、我が国が基礎研究の振興に力を注いでいることに大きな関心が寄せられた。また、財政的な制約の中で大学の中心的使命である基礎研究を最大限推進すること、高等教育の大衆化が進む中で教育と研究のバランスを確保することなどは、我が国と欧米諸国に共通する課題であることが明らかになった。

OECD「1997年科学技術産業指標スコアボード」

○政府支出に占める研究開発投資の割合の推移

「ほとんどのOECD諸国は、政府支出総額の2.5%から3.5%を、国内で実施される研究開発に充てている。その割合は、アメリカ、フランス、オーストラリア、オランダがやや大きく、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドがかなり小さい。OECD諸国は、おおむねこの範囲に収まっているが、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカで指標値が減少する一方、スペインや多くの小規模国では増加している。1990年代には、この指標に表れた研究開発の優先度は、横ばいか低下の傾向にあったが、オーストラリア、オーストリア、フィンランド、スペインが、その主たる例外である。」

(注)我が国の科学技術関係経費が総予算に占める割合は、1996(平成8)年で約1.6%である。

○国費による研究開発において大学が占める割合の増大

「大学における国費による研究開発は、1990年代には、すべての地域において増加し続けた(アメリカにおける1990年と1991年の報告方法の変更を勘案してある)。アジア太平洋地域(OECD加盟国)においては、1994年に援助が横ばいとなった。1985年から95年までの10年間に大学において実施された国費による研究開発の割合は、欧州連合(EU)において約3分の1からほぼ2分の1、北米において約4分の1から3分の1となったが、アジア太平洋地域(OECD加盟国)においては約40%のままであった。オーストリア、ベルギー、スウェーデン、スイス、トルコにおいては、およそ3分の2かこれ以上の国費による研究開発が、大学において実施されている。」

「国費による研究開発の実施主体別割合(1985年及び94年)」


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