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1部   未来を拓く学術研究
第4章   学術研究をめぐる内外の動向
第2節   各研究分野の動向
4   地球・宇宙科学系


地球科学は、地球の内部や、地球表層の地圏、水圏、大気圏のあらゆる現象について、その仕組みの基礎的な解明を目的とし、そのため、社会生活とのかかわりも大きい。

固体地球物理学においては、高性能広帯域地震計を用いた観測の世界的普及に加え、地球物質の超高圧高温実験、あるいは実験不可能な条件についての数値シミュレーション等により、新たな地球内部構造論が展開されている。

世界有数の地震・火山国である我が国においては、地震予知計画・火山噴火予知計画に基づく高感度微小地震観測や人工地震観測をはじめとする様々な地球物理学的観測が行われ、地震活動やその発生過程、火山噴火機構の解明やその前兆現象の検出等に大きな成果を上げるとともに、日本列島及びその周辺の構造の解明も大きく進展した。今後、地震予知については、地殻内部の不均質構造や歪(ひずみ)・応力状態の把握に立った、地震発生過程全体のモデル化が重要な課題であり、そのためには、大学及び各関係機関の密接な連携の下に総合的な取組を行う必要がある。また、噴火予知については、マグマの上昇・噴出過程等に関する基礎的研究の推進や、時間的推移も加えた火山体の動的構造の解明が重要な課題である。

海洋物理学、海洋学においては、例えば、エルニーニョ現象(太平洋東部の熱帯域で起こる海水温上昇現象)も太平洋全体の海洋循環とかかわるものであることが明らかになりつつあるが、海洋大循環の解明が大きな課題である。海洋大循環の解明は、気候変動メカニズムの解明にも必要不可欠であるほか、深刻化しつつある海洋汚染等の海洋環境問題の解決にも資するという認識の下に、様々な国際協力・共同プロジェクトが推進されている。

気象学においては、気候モデルを用いた気候変動メカニズムの研究が進み、今日の大気・陸面・海洋結合大循環モデルは、気候変動の予測にとどまらず、地質時代の気候変動や二酸化炭素、メタン等の温室効果気体の循環についての研究にも応用されている。今後は、海洋物理学、水文学のほか、化学、生態学等との学際的な協力により、気候変動メカニズムの解明が進展し、局地予測の精度も向上するものと思われる。また、衛星観測による定量的データが恒常的に入手できるようになるとともに、解析手法が格段に進歩し、気候モデルのシミュレーションの進歩とあいまって、より高精度の気候変動メカニズムの解明が進むものと思われる。

これらの地球科学の分野では、近年、地球環境問題への取組が重要な課題となっている。このため、地球環境問題の本質解明と理解及びこれに基づく問題の解決を志向して、人文・社会科学から自然科学までの幅広い学問分野を総合化した、新たな地球環境科学を構築することが求められている。

近年、宇宙工学の成果である科学衛星の開発が、宇宙科学の飛躍的な発展をもたらした。また、コンピュータの性能向上により、大量の観測データの効果的処理はもとより、高度な数値シミュレーションが実行できるようになったことも、その発展に貢献した。我が国においては、年1機の割合で計画的に打ち上げられた科学衛星が、x線天文学、太陽物理学、磁気圏物理学を中心に、研究水準を飛躍的に向上させ、今や世界をリードする水準にあるとされている。これらの分野に加え、今後、発展が期待されるのは、赤外線天文学と太陽系科学であり、大型宇宙電波干渉計(天体からの電波を複数のアンテナで受信し、集中させて観測する装置)の実現、あるいは、月の内部や火星の大気に加え、水星、火星内部、彗(すい星せい)等の探査が課題となろう。これに伴い、探査機及び計測器の開発研究が一層重要となろう。


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