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1部   未来を拓く学術研究
第3章   学術振興の新たな展開
第3節   学術研究に対する評価を充実させるために
3   研究評価システムの整備


学術研究は、広範かつ多様であり、研究課題の評価については、当該研究の目的、性格、方法、規模、期間、分野等に対応して、また、研究機関の評価については、その設置目的、研究分野等に対応して、それぞれ適切な評価システムを整備する必要がある。


(1) 評価者

評価者は、評価の最も重要な要素であり、適切な評価を行うには、優れた評価者の確保が望まれる。

「学術研究と評価に関する調査」によれば、評価者の選出方法については、「意思決定者(評価を企画し、評価結果を利用して何らかの決定を行う者)が研究者集団の意見を聞いて決めることが望ましい」とする意見が過半数を占めている(1-3-12 )。

評価者の任期については、「特定の人への集中を避けて2〜3年任期で交替し、多くの人が参加することが望ましい」と考える研究者が約8割を超えている。

評価者の氏名の公表については、約半数の研究者が「審査終了まで公表すべきでないが、その後に公表するべきである」と考えている。科学研究費における審査員については、少なくとも審査終了後に全員の氏名を公表している。

また、評価理由(不採択理由)の公表については、「公表するべきである」、「被評価者だけに伝えるべきである」という意見が大半を占めている。科学研究費の一部の種目については、被評価者への不採択理由の開示が既に導入されているが、評価理由の公表は、被評価者に指針を与えるばかりでなく、評価作業そのものを評価する効果もあり、対象を更に拡大する方向で検討が進められている。

大学共同利用機関・附置研究所における評価報告書の例


(2) 評価時期

研究課題の評価における評価の時期は、事前・中間・事後の三つの段階が考えられるが、例えば、短期間の研究については、中間評価を省略したり、逆に、中・長期間の研究については、一回に限らず定期的に中間評価を行うなど、研究の内容・性格等を考慮しつつ、適切な期間を設定することが必要である。また、事後評価は、事前あるいは中間評価の結果を更に評価することにもなり、将来、新たな課題の採択に当たっての有用な資料の提供という意義も有しており、各時期の評価は密接に関連している。


(3) 評価指標

研究評価の基礎となる客観的データとして、発表論文数、論文引用回数、特許取得数、国際会議招待講演回数、受賞等が挙げられる。「学術研究と評価に関する調査」によれば、重要な評価指標として、「論文発表」、「論文引用回数」が上位を占めているが、「研究者集団による評価」も高い値を示している(1-3-13 )。客観的データは、評価結果の研究者や社会への受容を高めるために大切であり、評価の参考資料として有効に活用すべきであるが、評価は、最終的には、定量的側面と定性的側面を総合して判断すべきものであるという認識を反映しているものと考えられる。数値的指標については、現時点では必ずしも十分ではない面があるため、その限界に留意しつつ活用することが望まれる。


(4) 評価支援体制

適正な評価を実施するに当たっては、評価者や被評価者となる研究者の本来の研究活動に大きな支障が生じることを回避する観点からも、それを支える体制の整備・充実が要請される。特に、審査委員会等の組織・運営を充実するとともに、

1) 論文数、論文引用回数、著作物に関する情報などの評価指標として活用し得る客観的データや国際的研究動向、評価の結果に関する情報の収集・整理・分析、
2) データベースの作成・維持等を行い得る体制の整備

を進めることが求められる。


(5) 評価結果の取扱い

評価は、その結果が適切に活用されてはじめて真価を発揮するものであり、研究計画、研究資金・人材等の研究開発資源の配分等の見直し、研究機関の運営の改善、個々の研究課題を包括する研究制度の改善などに適切に反映される必要がある。

また、既に述べたように、被評価者に評価結果及び理由を開示することのみならず、評価の公正さ・適正さを確保し、社会の理解と支持を得るために、各種の場や手段を通じて、評価結果等を社会に向けて積極的に発信していくことが重要である。科学研究費については、その採択課題の情報をはじめ、審査方針、審査日程、評価基準、審査員などの制度全体にわたる情報を毎年公表している。また、大学等の機関評価についても、大半の機関が自己点検・評価の結果を公表している。

1-3-12 評価者に関する研究者の意識

1-3-13 評価指標に関する研究者の意識


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