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1部   未来を拓く学術研究
第3章   学術振興の新たな展開
第1節   重点的な研究推進システムの活用に向けて
2   重点的な研究推進システムの現状


重点的な研究推進システムとしては、多種多様なものが考えられるが、代表例としては、大型研究(いわゆるビッグサイエンス)の推進(研究費の視点から見れば、第2章第1節2(4)の「重点的資金」による研究)が挙げられる。平成4年の学術審議会答申は、大型研究について、「研究者、研究費、研究施設・設備等の研究資源について、一定期間内に集中的に投入することが必要な大型の研究プログラムであって、投入される研究資源が相当規模以上のもの」とし、「加速器科学、宇宙科学、天文学、核融合研究」を例示している。本節においては、これらの大型研究ほど大規模・長期的でないものの、一定規模・期間内において特定の研究課題等を重点的に推進するシステムとして、1-3-1 のとおり、

1) 特別推進研究、
2) 重点領域研究、
3) 新プログラム方式による研究、
4) 核的研究拠点(COE)形成プログラム、
5) 未来開拓学術研究推進事業

を取り上げる。

このうち、4)及び5)については、それぞれ第2章第1節及び第2節で既に触れているため、ここでは、1)、2)及び3)について説明することとする。


(1) 特別推進研究

特別推進研究は、科学研究費の種目の一つとして、昭和54年度からの試行を経て57年度から実施しているもので、我が国における独創的・先駆的基礎研究を伸ばすことを目的とする重要な研究推進システムである。その特色は、一人又は比較的少数の研究者による研究計画に対して多額の研究費を3年から5年にわたって交付することにあり、発足当時の実施要項では、「世界の最先端を行く極めて優れた研究であって、格段に優れた研究成果をもたらす可能性を持つ研究課題に対し、重点的に助成する」とされている。採択件数はおおむね1年当たり10件程度に厳選されている。

1-3-1 重点的な研究推進システムの現状

特別推進研究「チンパンジーの言語・認知機能の獲得と世代間伝播」(平成7〜11年)- 色名漢字を読みとるアイ -

平成9年度から開始される特別推進研究の研究課題

(理工系)

○高密度半導体量子ドット構造の形成と評価の研究

○マイクロバンチ電子のコヒーレントな放射の研究

○ダークマターアクシオンの探索

○ワイドギャップ半導体の電子物性制御とエネルギーエレクトロニクスへの展開

○高分子ゲルを用いた生物様運動素子の創製

○小分子の特異な活性化をめざした金属反応場の構築

○植物の感覚と運動に関する化学的研究

(生物系)

○心血管系の発生分化とその分子機構の解析

○タンパク工学とホログラフィック・クライオ電子顕微鏡法によるモータータンパク質機能の研究

○腎臓膜輸送体異常症の分子細胞生物学的研究

○体液・循環調節に関与するペプチドホルモン受容体に関する比較分子生物学的研究

○アクチン調節タンパク質コフィリンの機能


(2) 重点領域研究

重点領域研究は、科学研究費の種目の一つで、昭和60年7月の学術審議会建議を受け、62年度から実施しているものである。重点領域研究は、常に研究手段や研究手法が高度化し、進展している学問の世界において、流動的・弾力的な研究組織と研究費とを組み合わせた効率的な研究推進システムであり、研究者集団からの要請を踏まえて、新たに展開されるべき先駆的研究領域に対し、時機を逸することなく、当該領域の実状、研究内容等に応じ、単年度当たり5,000万円から6億円程度、3年から6年の範囲内で、重点的に研究費を交付するものである。重点領域研究に対する研究者の期待は極めて高く、平成9年度の申請は178件に上り、うち23件が採択されている。

平成9年度に発足する重点領域
○ 心の発達:認知的成長の機構
○ 日本人及び日本文化の起源に関する学術的研究
○ 微小領域の磁性と伝導
○ 構造規制機能界面の構築と電極反応
○ 有機化学新現象-多元素協同作用に基づく炭素共有結合形成の新機軸-
○ インターエレメント結合の化学
○ スーパーバイオシステムの高次認識糖鎖分子による構築
○ ニアフィールド・ナノ光学-極微小空間に局在するフォトンの科学と工学-
○ 材料組織制御をめざした相変態の微視的機構の解明
○ カーボンアロイ-炭素材料の空間制御と新機能の展開-
○ スピン制御による半導体超構造の新展開
○ 発展機構を備えたソフトウェアの構成原理の研究
○ cp非保存の物理
○ ゼロエミッションをめざした物質循環プロセスの構築
○ 生体機能と設計分子
○ 植物個体における光合成機能制御の分子基盤
○ 脊椎動物のボディープランの分子的基盤
○ 分子シャペロンによる細胞機能制御
○ 転写調節機構から挑む高次生命現象の解析
○ rna動的機能の分子基盤
○ 生物分子モーターの多様性と同一性
○ 神経細胞死とその防御の分子制御
○ 動脈硬化の分子機構

(3) 新プログラム方式による研究

新プログラム方式による研究は、学術審議会建議「学術研究振興のための新たな方策について-学術の新しい展開のためのプログラム-」(平成元年7月)に基づき、平成2年度から実施されている。学術研究をめぐる動向及び学術研究に対する要請に的確に対応するため、学術審議会の意見を聞きつつ、国において推進すべき研究分野等を機動的、弾力的に設定し、重点的に研究者、研究費等を投入することにより、学術研究の発展の基礎となるような研究の積極的な振興を図るものである。

平成9年度における推進課題は、次のとおりである。

平成9年度における推進課題
○ 学術研究支援のための超高速情報通信網の研究開発
○ 発生・形態形成の個体レベルにおける分子生物学的研究
○ 生体機能分子の設計・合成
○ 細胞内情報伝達機構網の研究
○ 国際社会における日本語についての総合的研究
○ 高感度レーザー干渉計を用いた「重力波天文学」の研究
○ 東アジアにおける地域の環境に調和した持続的生物生産技術開発のための基盤研究
○ ユーラシア社会の人口・家族構造比較史研究
○ 海半球ネットワーク:地球内部を覗く新しい目
○ 表面・界面-異なる対称性の接点の物性
○ 現代イスラーム世界の動態的研究-イスラーム世界理解のための情報システムの構築と情報の蓄積
○ 人間主体のマルチメディア環境形成のための情報媒介機構の研究
○ 地球環境攪乱(かくらん)下における生物多様性の保全及び生命情報の維持管理に関する総合的基礎研究

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