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1部   未来を拓く学術研究
第1章   学術振興の基本的考え方
第2節   科学技術創造立国を支える学術研究
1   学術と科学技術


学術は、包括的かつ総合的な概念であり、何よりも知の体系化を重要な要素とする。すなわち、学術研究は、人文・社会科学から自然科学に至るあらゆる学問分野における幅広い知的創造活動であって、新しい法則・原理の発見、分析や総合の方法論の確立、新しい知識や技術の体系化、先端的な学問領域の開拓などを目指すものである。

人類の歴史において、古代ギリシャの哲学者たちがアゴラ(広場)で自由闊達(かったつ)に議論し、ストア派などの学派を形成して、その哲学体系を伝達し、発展させていったり、あるいは、中世ヨーロッパにおいて、北イタリアのボローニャ大学が自治権を得て法学の研究と教育を発展させていったように、学術研究は、知の体系化とその発展が、自由な環境の下で、組織的に、教育や人材養成を伴いながら進められていった。このようにして、人類は、歴史や文明とのかかわりの中で、その影響を受けながらも、知の体系化の場として、大学を中心に学術研究を営々と発展させ、その基盤の上に文明・文化が開花しているのである。

今日、我が国において、大学が、学術研究の中心的な担い手として、大学の自治の保障の下に、研究活動とともに教育と研究者の養成を一体的に進めているのも、このような人類の歴史的な英知の所産と言えよう。なお、平成8年における我が国の大学の研究者数は約24万3,000人(うち自然科学関係が約16万5,000人)である(1-2-1 参照)。

一方、18世紀の産業革命以降、特に自然科学を応用して産業活動等に結び付け、技術として具体化するとともに不断の高度化が図られるようになったが、このような科学技術は、大量生産・大量消費社会の実現を可能とし、文明の不可欠な要素となっている。

我が国においては、このような科学技術に関する研究開発の主たる担い手は、言うまでもなく民間企業である。平成7年度には研究費総額の65.2%を支出し、このうち、新材料・装置・システム・工程等の開発や改良を目的とする開発研究が71.3%、基礎研究によって得られた知見を利用して実用化を目指す応用研究が22.0%を占めている(1-2-7 参照)。なお、8年における会社等(資本金1,000万円以上の会社及び研究を専門としない特殊法人)の研究者数は約38万4,000人(うち自然科学関係が約38万人)であるが、そのほか、各省庁や地方公共団体の試験研究機関等において、国民経済、産業発展への寄与などの特定の政策目的に従い、主として自然科学に係る研究開発が行われている。なお、8年における国立、公立及び公益法人の研究機関の研究者数は、約4万6,000人(うち自然科学関係が約4万2,000人)である(1-2-1 参照)。このような科学技術に関する研究開発も、学術研究を基盤に発展し、また、その成果が学術の知的体系に取り込まれてこそ、人類の知的資産としての更なる発展や革新が可能となるのである。

なお、イギリスの学術雑誌「ネイチャー」に掲載された日本からの論文の著者の所属機関(1-1-4 )を見ると、大学・大学共同利用機関が大半を占めており、我が国の大学・大学共同利用機関の研究成果が国際的にも高く評価されていることが窺(うかが)われる。

1-1-4 学術雑誌「ネイチャー」に掲載された日本からの論文の著者の所属機関


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