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1部   未来を拓く学術研究
第1章   学術振興の基本的考え方
第1節   学術研究の意義・役割
3   科学技術基本計画への対応


学術研究及び科学技術に対する期待の高まりを背景として、平成7年11月に科学技術基本法が公布・施行され、8年7月には、同法に基づく科学技術基本計画が、科学技術会議の議を経て策定(閣議決定)された。

同計画は、今後10年程度を見通した、平成8年度から12年度までの5年間の科学技術政策を具体化するものとして策定されたものであり、研究開発推進の基本的方向として、

1) 社会的・経済的ニーズに対応した研究開発の強力な推進、
2) 物質の根源、宇宙の諸現象の解明や、新しい法則・原理の発見などを目指す基礎研究

の積極的な振興を掲げている。

また、同計画は、

1) ポストドクター等1万人支援計画の平成12年度までの達成や、研究開発を支援する人材の養成・確保、競争的環境の下で提供される研究資金の大幅な拡充など、創造的な研究開発活動の展開のためのシステムの構築、
2) 民間との共同研究の促進、兼業許可の円滑化による産学官の連携・交流等の促進など、各セクター間、地域間及び国際間の連携・交流システムの構築、
3) 適切な評価の仕組みの整備と厳正な評価の実施など、新たな研究開発システムの構築、
4) 施設・設備の老朽化、狭隘(きょうあい)化の速やかな改善

など、望ましい研究開発基盤の実現、などについて記している。

さらに、同計画は、政府の研究開発投資の拡充について、21世紀初頭に対国内総生産(GDP)比率で主要欧米諸国並みに引き上げるとの考え方の下に、計画期間内に倍増させることを強く求めており、平成8年度から12年度までの科学技術関係経費の総額の規模を約17兆円とすることが必要であるとしている。また、我が国は財政の健全化が緊急課題となっており、このような観点を踏まえ、毎年度の予算編成に当たっては、財政事情等を勘案するとともに科学技術の振興に十分な配慮を行い、同計画に掲げる施策の推進に必要な経費の拡充を図っていくこととしている。なお、9年6月に閣議決定された「財政構造改革の推進について」においては、10年度から12年度までを「集中改革期間」としつつ、同計画の実施に当たって、危機的な財政事情を勘案して弾力的に取り扱い、財政構造改革予算と整合性のとれたものとすることとされている。

研究開発の推進に当たっては、基礎科学の振興とともに重要分野の研究開発を推進するが、その際、

1) 基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に配慮する、
2) 自然科学と人文・社会科学との調和のとれた発展に留意する、
3) 人間の生活、社会及び自然との調和を図る、
4) 研究者の自主性の尊重その他の大学等における研究の特性に配慮する、

とされている。

文部省では、従来から、学術審議会の答申等を踏まえ、我が国の学術研究基盤を国際的水準に引き上げることを目標として、その計画的・重点的な整備を図るとともに、柔軟で活力に満ちた世界に開かれた学術研究体制の整備に努めている。

文部省では、科学技術基本計画に盛り込まれた学術研究とこれに関連する施策を積極的に推進することとしており、同計画初年度の平成8年度においては、

1) 科学研究費補助金(以下、第I部において「科学研究費」という。)の大幅な拡充、
2) 日本学術振興会への出資制度(未来開拓学術研究推進事業)の創設、
3) 設備や支援体制などの研究環境の高度化、
4) 卓越した研究拠点(COE)の形成、
5) 新プログラム方式による研究の推進、
6) 「ポストドクター等1万人支援計画」の実現に向けた若手研究者の養成・確保、
7) 学術情報基盤の整備、
8) 宇宙科学等の基礎研究の重点的な推進、
9) 私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業の創設、
10) 大学と産業界等との研究協力の推進、
11) 学術国際交流・協力の推進、

などを図った。9年度においては、引き続き、科学研究費を1,122億円(対前年度104億円増)に、日本学術振興会出資金を206億円(対前年度96億円増)に大幅に拡充し、また、「ポストドクター等1万人支援計画」のための経費を5,701人分(対前年度1,145人増)計上するとともに、私立大学学術フロンティア推進事業(38億5,000万円)を創設するなど、各施策の推進を図っている。

今後は、これら大学等における学術研究の推進施策に必要となる関連予算の充実等に特段の努力を行い、科学技術基本計画の達成に向けて全力を尽くしていくこととしている。

科学技術基本計画における政府研究開発投資の早期倍増の基礎にある考え方

科学技術基本計画においては、「平成8年度より12年度までの科学技術関係経費の総額の規模を約17兆円とすることが必要である」とされている。この金額は、我が国の政府研究開発投資を早期に倍増し、対国内総生産(gdp)比率で欧米主要国並みに引き上げる(最新のデータとして 【図1】 参照)必要があるという認識の下に、このような倍増を同計画の期間内(12年度まで)に実現する場合における、期間内の各年度に支出されるべき経費を合計したものである。

科学技術基本計画に、このような具体的な数値目標が掲げられたのは、我が国においては、民間企業が開発・応用研究を中心に、国際的にも極めて高い水準の投資を行っているのに対し、基礎研究の中心的な担い手である政府の研究開発投資が欧米諸国に比べて相当低い水準にあり( 【図2】 参照)、この改善を図ることが我が国の科学技術の発展にとって、極めて重要であるとの認識に基づくものである。なお、平成9年度科学技術関係予算は3兆28億円であるが、このうち文部省所管分は1兆2,890億円で、関係省庁間で最大の42.9%を占めている(1-2-8 参照)。

【図1】 主要国における政府負担研究費の対gdp比率

【図2】 主要国における研究費の組織別負担割合


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