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2部   文教施策の動向と展開
第12章   21世紀に向けた文教施設づくり
第2節   特色ある学校施設の充実に向けて
2   国立大学の教育研究環境の高度化・多様化を目指して



(1) 国立学校施設の現状と課題

我が国の国立学校施設(大学、短期大学、高等専門学校、大学共同利用機関等)は、戦後の高等教育の普及に伴って量的拡大を遂げ、平成8年5月現在の建物面積は、約2,129万m2となっている。これらの建物のうち、改修等が必要とされる建築後20年以上を経過した面積が全体の約51%を占めており(2-12-2 )、老朽化や機能の劣化への対応が急務となっている。

また、大学院生や留学生の増加、実験・研究設備の増加や大型化並びに情報機器や資料の増加等のため、施設の狭隘化も年々深刻になりつつある。

このような現状に対処するため、文部省では、

1) 高度化・多様化する教育研究にふさわしい機能を備え、質的水準を満たす施設づくり、
2) 知的創造活動の場として人間性・文化性豊かな環境の創造、
3) 広く社会に開かれたキャンパスづくり

の観点に立ち、

ア. 老朽狭隘施設の改善、
イ. 移転統合の推進、
ウ. 附属病院の再生再開発、
エ. 大学改革への対応、
オ. 学術研究の推進への対応

などを課題として、次のような施策を積極的に推進している。

第一は、施設の老朽化・狭隘化を改善するための施策である。老朽化した施設を今日の教育研究にふさわしい機能を備えたものにするため、建物の改築・改修、学内lan等の情報化への対応並びにエネルギー供給設備等の基幹設備の更新等を進めている。このため、文部省では、平成4年度から 「特別施設整備資金」の制度 【用語解説】を設け、この資金の活用も併せて、積極的に教育研究環境の整備充実を進めている。

また、高度化、多様化する教育研究に必要な実験研究のための十分なスペースを確保できるよう、平成6年度に大学(学部・大学院)の校舎、7年度に大学附置研究所・附属研究施設、8年度は引き続き大学の共通教育の校舎及び高等専門学校の校舎等について施設基準面積の改定を行い、おおむね20%増の改定を行っている。

第二は、時代の変化に対応した施設整備を推進するための施策である。現在、全国の国立大学では、時代の変化に対応して積極的に大学改革を進めており、大学院の拡充や学部学科の改組など大きく変化している。また、国際化・情報化の進展など大学をめぐる状況も大きく変化しており、このような変化に伴って生じる新たな施設整備の需要に対応する必要がある。

これら施策を推進するため、国立学校施設整備費として平成7年度補正予算において約1,843億円を措置するとともに、8年度当初予算において、7年度当初予算(約1,371億円)に比べ12.0%増の約1,535億円を計上している。

また、平成8年7月に閣議決定された「科学技術基本計画」においても、国立大学等の施設について、老朽化・狭隘化の解消及び新たなニーズに対応した学術研究環境の整備について、適時適切な改築、改修時期の調査検討を行いつつ計画的に推進することについて述べられている。

2-12-2 国立学校施設経年別保有面積


<「特別施設整備資金」の制度>

国立学校の土地等の財産の有効活用により生じる一時的に多額の処分収入を特別の「資金」として積み立てることにより,安定的かつ計画的に教育研究環境の改善を進めるための制度である。


(2) 新たな教育研究環境の創造

文部省では、国立大学における新たな施設需要に対応するため、次のような施策を積極的に推進している。

1) 大学改革に伴う新たな大学院施設や新学科棟の建設を進めるとともに、教官、学生が快適に教育研究を進めることができるよう、実験室や研究室、交流のためのラウンジなど、ゆとりと潤いのある校舎等の整備を進めている。
2) 理工系人材の養成という観点から、島根大学及び和歌山大学において工科系学部の新設計画が進められており、これに必要な施設の整備を行うこととしている。
3) 各国立大学が地場産業など地域の産業界と密接に連携し、活発な共同研究を進めるため、地域の先端的な研究活動の中核となる先端科学技術共同研究センターや地域共同研究センターの整備を進めている。
4) 北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学及び熊本大学等において、工学部等の施設の老朽化や狭隘化を解消するとともに、高度化・多様化する教育研究に対応できるよう、キャンパスの再開発整備を行っている。
5) 国立大学の附属病院が医学の進歩に伴う医療の専門化・高度化に対応するとともに、患者にとって快適な病院に再生するため、北海道大学、東京大学、東京医科歯科大学、名古屋大学、京都大学、徳島大学等において、再開発整備を進めている。
6) 学術研究フロンティアの新たな展開に向けて、学術研究機能の重点的高度化を図るため、東京大学の新キャンパス構想を推進することとし、柏地区においては物性研究所等の施設を、駒場II地区においては生産技術研究所等の施設の整備を進めている。
7) 東京外国語大学においては、閣議決定「国の行政機関等の移転について」に基づき、現キャンパス(東京都北区)から旧関東村住宅地区跡地(東京都府中市)に移転することとして基本設計に着手している。 金沢大学では、分散、狭隘化した各キャンパスを金沢市角間地区に移転統合することとして事業を進めてきており、これまで、文学・法学・経済・理学・教育の5学部の移転をほぼ完了し、平成7年度から新たに工学部等の移転のための事業に着手している。
8) 新構想の高等教育機関の創設に対応するため、北陸先端科学技術大学院大学(石川県辰口町)、奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)において、21世紀を目指した新しい、高度なキャンパスづくりを進めている。
9) 基礎研究の重点的な推進を図るため、東京大学宇宙線研究所の大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測施設(岐阜県神岡町)、核融合科学研究所の大型へリカル実験施設(岐阜県土岐市)及び国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡ドーム(米国ハワイ州)等の整備を進めている。
10) 留学生や外国人研究者の増加に対応できるよう、留学生宿舎、国際交流会館及び留学生センター等の整備を着実に進めている。
11) 新産業創出のための独創的な研究開発の推進と高度な専門的職業能力を持つ創造的な人材育成を目的とした施設であるベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを多数の理工系大学院生を擁する拠点大学に整備している。 また、その周辺の国立大学において、各地域の地元産業の振興を図り、地域密着型のベンチャー・ビジネスの研究開発を推進するため、拠点大学と連携するサテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを整備している。
金沢大学角間キャンパス(金沢市)

東京工業大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー


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