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2部   文教施策の動向と展開
第10章   教育・文化・スポーツの国際化に向けて
第1節   国際化に対応した文教施策


冷戦が終結し、市場経済が世界的広がりを見せつつある今日、国際社会における人・物・情報の流れはその速度と密度を増している。また、環境問題をはじめとする地球的規模の課題に各国が一致協力して取り組むことの重要性がますます高まっている。このように、世界が急激に国際化するるとともに国境を越えた相互依存の様相を強める一方で、経済摩擦や民族紛争が多発・激化するなど、我が国を取り巻く国際環境には厳しいものがある。国民一人一人のレベルにおいても、諸外国の人々や文物との直接的・間接的な接触の機会が一段と増大し、外国の異なる文化がより身近な存在になりつつある。

このような国際化の時代にあって、世界各国と共生しつつ我が国の経済・社会の一層の発展・成熟を期するとともに、国民が各国の人々と物質的のみならず精神的にも豊かな生活を分かち合うためには、以下に述べる三つの課題への取組を強化し、国際化に対応した文教施策の展開を図っていく必要がある。

第一の課題は、日本人としての自覚と共に国際的な視野と経験を身に付け、21世紀の国際社会の中で主体的に生きる日本人を育成していくための諸施策を充実することである。平成8年7月19日の中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」は、第3部第2章「国際化と教育」において、

1) 広い視野を持ち、異文化を理解するとともに、これを尊重する態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく資質や能力の育成を図ること、
2) 国際理解のためにも、日本人として、また、個人としての自己の確立を図ること、
3) 国際社会において、相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意思を表現できる基礎的な力を育成する観点から、外国語能力の基礎や表現力等のコミュニケーション能力の育成を図ること、

に特に留意して教育を進める必要があると提言している。

第二の課題は、各国の人々とお互いの文化、習慣、価値観等を理解し合い、信頼関係を築いていくために、教育・文化・スポーツの分野での国際交流を一層推進することである。これらの分野における国際交流は、国,地方公共団体、民間団体等により、様々な形態で行われている。政府レベルでは、既に50か国近い国との間で文化協定、文化取極等が交わされており、留学生交流、相手国言語教育の普及、研究者交流、スポーツ・文化交流等の促進が図られてきているが、近年特に、このような分野における国際交流の重要性についての各国首脳の認識が深まっている。例えば、平成8年4月の東京での日米首脳会談においては、日米国民交流の推進が一つの柱として取り上げられ、

1) 両国政府は、両国の若者の間の相互の交流事業を更に推進すること、さらに、
2) 日本政府は、米国の高校生、大学生、学部卒業生、教職員、若手研究者、若手芸術家等を対象とした日本について学ぶ機会を提供するための包括的取組を推進すること、

等が日米両首脳によって新たに合意されたところである。

第三の課題は、我が国の国力と国際社会における地位にふさわしい国際貢献を行い、諸外国の我が国への期待にこたえていくとの観点から、人づくり等に貢献する国際協力を積極的に推進していくことである。平成8年6月5日の「時代に即応した国際教育協力の在り方に関する懇談会」報告は、国際教育協力を「工学・農学・医学・経済学・法律学等の高等教育、初等中等教育、社会人等を対象とした専門技術協力や識字教育等を含めた幅広い分野において、開発途上国の人材養成に対して行われる協力(いわゆる人づくり協力)」と定義し、このような教育協力は、開発途上国の教育水準の向上等の観点から重要であるのみならず、我が国の教育の国際化や人材養成にとっても極めて有意義である旨指摘している。また、このような二国間協力とともに、ユネスコ、国際連合大学、oecd、apec等の国際機関を通じた国際協力、多国間協力も近年ますます重要になってきており、教育の分野で高い国際評価を受けている日本の積極的取組が求められている。

なお、国連においては、「児童の権利に関する条約」等の国際条約、「人権教育のための国連10年」等の国際年・国際日、「社会開発サミット」等の国際会議を通じて、教育や文化にも関連した様々な活動を行ってきており、文部省では、これらの国際的な動きをも踏まえ、関連施策の一層の充実を図っている。

以下、第2節から第4節においては、上記の三つの課題それぞれに対応した諸施策の展開に関し、順次詳述することとする。


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