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2部   文教施策の動向と展開
第8章   スポーツの振興
第3節   世界の頂点を目指す競技スポーツの振興
1   トップアスリートの育成のために


オリンピック競技大会等の国際競技大会における日本選手の活躍は、国民、特に青少年のスポーツに対する興味や意欲をかき立て、我が国のスポーツの普及・振興を促進するとともに、いわゆる「みるスポーツ」として国民に大きな感動や楽しみ、活力を与えるものとなっている。

一方、近年、世界の競技水準が著しく向上している中で、我が国の競技水準は、今回のアトランタ大会における我が国の選手の成績に見られるように、オリンピック競技大会、アジア競技大会等の国際競技大会において優秀な成績を収めることは困難な状況となっている(2-8-1 )。

その要因としては、

1) 選手に対するジュニア期からの一貫した指導体制の不備、
2) スポーツ科学の成果を取り入れた選手強化の面での立ち遅れ、
3) 選手及びコーチに対する支援体制の不備や選手生活を終えた後の処遇の問題

などが考えられ、これらの問題に積極的に対応することが望まれる。

我が国においても平成10年に長野オリンピック冬季競技大会が、14年にサッカーの2002年ワールドカップが開催される予定であり、我が国の競技力の一層の向上が期待されている。

このため、文部省では、次のような施策を実施している。

2-8-1 オリンピック競技大会等におけるメダル獲得状況


(1) 選手強化事業の充実

文部省では、(財)日本オリンピック委員会の行う

1) 選手強化事業、
2) 国際交流事業、
などの事業、(財)日本体育協会の行う
1) 社会体育指導者の養成、
2) ジュニア育成事業、
3) 海外スポーツ技術協力事業(oda)、

などの事業に対して国庫補助を行っている。

また、スポーツ振興基金( 第1節2 参照)も、各競技団体等やトップレベルの選手・指導者に対し、競技力向上のための援助を行っており、国による援助と併せて、我が国スポーツの振興に大きな役割を果たしている。

アンチ・ドーピングについて

ドーピングとは、スポーツ選手が競技力を向上させるために、禁止されている薬物・方法を用いることであり、

1) スポーツのフェアプレーの精神に反すること、
2) スポーツ選手の健康を害すること、
3) 薬物の習慣性から犯罪をおこすなどの社会問題となること、

などの理由から、国際オリンピック委員会(ioc)、各国際競技連盟において厳しく禁止されているものである。

文部省では、選手及びコーチ等のドーピングに関する啓発を図るため、(財)日本オリンピック委員会(joc)と協力しつつ、平成6年3月に、ドーピングに関する冊子及びビデオを作成し、各競技団体及び全国の体育系大学、高等学校等に配布するとともに、8年度からは、新たに、jocが行うアンチ・ドーピング活動を総合的に推進するための事業に対して国庫補助を行っている。


(2) 都道府県における競技力向上施策への援助

競技力の向上のためには、素質のある選手を早期に発掘し、中・長期的な視点に立った指導・養成を行う必要がある。このため、競技力向上ジュニア対策事業(各都道府県が都道府県体育協会等の協力を得て、中学・高校生を対象とする強化合宿やコーチの配置を行う事業)に対し補助を行っている。

また、我が国の体育・スポーツの向上と振興に特に顕著な功績のあった者をスポーツ功労特別指導委員として委嘱し、都道府県の主催するスポーツ事業における指導等に派遣している(平成8年度予定:14競技21名、46事業)。


(3) 指導者の資質向上

競技力の向上を図るためには、資質の高い指導者の養成・確保も重要な課題である。このため、平成8年10月現在、陸上競技など32競技(5,304人)について、競技団体等が実施している競技力向上指導者の養成事業を文部大臣が認定している。

また、選手の育成・強化に当たるコーチ、スポーツ医・科学の研究者及び都道府県の行政担当者等が、研究協議や情報交換を行うとともに、相互の理解を深め、有機的な連携に基づく強化指導体制の確立を目指すため、スポーツコーチ国内サミットを開催している。


(4) 文部大臣顕彰の実施

世界選手権大会等の国際競技大会で優秀な成績を収め、又は、その指導に携わるなど、我が国スポーツの振興に特に功績があった者に対して文部大臣顕彰を行っている。

特に、オリンピックメダリストについて、他の競技大会による成績優秀者との位置付けを明確にするため平成6年2月にオリンピック競技大会優秀者顕彰規程(文部省令)を制定し、リレハンメル冬季オリンピックからこの規程に基づき文部大臣顕彰を行っている。

また、(財)日本オリンピック委員会は、平成4年のアルベールビル冬季オリンピックからオリンピックメダリストに対して報奨金を交付しているが、このようなオリンピック競技大会の特殊性を考慮し、平成6年のリレハンメル冬季オリンピックから、この報奨金について所得税が非課税とされている。

アトランタオリンピックの柔道女子61kg級で優勝した惠本裕子選手

アトランタオリンピックで活躍した日本選手

アトランタオリンピックでの日本選手の成績は金メダル3、銀メダル6、銅メダル5,4〜8位の入賞者36であり、競技全体としては結果として獲得メダル数、入賞者数ともに前回のバルセロナオリンピックの成績を下回った。しかしながら、その中で柔道、ヨット、陸上、シンクロナイズドスイミング等での女子選手の活躍は目覚ましいものがあり、国際競技力向上のうえで、将来に明るい見通しが持てるものであった。

○今大会で活躍した、主な女子選手

柔道の惠本裕子選手(女子柔道界初の金メダル獲得)

柔道の田辺陽子、田村亮子選手(2大会連続の銀メダル)

ヨットの重由美子、木下アリーシア選手

(ヨットで男女通じての初のメダル獲得)

陸上の有森裕子選手(マラソンで我が国初の2大会連続メダル獲得)

シンクロナイズドスイミング日本チームの立花美哉他9名の選手

(ロサンゼルス大会から4大会連続で銅メダル獲得)


(5) スポーツ医・科学の研究体制と強化拠点となる施設の整備

近年の世界の著しい競技水準の向上に対抗するためには、科学的・体系的・組織的な選手強化が必要である。このため、保健体育審議会、臨時教育審議会、スポーツの振興に関する懇談会(内閣総理大臣の懇談会)等においても、我が国におけるスポーツ医・科学の研究の遅れを指摘した上で、競技力の向上を図るためのスポーツ医・科学研究所とナショナルトレーニングセンターの設置が急務であると指摘されている。

このような提言等に基づき、文部省では、現在、「国立スポーツ科学センター」(仮称)を設置するための準備を進めている。このセンターは、我が国の競技力向上を図るため、スポーツ医・科学の研究等を行うことを目的とする施設であり、特殊法人日本体育・学校健康センターの機関として設置される予定である。

なお、400mトラック、多目的グラウンド、テニスコート、体育館、水泳プールなどの各種のスポーツ施設及び宿泊施設を配置した各競技用のトレーニング施設を備えた総合的なナショナルトレーニングセンターについては、長期的な目標として検討を進めることとしている。


(6) 国民体育大会の開催

国民体育大会(国体)は、各都道府県対抗による我が国の総合的な競技大会であり、「国民スポーツの祭典」として、我が国のスポーツ振興に大きな役割を果たしている。

平成8年度は、夏季・秋季大会が広島県で、冬季大会が北海道及び秋田県で実施され、9年度は、夏季・秋季大会が大阪府で、冬季大会が岩手県で、10年度は、夏季・秋季大会が神奈川県で実施される予定である。


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