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2部   文教施策の動向と展開
第4章   高等教育の多様な発展のために
第1節   進む高等教育
5   開かれた大学づくりに向けて



(1) 多様な学習ニーズへの対応

今後、大学には、多様な世代の学習ニーズにこたえることのできる、生涯学習機関としての機能を強化していくことが求められている。このためには、大学への入学機会をより多様化するとともに、多様な学生に配慮した履修形態の柔軟化、多様な学習成果に対する評価の工夫等を図り、開かれた大学づくりを推進していく必要がある。


(ア) 入学機会の多様化

平成3年の大学設置基準の改正により、従来は欠員が生じた際に受け入れていた短期大学・高等専門学校からの編入学について、各大学があらかじめ編入学定員を設定できるようにした。このことを受けて、編入学者は、7年度には計1万2,348人と、元年度から倍増している。また、社会人のための特別選抜を実施する大学も増加しており、7年度においては、学部、大学院双方について、4割以上の大学で実施されている。


(イ) 履修形態の柔軟化

多様な学生の要請にこたえるため、学生の都合に合わせて昼間・夜間の両方に授業を行う昼夜開講制の大学が増加するとともに(平成7年度現在、学部については33大学、大学院については113大学)、専ら夜間に教育を行う夜間大学院の設置が進む(8年度までに11大学)など、大学での履修形態もより柔軟なものとなってきている。

また、全体の6割を超える358大学で、特定の授業科目やコースを履修し単位を取得できる科目等履修生制度が導入され、1万人以上がこの制度により大学で学習している。


(ウ) 多様な学習成果に対する評価の工夫

平成3年に学位授与機構を創設し、短期大学や高等専門学校の卒業生、各省庁の大学校の卒業生など、大学の卒業生以外の人に対しても学位取得の道を開いた。平成7年度においては、「学士」が1,544人に、「修士」が90人に、「博士」が14人に、それぞれ授与されている。

さらに、平成3年の大学設置基準改正により、専門学校における学修や、英語検定などの文部省認定技能審査等の大学の授業以外の多様な学習について、大学の判断により単位を認定することができるようになっており、実績も徐々に上がってきている。


(2) リフレッシュ教育の推進

近年、職業人が大学院などの高等教育機関において継続的に教育を受け、生涯にわたり最新かつ高度な知識・技術を修得することが重要になってきている。文部省では、これらの教育(リフレッシュ教育)を積極的に推進するため、様々な制度改正を行うとともに、以下のような施策を実施している。


(ア) リフレッシュ教育対応講座の新設

大学等への職業人の受入れを推進するとともに、社会人を含めた教育研究条件を整備するため、社会的・学術的要請の高い分野について講座の新設を行っている。平成8年度には九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科に応用情報伝達講座を整備するなど、4大学院において講座の新設を行った。


(イ) 大学等と産業界との連携・協力の推進

大学等と産業界の関係者が意見交換、情報交換を行い相互の理解を促進するために、「リフレッシュ教育推進協議会」や「リフレッシュ教育フォーラム」などを全国レベル・地域レベルで開催している。

産業界では、平成2年に(社)経済団体連合会が中心となって、「先端技術者育成トラスト」を創設し、リフレッシュ教育に積極的な大学・高等専門学校に助成を行っており、平成7年度までに17大学5高等専門学校が助成を受けている。


(ウ) 情報提供体制の整備

文部省では、リフレッシュ教育についてのパンフレット、ガイドブック、prビデオを作成し、広報・普及に努めている。また、企業から大学等への職業人の派遣状況や、企業のニーズ等について調査し、大学等へ情報を提供している。


(エ) 大学における教育内容・方法の改善

(社)日本工学教育協会に委嘱して、リフレッシュ教育に関する教育内容・方法について調査研究を実施しており、研究成果を参考資料として、大学等へ提供している。

各大学においても、社会人にとって魅力ある教育を提供するため、教育内容・方法の改善に取り組んでいる。


(オ) 衛星通信を活用したリフレッシュ教育

放送教育開発センターを中心として、衛星通信によるリフレッシュ教育の実験研究を平成4〜6年度にかけて実施した。7年度には、その成果に基づき、東京工業大学において衛星通信を活用した公開講座を実施した。


(3) 点検・評価の実施

各大学における改革を実効あるものとして推進していくためには、教育研究の現状を不断に点検・評価し、その結果を新たな改革へとつなげていく努力が不可欠である。このため、平成3年の大学設置基準の改正に際しては、教育課程編成等に関する基準の大綱化と併せて、自己点検・自己評価に関する努力義務規定を盛り込んだ。

各大学においては、自己点検・評価の取組が急速に進み、既に8割近い大学で点検・評価がなされるとともに、結果を公表する大学も約半数に上っている(2-4-3 )。その内容も、教育研究活動全般について包括的な点検・評価を行ったものだけでなく、教員の業績を中心に点検・評価を行ったもの、カリキュラム改革、学生生活、リフレッシュ教育等の個別のテーマごとに点検・評価を実施したものなど、多様な内容が見られるようになっている。

また、外部の第三者による評価を導入する大学も着実に増加し、平成7年10月までに16大学で結果が公表されている。

各大学においては、点検・評価の必要性が認識され、その実施体制も定着してきている。今後は、点検・評価の結果の十分な活用、すなわち、点検・評価を通じて明らかになった点はもちろんのこと、公表した結果に対する学外からの反響等も考慮して、更なる改善の方策について積極的な検討を行い、新たな改革に向けた取組を推進していくことが求められている。

2-4-3 自己点検・評価の実施状況


(4) 組織運営の活性化

大学が自らの社会的使命を適切に果たしていくためには、組織運営の円滑化に努めるとともに、実際の教育研究活動に携わる教員の採用に当たって改善を図ることが重要である。また、大学には、コミュニティの一員として社会に積極的に貢献するとともに、大学情報の積極的な発信・提供、大学運営への学外の意見の反映等を通じ、学外とのコミュニケーションを活発化していくことが重要である。


(ア) 組織運営の円滑化

平成7年9月の大学審議会答申「大学運営の円滑化について」においては、大学の組織運営を円滑化・活性化するため、

1) 学長・学部長等のリーダーシップの発揮と教授会の円滑な運営のための条件整備、
2) 事務組織の機能の強化、
3) 大学情報の積極的な発信・提供、
4) 地域の学外者等の意見の大学運営への反映

等について提言がなされている。

この答申を受け、文部省では、平成7年12月に学校教育法施行規則を改正し、教授会の審議を円滑化する観点から、各大学の判断により、教授会の委任に基づき審議・議決を行う「代議員会」等を置くことができることを明確化した。今後、各大学において、答申の内容に基づき、代議員会等を積極的に活用しつつ、組織運営の活性化に向けた主体的な取組が進められることが期待される。


(イ) 教員採用の改善

従来、大学における教員人事については、同一大学出身者が多いこと、大学間あるいは社会と大学との人事交流が乏しいことなどからその閉鎖性が指摘されていた。これを受けて、大学審議会において、教員の採用の在り方に関し検討が行われ、平成6年6月に「教員採用の改善について」の答申を得、各大学において教員採用の改善が図られている。

教員の採用方法について、他大学等への推薦の依頼や、学会誌や新聞への掲載により広く人材を募ることで、人事の流動性を高め、優れた教員を確保するため、公募制をとる大学が増えている。また、多様な経歴・経験を持つ優れた人材を確保するため、社会人や外国人の採用を促進し、国立試験研究機関、民間企業の研究者をはじめとする大学外の人材が積極的に登用されている。


(ウ) 大学と社会とのコミュニケーション

大学の組織運営を活性化する上で、学外との積極的なコミュニケーションを通じて、学外からの評価や反応を受け止め、それぞれの大学に求められている社会的要請を具体的に改革にフィードバックしていくことが重要である。

各大学では、パンフレットの発行、自己点検・評価結果についての報告書の公表等を通じて、大学情報を発信しているほか、大学入試センターの「ハートシステム」においても、各大学の入試情報に加え、大学の特色やカリキュラム、大学改革の状況等について、高等学校や図書館等に設置された端末を通じ、情報を提供している。また、インターネットのホームページを開設し、広く大学情報を提供する大学が急速に増加してきている。

さらに、各大学の抱える課題、将来構想等についてより多様な視点から検討するため、外部の有識者による懇談会等を開催する大学も増加している。

外国人教員による「英語コミュニケーション」(東横学園女子短期大学)


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