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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初等中等教育のより一層の充実のために
第5節   体育と健康教育
2   心とからだの健康を保つために



(1) 健康教育の充実

近年の都市化、情報化、核家族化、少子化など社会環境の急激な変化は、子どもの心身の健全な発達に様々な影響を与えている。また、国民の健康に対する関心が一層高まってきており、心身の健康の保持増進を図るために必要な知識・態度の習得に関する教育である健康教育が一層重要になっている。学校においては、生涯を通じて健康で安全な生活を送るための基礎を培うため、保健、安全、給食の各分野にわたる指導が、各教科、道徳、特別活動など教育活動全体を通じて実施されている。


(2) 当面する健康問題への対応
(ア) 被災地における児童生徒の心の健康について

平成7年1月の阪神・淡路大震災により被災した児童生徒について、心に大きな打撃を受けていることが指摘されている。このため、7年度において、被災した児童生徒等の心への影響や、どのくらいの児童生徒が学校での教育的な配慮を必要としているのかを明らかにし、学校における対応の在り方を検討するため調査研究を実施した。この調査結果に基づき、学校に対し、ふだんから子どもたちの心の健康への支援体制を確立しておくこと等を要請するとともに、震災発生後、1年以上を経過した後にも教育上何らかの配慮を要する子どもが新たに出てくる可能性が指摘されていることから、8年度においても引き続き調査研究等を行っているところである。


(イ) エイズ教育の充実

エイズは、近年、我が国においても若い世代を中心に感染が広がりつつあるなど、今後の蔓延が危惧)される状況にある(2-3-4 )。このため、児童生徒の発達段階に応じて正しい知識を身に付けさせることにより、エイズを予防する能力や態度を育てるとともに、エイズ患者・感染者に対する偏見や差別を除き人間尊重の精神を育てることが重要である。文部省では、児童生徒用教材及び教師用指導資料の作成、教職員の研修、エイズ教育推進地域の指定による実践研究等を行っている。さらに、平成7年度からはエイズ教育情報の全国的な普及と活用を図るため、「エイズ教育情報ネットワーク整備事業」を実施している。

2-3-4 我が国におけるエイズウィルス患者・感染者の年齢構成(平成8年6月末現在)


(ウ) 健康診断の見直し

近年の児童生徒等の健康上の問題の変化、医療技術の進歩、地域における保健医療の変化などを受けて、児童生徒等の健康診断の項目等を見直し、平成7年度から胸囲測定の削除や心電図検査の追加などが行われ、新たな検査項目による健康診断が行われている。

授業参観で母親と歯の勉強をする児童


(エ) 心の健康相談活動の充実

近年、学習面、いじめなどの友人関係、家庭事情などについて様々な悩みを持つとともに、これらを背景として、心因性の頭痛、不快感など種々の症状を訴えて保健室を訪れる児童生徒が増えていることなどから、適切なカウンセリングや心の健康に関する保健指導が必要である。このため、「保健室における相談活動の手引」を作成したほか、平成8年度に、新たに養護教諭等を対象とした「保健室相談活動研修事業」を実施するなど、指導の充実を図っている。


(3) 安全教育の充実

交通安全教育について、二輪車研究指定校を指定し、高等学校における実技を含めた二輪車に関する指導の内容等について実践的な調査研究を行っている。

また、防災教育については、学校等の防災体制に関する調査研究において、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、学校等における地震対策を中心とした防災体制について検討が行われ、「学校等の防災体制の充実について」平成7年11月に第一次報告、8年9月に第二次報告がまとめられた。文部省では、これを受けて、8年度から防災教育モデル地域の指定等を行い、学校・家庭・地域が連携協力した地域ぐるみの防災教育の在り方を調査研究するなど、防災教育の充実を図っている。


(4) 学校給食
(ア) 学校給食の役割と現況

学校給食は、栄養のバランスのとれた食事を提供することにより、正しい食習慣の形成を図るとともに、教職員と児童生徒のコミュニケーションや児童生徒間の好ましい人間関係の育成の場として、児童生徒の心身の健全な発達を図る上で大きな教育的意義を有している。平成7年5月現在で、全国で約1,222万人の幼児児童生徒が学校給食を受けている(2-3-2 )。

2-3-2 学校給食実施状況(平成7年5月1日現在)


(イ) 栄養教育の推進

児童生徒が、生涯にわたって健康な生活を送るための基礎を培う観点から、栄養に関する知識や自己の管理能力を身に付けさせることを目的として、学校給食と各教科等が連携を図って栄養教育を推進している。

文部省では、平成6年度から実施している「栄養教育推進モデル事業」に加え、8年度からは、新たに教員や学校栄養職員等が栄養教育に取り組むための指針となるよう「栄養教育カリキュラム開発のための調査研究」を実施している。


(ウ) 米飯給食の推進と食事内容の充実等

食事内容の多様化を図るとともに、日本人の伝統的食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身に付けさせ、日本の農業等に対する理解を深めさせる等の教育的見地から、米飯給食の計画的な推進を図っている。平成7年度の平均実施回数は、週2.6回に達している。

また、各学校では、郷土や姉妹都市の料理を給食の献立に活用したり、児童生徒が複数の食品の中から栄養のバランスを考え、自分の身体に応じて適切に食品を選ぶバイキング方式等による選択給食が導入され、食事の内容や方法の多様化が図られている。

さらに、食事内容にふさわしい食器具の使用や学校食堂・ランチルームの整備など、食事環境の整備・充実を推進している。


(エ) 学校給食における衛生管理の徹底

学校給食の衛生管理については、従前から関係者に対し通知や各種会議等において注意を喚起し、食中毒の発生防止に努めている。

しかしながら、o-157のような病原菌による大規模な食中毒が発生し社会的にも問題となってきていることから、学校給食における衛生管理を改めて徹底する必要が生じている。

このため、文部省では平成8年7月に専門家による「学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議」を開催し、その報告を踏まえ各都道府県教育委員会等に対し、以下の事項について要請した。

平成8年8月中の緊急対策

1) 給食用食材の抽出による緊急点検
2) 衛生管理チェックリストによる給食従事者の健康状態及び給食施設・設備等の緊急点検
3) 食中毒予防のための献立内容及び調理方法の在り方の周知

平成8年度2学期以降の対策

1)

日常の点検

(ア) 衛生管理チェックリストに基づく日常点検の励行
(イ) 献立ごとの調理手順に応じた衛生管理の周知
(ウ) 給食用食材の納入及び保管時の衛生管理の徹底

2)

定期の点検

(ア) 年2回、給食用食材の抽出による点検の実施
(イ) 点検に基づく学校給食施設・設備の計画的整備

また、保護者向けの分かりやすい資料やポスターを作成し、学校などを通じて配布するなど、o-157に関する正しい知識の普及、啓発に努めている。


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