ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   文教施策の動向と展開
第1章   文教施策の総合的推進
第2節   教育改革の推進
1   第15期中央教育審議会の活動


中央教育審議会は、文部大臣の諮問機関であり、教育、学術又は文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、文部大臣に答申・建議することをその任務としている。

文部省においては、臨時教育審議会以降、次の2において述べるとおり、第14期中央教育審議会の答申などに基づき、各般にわたる教育改革を推進してきた。今後、我が国が、創造的で活力があり、かつ、ゆとりと潤いのある社会を築いていくためには、教育上の諸課題を考慮しつつ、21世紀を展望した我が国の教育の在り方について検討し、必要な改善方策を推進していく必要がある。

このため、平成7年4月に第15期中央教育審議会を発足させ、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」諮問を行い、「1)今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」、「2)一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」、「3)国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方」を主な検討事項として審議を進めている。そして、8年7月、1)及び3)についての審議の成果として、第一次答申が取りまとめられた。以下、第一次答申の概要を紹介する。なお、第一次答申後は、2)についての審議を開始し、3)についても引き続き審議を行っている。


(1) 今後における教育の在り方

答申は、これからの社会が、国際化、情報化、科学技術の発展などが一層進展する、変化の激しい、先行き不透明な時代であると展望している。そして、教育は、時代を超えて変わらない価値あるものを大切にするとともに、社会の変化に的確かつ迅速に対応することが必要であるとの考え方に立って、これから求められる資質や能力を、次のように掲げている。

1) 自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力
2) 自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力

答申は、これらを「生きる力」と称し、今後の教育は、学校・家庭・地域社会全体を通して「生きる力」をはぐくむことを重視すること、「生きる力」をはぐくむためには、子どもたちをはじめ、社会全体に「ゆとり」を持たせる必要があることを指摘している。

また、子どもたちに「生きる力」をはぐくんでいく上で取り組んでいかなければならない特に重要な課題として、過度の受験競争の緩和、いじめ・登校拒否の問題を挙げている。このうち、過度の受験競争の緩和については、第一次答申後、引き続き検討することとし、いじめ・登校拒否の問題については、家庭・学校・地域社会が緊密に連携して取り組む重要性を強調するなど、それぞれの取組の在り方について提言を行っている。


(2) 学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方
(ア) これからの学校教育の在り方

答申は、学校が、「生きる力」の育成を基本とし、知識を教え込むことになりがちであった教育から、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指すべきであると提言している。そして、次の教育課程の改訂に当たって実行すべき事柄として、次のような内容を挙げている。

1) 単なる知識や暗記に陥りがちな内容を精選する等、教育内容を基礎・基本に厳選し、授業時数を縮減する
2) 教育課程の弾力化、指導方法の改善、特色ある学校づくり等により、一人一人の個性を生かすための教育を推進する
3) 道徳教育などあらゆる教育活動を通じて豊かな人間性をはぐくむための教育を一層充実する。その際、特にボランティア活動、自然体験などの体験活動を充実する。また、健康増進活動やスポーツ活動の実践を促し、生涯にわたり健康な生活を送るための基礎を培うなど、たくましい体をぐくむための教育の改善を図る
4) 国際理解、情報、環境、ボランティア、自然体験などについての総合的な学習や課題学習、体験的な学習等を行う「総合的な学習の時間」を設け、各学校の判断により創意工夫を生かした学習活動を展開する

また、将来における教育課程の改訂のために、教科の再編・統合を含めた将来の教科等の構成の在り方について、早急に検討に着手することが必要であると指摘し、教育課程審議会にそれらの在り方を継続的に調査審議する常設の委員会を設けることを提言している。

さらに、こうした新しい学校教育の実現のための条件整備として、教員配置の改善、教員の資質・能力の向上、社会人の活用、教育環境の整備、関係機関や専門家との連携、幼児教育の充実、障害等に配慮した教育の充実を図るべきことを提言している。特に、教員養成の在り方については、制度面の改善を含めた検討を行うべきことを提言している。


(イ) これからの家庭教育の在り方

答申は、子どもの教育や人格形成の最終的な責任は家庭にあるとしている。そして、家庭は、すべての教育の出発点であり、基本的な倫理観を養ったり、しつけを行う場であるとし、家庭教育の充実を図るべきことを訴えている。そうした考え方に立って、家庭教育の充実方策として、

1) 新しいメディアを活用するなど、家庭教育に関する学習機会の充実を図る
2) 日常的な生活圏の中での子育て支援ネットワークづくりを推進する
3) ボランティア活動、スポーツ活動など親子の共同体験の機会を充実させる
4) 職場における家庭教育の学習機会の提供など、父親の家庭教育への参加を支援・促進する

ことなどを提言している。


(ウ) これからの地域社会における教育の在り方

子どもたちに「生きる力」を育成するためには、地域における様々な生活体験、社会体験、自然体験を活発化することが必要である。この認識の上に立ち、地域社会における教育の充実方策として、

1) 遊び場の確保、学校施設の活用、社会教育・文化施設の整備充実と新たな事業展開、新たなスポーツ環境の創造など、活動の場の充実を図る
2) あいさつ運動など地域ぐるみの活動の推進、ボランティア活動の促進、都市部と過疎地域等との交流活動の推進、長期間の自然体験活動の充実など、活動の機会の充実を図る
3) 青少年団体等の活動の振興、指導者の養成・確保、情報提供の充実、「第4の領域」(従来の学校・家庭・地縁的な地域社会と異なり、同じ目的や興味・関心に応じて結び付き、子どもたちを育てる教育の場)の育成を図る

ことなどを提言している。

また、こうした地域社会における教育を充実させるため、市町村教育委員会の活性化を図ること、「地域教育連絡協議会」や「地域教育活性化センター」を設置すること等、体制の整備を図ることが重要としている。


(エ) 学校・家庭・地域社会の連携

学校・家庭・地域社会の連携に関し、特に配慮しなければならない点として、主に次のような事柄が提言されている。

1) 開かれた学校運営、地域の人々や父母の非常勤講師や学校ボランティアとしての参加の促進など、「開かれた学校づくり」を推進する
2) しつけや巡回補導指導、部活動、行事や会議の在り方を見直すなど学校のスリム化を図る
3) 学校外活動を学校においても評価する方法などを検討する
4) pta活動の活性化を図る

(オ) 完全学校週5日制の実施について

学校週5日制については、子どもたちに「ゆとり」を確保し、「生きる力」をはぐくむものであり、教育改革の一環として21世紀初頭を目途に完全実施を目指すとしている。また、教育内容を厳選するなど学習指導要領を改訂する際には、全体として授業時数の縮減を図ることも必要であり、学力の評価は、単なる知識の量の多少ではなく、「生きる力」を身に付けているかどうかによってとらえるべきであると提言している。

さらに、学校週5日制の完全実施に当たっては、学校外活動の充実と家庭や地域社会の教育力の充実、過度の受験競争の緩和と「ゆとり」の確保、国公私立の各学校種での統一した実施といった事項について特に留意すべきとしている。


(3) 国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方
(ア) 社会の変化に対応する教育の在り方

社会の変化に対応する教育の在り方の基本的な視点として、「生きる力」の育成を重視すること、教育内容を厳選し、ゆとりのある教育活動を展開すること、教科の枠を超えた横断的・総合的な教育活動を展開することなどが挙げられている。


(イ) 国際化と教育

国際化に対応する教育の在り方として、

1) 広い視野とともに、異文化に対する理解や、異なった文化を持つ人々と共に協調して生きていく態度を育成するなど国際理解教育を充実する
2) リスニングやスピーキングなどのコミュニケーション能力の育成を重視した外国語教育の改善を図る
3) 海外に在留している子どもたちや帰国した子どもたち、日本に在留している外国人の子どもたちに対する教育の改善・充実を図る

ことなどを提言している。

なお、2)に関連して、小学校における外国語教育については、教科として一律に実施する方法は採らないが、国際理解教育の一環として、「総合的な学習の時間」や特別活動などで、地域や学校の実態等に応じて、英会話等に触れる機会や外国の生活・文化に慣れ親しむ機会を持たせることができるようにすることを提言している。


(ウ) 情報化と教育

情報化に対応する教育の在り方として、

1) 高度情報通信社会における情報活用能力を育成するため、情報教育を体系的に実施する
2) 近い将来、すべての学校がインターネットに接続することを目指すなど、情報通信ネットワークの活用による学校教育の質的改善を図る
3) 高度情報通信社会にふさわしい施設・設備を備えた「新しい学校」を構築する
4) 人間関係の希薄化や自然体験の不足など情報化の「影」の部分を克服し、心身ともに調和のとれた人間の育成に努める

ことなどを提言している。


(エ) 科学技術の発展と教育

科学技術の発展に対応する教育の在り方として、

1) 子どもたちの自由な発想を大切にし、体験を通して、科学に関する興味・関心を高め、子どもたちに科学的なものの見方や考え方などの豊かな科学的素養を育成する
2) 科学博物館を整備したり、大学・企業等における施設見学の機会の提供やセミナーの開催を促進する等、地域社会における様々な学習機会を提供する

ことなどを提言している。


(オ) 環境問題と教育

環境問題に対応する教育の在り方として、

1) 環境や自然を大切にする心をはぐくみ、環境保全やより良い環境を創造するために主体的に行動する実践的な態度や資質・能力を育成するため、環境教育の改善・充実を図る
2) 少年自然の家での環境学習教室など地域社会における様々な学習機会を提供するとともに、一人一人が身の回りのできることから環境問題に取り組むためにもボランティア活動を奨励する

ことなどを提言している。

こうした提言を受け、文部省では直ちに「教育改革推進本部」を設置し、

1) 教育課程審議会や教育職員養成審議会に諮問を行い、教育課程の改善や教員養成の在り方について検討を開始する
2) 平成9年度予算の概算要求において、いじめ・登校拒否の問題への取組、学校・家庭・地域社会における教育の充実、社会の変化への対応を進めるため、具体的な施策を盛り込む
3) 国民の理解と協力を得る取組として、「一日文部省」を開催する

など答申の具体化に向けた様々な取組を進めている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ