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1部   生涯学習社会の課題と展望-進む多様化と高度化-
第3章   これからの生涯学習
第2節   高度で体系的・継続的な学習機会を充実する
5   職業能力開発における新たな方向


高度で体系的・継続的な学習を行おうとする場合の問題点に関しては、労働省の民間教育訓練実態調査でも同様の結果が出ている。平成6年2月時点での調査では、自己啓発に当たっての障害として、まず、「時間がない」59.9%、「費用がかかりすぎる」32.2%が挙げられている(1-3-6 )。また、自己啓発に対する企業への期待としては、「受講料等の金銭的援助」37.5%が第1位を占めている。さらに、5年2月時点の調査においても、事業所に対して社外の教育訓練機関を利用して教育訓練を実施しようとする場合の問題点として第1位に挙げられていることは、「費用がかかり過ぎる」39.2%である(1-3-7 1-3-8 )。

1-3-6 自己啓発の実施に当たっての障害-時間的・金銭的制約が自己啓発の大きな障害に-

社会人の学習活動が促進されるためには、高等教育機関等の受入体制の整備と併せ、こうした課題にも対応していく必要がある。学習活動の目的の多くが職業関連であることを考えると、学習者が所属する企業や公的な職業能力開発制度による支援が不可欠であろう。

この点に関し、労働省は、第6次職業能力開発基本計画で、「労働者の個性を生かす職業能力開発の展開」として、個人主導の能力開発を推進する方針を打ち出している。その中で具体的な施策として、

1) 企業における有給教育訓練休暇制度の普及を強力に推進し、長期休暇制度の導入などの自発的な職業能力開発のための休暇、休職についての制度化を促進する、
2) 労働時間面での配慮と併せ、職業能力開発のための施設・設備等が充実するよう、社会的機運の醸成を図り、事業主をはじめ、関係者への啓発を推進する、
3) 自発的な職業能力開発を促進するための費用面の援助として、広く労働者個人へ直接支援する方策を検討する、

といった事項が掲げられている。

1-3-7 自己啓発に関する企業への期待-企業への期待の第一は金銭的援助-

1-3-8 社外の教育訓練機関を利用して教育訓練を実施しようとする場合の問題点

個人への直接の支援をはじめ個人主導の能力開発に対する支援を充実することについては、社会人の学習活動への支援という観点からも、今後の施策展開に期待が寄せられる。

【コラム】西欧諸国における教育訓練休暇制度について

西欧諸国の職業能力開発への支援状況については、国によって様々である。

教育訓練休暇について見た場合、フランスは、これを法律により制度化しているが、ドイツは州レベルで対応が異なり、イギリスにおいては、法制化がなされていない。また、制度があっても、実際の利用率が高くないことの指摘もある。

例えば、フランスでは、実際の教育休暇取得者は、約2万人にとどまっており、その要因としては、

1) 労使の運営する教育訓練休暇基金の財源不足、
2) 職場を離れることへの抵抗や復帰後の人間関係等への不安といった意識・心理的要因、
3) 資格取得等教育訓練の成果が企業内での昇進、昇給に必ずしも結び付かない企業体質、

が挙げられている。

なお、1)の財源不足の要因については、多くの休暇取得者の目的が資格取得にあるため、休暇期間が長期化し、一人当たりの費用が高額化していることが指摘されているが、この結果、休暇取得希望者の半分程度しか要求が認められない状況となっている。

また、ドイツにおいても州レベルで教育休暇法の制定はあるが、教育訓練休暇の取得状況については、事業主の反発が強いこと、受講料が個人負担であること等の理由から極めて低い水準(5%以下)と見られている(「1995年労働省海外労働情勢」)。


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