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1部   生涯学習社会の課題と展望-進む多様化と高度化-
第2章   いま生涯学習は
第3節   学んだことはどのように生かされているのか
2   学習成果の活用はどのように行われているか-ボランティアへの関心が高まり、様々な分野のボランティア活動が展開されるようになった



(1) 学習成果の活用状況

既に第1節で述べたように、もともと学習自体が自己目的化している人も多く、現状では、必ずしも学習成果の活用が意識されているというわけではない。

例えば、総理府「生涯学習に関する世論調査」(平成4年)における活用状況についての回答は、「自分の人生がより豊かになっている」が46.2%で第1位であり、「仕事や就職の上で活(い)かしている」は26.6%であった(1-2-2 参照)。また、体系的・継続的に学習を行っている人々を対象にした平成8年文部省調査でも、グループ・サークルや自治体の講座、カルチャーセンター等では、最も大きな目的として「自己の生きがいや楽しみのため」が挙げられている(1-2-6 参照)。

しかしながら、その一方で、学んだ成果や身に付けた知識・技能を広く社会の中で生かしていきたいと考える人も増加してきており、ボランティア活動や学級・講座等様々な学習活動の指導者として積極的に活躍している人も現れている。


(2) 学習成果の活用の場としてのボランティア活動

仕事や就職に生かすという職業指向の場合を除けば、学習成果の活用の方策としては、まず、他者や地域社会への貢献が考えられる。その顕著な例がボランティア活動であろう。平成8年文部省調査においても、多くの学習方法において学習の最も大きな目的として「他者や地域社会への貢献」を挙げた人が約1割弱存在する。また、総理府「生涯学習とボランティア活動に関する世論調査」(平成5年)においても、身に付けた経験や知識・技能の生かし方としてまず、「仕事や就職に」(40.2%)、「自分の人生をより豊かにしたい」(39.6%)が挙がったが、他方「世の中や人のために」や「地域での活動に」、「他の人の学習やスポーツ、文化活動などの指導に」を挙げる人もそれぞれ17.2%、12.5%、9.0%存在した(1-2-48 )。

1-2-48 学んだ成果をどう生かしたいか

平成4年の生涯学習審議会答申においては、

1) ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現につながる生涯学習となるという視点、
2) ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための学習としての生涯学習があり、学習の成果を生かし、深める実践としてボランティア活動があるという視点、
3) 人々の生涯学習を支援するボランティア活動によって、生涯学習の振興が一層図られるという視点、

が示されており、生涯学習とボランティア活動のかかわりは深い。

今日、ボランティア活動に対する関心は、阪神・淡路大震災を契機に一層高まる傾向にある。nhkの「戦後50年の社会調査」では、震災後のボランティア意識について調査しているが、今後のボランティア活動の参加意向については、平成6年6月に比べ、7年6月では、「ぜひ、したい」及び「どちらかといえば、したい」が59.1%から62.8%に増加し、「まったくしたくない」及び「どちらかといえば、したくない」は35.8%から31.5%に減少した。年代別に見ると、「ぜひ、したい」及び「どちらかといえば、したい」の合計が20代では、48%から67%、30代では55%から70%に増加している(1-2-49 1-2-50 )。学習の成果、あるいはかつての学習の成果ともいえる自分の知識や技術等を生かしてボランティア活動を行おうという機運は高まっている。

1-2-49 ボランティア活動への参加意向の推移

このような中、学んだ成果を生かす場、あるいは身に付けた知識・技能を生かす場としてボランティアを積極的に受け入れる施設も現れている。国立科学博物館において展示の解説をする「教育ボランティア」や国立青少年教育施設、国立婦人教育会館におけるボランティアなど、国立の社会教育施設においては、その受入れが積極的に推進されている。また、各地方公共団体においても、公民館、博物館、図書館等の社会教育施設や学校現場等において、ボランティアの受入れが徐々に行われてきている。そのほか、全国各地において地域社会や日常生活における課題に応じた様々な分野のボランティアの活動が展開されるようになっている。

1-2-50 ボランティア活動への参加意向の世代別の推移

ボランティアの指導による茶道の活動風景

しかし、一般的なボランティア活動への参加実態を見ると、上記の「生涯学習とボランティア活動に関する世論調査」においても、ボランティア活動に「非常に関心がある」、「ある程度関心がある」の合計が61.9%であるのに対し、ボランティア活動を「現在している」、「過去にしたことがある」の合計は30.1%である。関心はあるものの、実際の活動には必ずしも結び付いていない現状が見られる(1-2-51 )。

1-2-51 ボランティア活動への関心と参加実態-関心に比べ低いボランティアの参加実態-


(3) 学習の指導者としてのボランティア

このほか、学習の成果や培ってきた知識・技能を地域における様々な学習活動の指導者等として生かす試みも見られるようになってきている。富山県の県民カレッジ自遊塾や静岡県清水市の清見潟大学塾等、自己参画・自己創造型の学習機会においては、多くの人々がそれまでの学習の成果等を基礎に指導者として活躍しており、多くの成果を上げている。


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