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2部   文教施策の動向と展開
第12章   21世紀に向けた文教施設づくり
第1節   新たな時代に応じた文教施設への取組
1   快適で豊かな文教施設を目指して


今日、我が国においては、科学技術の進歩、情報化・国際化の進展、所得水準の向上、自由時間の増大、高齢化社会への移行等を背景として、人々の学習ニーズはますます多様化・高度化している。これに対応して教育、学術、文化、スポーツに関する様々な文教施策が展開されている。

このような多様な文教施策を推進する上で、人々の学習の場である文教施設の整備充実は、極めて重要な役割を担っている。

文教施設は、小・中学校や公民館等の地域住民に身近な建物から、科学技術の先端を担う大学や研究機関の施設までの多岐にわたっており、その整備に当たっては、

1) 国民の生涯にわたる学習・文化活動・スポーツにおける多様なニーズに対応する学習基盤を総合的に整備すること、
2) 教育環境の質的な充実を図るために、学校教育の内容・方法の多様化に対応し、児童生徒の生活の場としてふさわしい温かみと潤いのある学校施設づくりを進めること、
3) 国立大学の建物の老朽化・狭隘化の改善や教育研究の高度化・多様化などに対応すること、
4) 進展著しい高度情報化社会の中で、情報化に対応した教育の支援や多様な情報手段の有効活用のための施設機能の充実を図ること、
5) その他、文教施設における災害等に対する安全性の確保や省エネルギー・省資源対策

など、様々な課題への対応が必要である。

文部省では、これらの諸課題に対応するため、21世紀に向けて、幼児から高齢者までの様々な人々が生涯にわたり多様な知識・技術を習得でき、かつ豊かな人間性をはぐくむことのできる快適で豊かな学習環境の創造を目指し、文教施設の整備充実に努めている。


(1) インテリジェント・スクール構想の推進

近年、社会の成熟化に伴い、人々の学習意欲は高まり、多様かつ高度な学習需要が増大している。このような状況の下、臨時教育審議会答申は、地域の教育・研究・文化・スポーツ施設を高度の情報通信機器と快適な学習・生活空間を備えた施設として再編・整備することにより、地域共通の生涯学習、情報活動の拠点とする「インテリジェント・スクール構想」を提言している。

文部省では、この提言を受け「文教施設のインテリジェント化に関する調査研究」を実施し、平成2年3月、今後の文教施設の在り方を示した報告書「文教施設のインテリジェント化について」を取りまとめた。

その主な内容は、

1) 人々の多様かつ高度な学習需要に対応するための施設の多機能化及び高機能化、
2) 文教施設の持つ様々な機能の高度化を図るための施設や環境の有機的な連携、
3) 情報化の進展に対応するための情報通信・処理機能等の導入、
4) 人間性、文化性及び自然との調和に配慮した、快適で豊かな施設・環境の創造、

である。

この報告を受け、平成2年度から、地方公共団体等にインテリジェント化に関するパイロット・モデル研究を委嘱し、インテリジェント化計画の具体的な策定研究を実施し、その推進と実証的な検討を進めている。

さらに、平成4年度から、学校施設の高機能化・多機能化の推進を目的として、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校及び高等学校を対象に「学校施設のインテリジェント化推進事業」を実施している。

文教施設のインテリジェント化に関するパイロット・モデル研究

平成2年度から6年度までに、教育委員会等の19の団体において、文教施設のインテリジェント化に関するパイロット・モデル研究が実施されている。

特色ある文教施設複合型整備計画

世田谷区立中町小学校・玉川中学校(東京都)


(2) 文教施設の複合化

文教施設の複合化は、施設の高機能化・多機能化を図るための一手法として、複数の文教施設を平面的、立体的に共存・融合させることにより、密接な機能連携を図り、学習環境を一層向上させることを目的としている。これまで、施設の効率的な整備等の観点から、公民館をはじめとする社会教育施設等を中心に、文教施設の複合化が進められている。

しかし、学校施設と他の文教施設との複合化については、本来の学校教育活動への影響など、解決すべき課題も多いことから、学識経験者等の協力を得て調査研究を実施し、この成果を平成3年3月、学校施設の複合化における施設の計画・設計及び管理上の具体的な留意事項として、都道府県教育委員会に通知した。

この通知において、学校施設の複合化の目的としては、

1) 地域における総合的な生涯学習基盤の整備の推進、
2) 学校教育の活性化を促すための学校教育環境の質的な向上の推進

を挙げている。さらに、留意事項として、計画に際して、複合化する対象施設として、学校施設との機能的な連携や空間的な一体化が可能で、学習環境を高度化するようなものを選択すべきであり、学習環境に障害又は悪影響を及ぼす施設との合築は避けることとしている。

近年、公共用地の取得難や学習需要の増大などに対応する上で、特に都心部等を中心に、文教施設の複合化が課題となっているが、今後、複合化の趣旨、目的等に沿った、学校及び地域の学習環境を高度化するような適切な複合化を行うことが必要である。

なお、従来から、社会教育施設、文化施設等と他の文教施設等とを複合化する場合、その整備が円滑に進められるよう補助金運用上の配慮をしている。また、平成5年度からは、学校施設と他の文教施設との複合化に伴い必要となる玄関ホール、階段等を整備する経費に対しても補助している。


(3) 文教施設の情報化

近年、科学技術の高度化を背景として、コンピュータ、高度情報通信網、通信衛星・放送衛星等の多様な情報手段が社会の様々な分野に導入されてきており、特に最近の傾向として、マルチメディア時代に向けた情報通信基盤の整備が各方面から求められている。このような社会の情報化の進展に対応した文教施設の整備を行うことが必要となっている。

平成元年3月に改訂された学習指導要領では、小・中・高等学校を通じ教科等の学習指導に当たってコンピュータ等を活用することが示されており、文部省では、小・中・高等学校におけるコンピュータ教室の整備を促進するため、「コンピュータ学習スペース設計資料」や「コンピュータ学習用家具の手引」を作成し、各都道府県教育委員会等に対して適切な教育環境の整備を指導している。また、公立学校のコンピュータ教室の整備について、補助を行っているほか、私立学校において普通教室等をコンピュータ教室に改造する場合も、補助を行っている。

また、国立大学等において、キャンパス情報ネットワーク(学内lan)等を完備した、これからの教育研究の場にふさわしいインテリジェントキャンパスづくりを進めており、平成7年度補正予算においても ATMネットワークシステム 【用語解説】等の整備に必要な経費を計上している。また、国立大学の附属病院については、5年度に大学病院施設の情報化に関する調査研究報告「大学病院施設の情報化について」を取りまとめるなど、積極的に情報化を図ることにより、高度医療の実現や患者サービス等を考慮した、快適で高度な大学病院づくりを推進している。さらに、7年度においては、マルチメディアの発展に対応する国立文教施設の在り方を検討するため、必要な経費を計上している。


<ATMネットワークシステム>

ATM(非同期転送モード:Asynchronous Transfer Mode)と呼ばれる情報を超高速で転送するための最新の通信方式を用いて構成されるネットワークシステム。従来のシステムに比べて、情報の迅速な流通、コンピュータ処理結果の可視化、動画像の伝送等が可能となっている。


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