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2部   文教施策の動向と展開
第9章   新しい文化立国を目指して
第6節   宗教法人と宗務行政


現在、我が国には、教派、宗派、教団といった大規模な宗教団体や神社、寺院、教会等の大小様々な宗教団体が存在し、多様な宗教活動を行っている。そのうち、18万4千にのぼる宗教団体が、宗教法人法に基づく宗教法人となっている(2-9-2 )。

現在の宗教法人制度を規定する宗教法人法は、昭和26年4月3日に公布、施行された。同法は、憲法の保障する信教の自由、政教分離の原則の配慮の下に、宗教団体に法人格を付与することを目的とするものである。宗教法人は、宗教活動を行う宗教的側面と財産の所有、維持運用など世俗的側面を有しているが、同法は、このうち世俗的な面について規定している。また、宗教活動の自由を最大限に保障するため、行政庁の関与をできるだけ少なくし、各宗教法人の自主的、自律的な運営に委ねている面が多い。

2-9-2 全国の宗教法人数

しかしながら、法制定以降の社会状況の変化や宗教法人の実態の変化によって、制度が実態に合わない面が生じており、特に、先般のオウム真理教をめぐる事件を契機として宗教法人制度やその運用の在り方、宗教団体の活動の在り方に対し、各方面から問題点が指摘され、国民からもその見直しを図るべきとの意見が高まった。

そのため、全国的な宗教活動を行う宗教法人の所轄庁の在り方、所轄庁による活動状況の把握の在り方、宗教法人の情報開示の在り方などについて宗教法人審議会において検討を行った結果、平成7年9月に報告が出された。

報告では、昭和26年の宗教法人法制定以来の社会の変化や宗教法人の実態の変化への対応という視点から、最小限度の法改正を行う必要があるとされ、これを受けて、政府では、信教の自由と政教分離の原則を遵守しつつ宗教法人制度の適正な運営を確保するため、宗教法人法の一部を改正する法律案を作成し、第134回国会に提出した。国会では、特別委員会を設けて審議が行われ、12月8日に参議院本会議において可決、成立して12月15日に公布された。

法改正の概要は次のとおりである。

1 宗教法人の所轄庁の一部変更

複数の都道府県内に境内建物を備える宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁を文部大臣に改める。

2 備付け書類の見直しと所轄庁への提出

(1) 宗教法人は収支計算書を作成し、これを事務所に備え付けなければならないこととする。

(2) 宗教教法人は、毎会計年度終了後4月以内に、備付け書類のうち、役員名簿、財産目録、収支計算書、貸借対照表(作成している場合に限る。)境内建物に関する書類、収益事業等関係書類の写しを所轄庁に提出しなければならないこととする。(収入額が寡少で収益事業を行わない法人は、当分の間、収支計算書の作成を免除する。)

3 信者その他の利害関係人による財産目録等の閲覧

宗教法人は、信者その他利害関係人で、事務所備付け書類の閲覧につき正当な利益があり、かつ、不当な目的によるものでない者から請求があったときは、これを閲覧させなければならないこととする。

4 宗教法人審議会の委員の増員

宗教法人審議会の委員数の上限を15人から20人に増やす。

5 所轄庁の報告徴収及び質問

宗教法人について、収益事業の停止命令、認証の取消し、解散命令の請求の事由に該当する疑いのあるときは、所轄庁は、宗教法人審議会に意見を聞いた上で宗教法人に報告を求め、質問ができることとする。なお、施設に立入って質問をするときは宗教法人の関係者の同意を必要とする。

また、オウム真理教の解散命令請求は、平成7年6月に東京都知事及び東京地方検察庁検事正から出され、審理を経て10月30日に東京地方裁判所からオウム真理教に対して解散命令の決定が出された。これに対してオウム真理教は、11月2日に即時抗告をしたが、12月19日、東京高等裁判所はこれを棄却する決定を行った。

宗教法人の不適切な管理運営等の問題に対しては、文化庁が宗教法人関係者を対象とした各種研修会を開催するとともに、管理運営のための各種手引書や事例集等を作成し、広く宗教法人関係者に配布するなど、宗教法人の法人意識の定着と事務管理能力の向上が図られるように努めている。

特に平成7年度には、所轄庁である都道府県や 包括宗教法人 【用語解説】を対象として、宗教法人の管理運営に関して適切な指導助言が行えるよう指導書を作成し、宗教法人の管理運営のより一層の適正化に努めることとしている。


<包括宗教法人>

包括宗教法人とは、神社、寺院、教会等の宗教法人や宗教団体を構成要素とし、これと共通の教義の下に一体となって宗教活動を行う、言い換えればこれらをその傘下におさめている組織であって、教派、宗派、教団等の宗教法人を被包括宗教法人、包括・被包括関係がないものを単立宗教法人という。


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