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2部   文教施策の動向と展開
第3章   初等中等教育のより一層の充実のために
第3節   一人一人を大切にする生徒指導・進路指導を目指して
3   生徒指導施策の推進



(1) 生徒指導の充実と関連施策
(ア) 教師の指導力の向上と生徒指導体制の強化

教師一人一人の指導力の向上のため、校内研修や教育委員会の行う教員研修等のほか、文部省においても、教員研修の実施、教師用指導資料の作成・配布等を行っている。

また、各学校における生徒指導体制の強化のため、一定規模以上の学校に専任の生徒指導担当教員を配置するほか、特に生徒指導上困難な課題を持つ学校に対しては、教員定数を加配している。


(イ) 教育相談体制の充実

生徒指導の実際においては、医学や心理学等の高度な専門的知識が要求される場合も少なくない。このため、都道府県・市町村等には、教育センター等が設けられ、それぞれの実情に応じて、多様な教育相談が展開されている。平成5年度現在、都道府県及び指定都市の教育委員会(学校教育担当部局)による教育相談機関・事業数は234、教育相談員は1,678人を数えるが、そこでの教育相談件数は年々増加しており、5年度は、12万8,494件となっている。


(ウ) 学校と家庭、地域社会の十分な連携

生徒指導を充実させるためには、学校の努力だけではなく、学校と家庭、地域社会が一体となって取り組むことが不可欠である。

文部省では、各地域の様々な取組を一層進めるため、研究指定校や研究指定地域の事業を実施するほか、中央、地方を通じて広く関係者が参加して研究協議を行う推進会議等を開催している。


(エ) 生活体験や人間関係を豊かなものとする学校教育活動の実施

生徒指導においては、児童生徒の生活体験や人間関係を豊かなものとする中・長期的観点に立った指導が重要である。文部省では、児童生徒が豊かな自然環境の中で、集団宿泊生活を送る自然教室事業に対し補助を行っているほか、自然体験活動担当教員の資質向上にも努めている。


(2) いじめ・校内暴力問題への対応

いじめの発生件数は、平成5年度の調査では小・中・高等学校の合計で2万1,598件に上っており、また、6年11月には、いじめを苦に中学生が自殺するという痛ましい事件が発生したほか、同年12月から7年2月にかけて行った総点検の結果、新たに小・中・高等学校・特殊教育諸学校の合計で約1万8,000件に上るいじめが報告されるなど、いじめの問題は極めて憂慮すべき状況にある。

また、校内暴力については、ここ数年増加の傾向にあり、平成5年度では、中学校で1,285校(全学校の12%)、高等学校で597校(同14%)の学校で発生しており、また、発生件数については、中学校で3,820件、高等学校で1,725件となっている。

いじめや校内暴力は思いやりや正義感をはぐくむ学校において決して許されるものではなく、教師をはじめ関係者はその根絶に全力で取り組んでいく必要がある。

特にいじめの問題については、文部省では、平成6年12月、最近のいじめの状況等を踏まえ「いじめ対策緊急会議」を緊急に開催した。同会議は、同12月9日に「緊急アピール」を発表するとともに、7年3月13日に「いじめの問題の解決のために当面取るべき方策等について」の報告を取りまとめた。

この報告は、まず、いじめの発生をできるだけ防止するとともに、いじめについては、誰よりもいじめる側が悪いのだという認識の下に、いじめを受けている児童生徒を守っていこうという基本的な考え方に立って、学校、教育委員会、家庭、国,社会のそれぞれにおいて取り組むべき具体的な方策について、各般にわたる提言がなされている。

文部省では、この報告を受け、都道府県教育委員会等関係機関に指導通知を出すなど、その趣旨の周知徹底を図っている。また、養護教諭が、悩みを持つ児童生徒の心の居場所としての役割を果たしていることを考慮し、保健主事により適切な人材を得る観点から、学校教育法施行規則を改正し、保健主事には教諭のみならず養護教諭も充てることができるようにした。この改正は、平成7年4月1日から施行している。

また、平成7年度においては、新たに学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るため、高度に専門的な知識・経験を有する「スクールカウンセラー」の活用・効果等に関する実践的な調査研究を行っている。そのほか、国立教育会館における「いじめ問題対策情報センター」の設置及び市町村教育委員会の教育相談員の充実により、国及び地方における教育相談機能の充実を図っている。

今後は、平成6年7月から開催している「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議」において、いじめ等の問題について更に総合的な検討を行い、7年度中に必要な対応方策等を取りまとめる予定である。


(3) 登校拒否問題への対応

平成6年度間に「学校ぎらい」を理由に年間50日以上欠席した児童生徒の数は、小学生1万2,222人、中学生5万1,316人であり、これは昭和41年度の調査開始以来最多となっている。登校拒否は、本人はもちろん、家庭も悩み苦しみ、学校も対応に苦慮するなど、極めて深刻な問題であり、文部省としても重大な教育課題と受け止めている。

このような登校拒否問題については、登校拒否はどの児童生徒にも起こり得るものであるとの視点に立った指導が必要である。また、登校拒否問題に対しては、個々の登校拒否児童生徒に応じた適切な対応と同時に、学校全体において、自主性、主体性をはぐくむ指導がなされているか、適切な集団生活を行い、人間関係を育てる工夫がなされているか、児童生徒の立場に立った教育相談がなされているか、保護者や地域に開かれた学校づくりがなされているか、など様々な観点からの取組が不可欠である。

文部省では、従来から教師向け指導資料の作成、教員研修の実施、教員の配置上の配慮等に努めるとともに、「適応指導教室」の実践研究委託事業を行い、年々その拡充を図っている。適応指導教室では、登校拒否児童生徒の集団生活への適応や学校への復帰を支援するため、教育センター等に登校拒否児童生徒を集め、個別カウンセリング、集団での活動、教科指導等を行っている。また、前述の「スクールカウンセラー活用調査研究事業」は登校拒否児童生徒への対応もその対象とすることとしている。


(4) 高等学校中途退学問題への対応

平成5年度間に高等学校を中途退学した者は、約9万4千人に上っており、依然として大きな教育課題となっている。

この問題については、学校不適応対策調査研究協力者会議における検討を踏まえて、平成5年4月に各都道府県教育委員会等に対し、

1) 高等学校教育の多様化、柔軟化、個性化の推進-生徒選択中心の教育課程の編成、卒業単位数を80単位に近づけること、進級認定の弾力化、
2) 個に応じた手厚い指導を行うこと-適応指導の充実、校則の見直し、「参加する授業」「分かる授業」の徹底、
3) 開かれた高等学校教育の仕組みを整えること-転編入学の積極的・弾力的な受入れ、

などの積極的な取組を求めて通知した。

さらに平成6年度からは、積極的な進路変更による中途退学が増加するなど多様化した中途退学の現状を踏まえ、中途退学後の進路状況等を十分把握・分析するなど総合的な調査を行っている。


(5) 校則について

校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長発達していくため、各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められている一定の決まりである。校則自体は教育的に意義のあるものであるが、その内容及び運用は、児童生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情、時代の進展等を踏まえたものとなるよう積極的に見直しを行うことが必要である。


(6) 体罰について

体罰については、学校教育法により厳に禁止されているものであるにもかかわらず、いまだに跡を絶たないことは極めて残念なことである。文部省では、従来から、各種通知や各種会議等を通じて体罰の根絶について指導を行ってきたが、今後ともその徹底を図っていくこととしている。


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