ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部   新しい大学像を求めて-進む高等教育の改革-
第4章   大学改革を更に進めるために
第3節   グローバル化時代の要請にどうこたえるか
2   大学院の充実


このような観点からも、大学院の一層の充実は、極めて重要である。各大学院においては、現在改革が進行中であるが、国においても、必要な条件整備を進め、改革を促進していく必要がある。


(1) 目的の明確化と教育研究指導の工夫

従来、大学院が研究後継者の養成の場としての性格が強かったこともあり、特定の教員による研究指導が強調され、ともすれば狭い専門分野の研究に陥りがちであった。今後は、それぞれの大学院の目的を明確にしつつ、それに応じて、体系的なカリキュラムを編成することとともに、幅広い視野や豊かな学識を培っていくように配慮することが重要である。このため、複数の教員が指導する体制を設けたり、関連する他分野の授業を受ける機会の確保や他大学、研究所などで多様な経験や異分野の交流ができるような工夫も重要である。また、専門分野ごとに一定の共通性を保てるような、標準となるカリキュラムを開発することも求められる。

さらに、指導方法を多様化することも重要であり、ケース・スタディを用いた授業方法やオフィス・アワーを設けることなども、指導上効果的である。学生による授業評価は、授業の内容・方法の改善や大学院の授業の質を高める上で有効であり、ファカルティ・デベロップメントを積極的に実施することも必要である。


(2) 既存組織の見直しと学生・教員の流動化

大学院改革を進める上で、既存組織の見直しや組織編制の多様化を、更に進めることも必要である。複数の学部や研究所との連携など、多様な組織編制を工夫するとともに、既存組織を定期的に見直したり、新しい需要を考慮した組織の改廃など機動的に対応することが求められる。また、大学院の高度化、多様化に向けて、大学院の専任教員を配置するなど、大学院としての独自の組織の充実を図ることについても、一層推進していくことが必要である。

将来研究者を志す者が、若い時期にできるだけ異なる組織やテーマの下で教育研究をすることが、その後の幅の広い研究や新しい知識・技術の創出につながっていくと考えられる。このため、例えば、大学院の入学や博士課程への進学に当たり、他の大学の学生を積極的に受け入れるなど、広く門戸を開くことが望まれる。学生の選抜方法として面接などを導入することや、大学院の判断により学生の一定割合を他大学から受け入れるなどの試みも検討する必要がある。

教員についても、他大学・研究所等との交流、企業と大学との人事交流などにより流動化を図り、人事構成を多様なものとしていくことが求められる。


(3) 教育研究環境の改善と競争原理の確立

大学院の充実を図る上で、大学院を、学生にとってより魅力あるものとするため、教育研究環境や研究費を充実することは不可欠である。21世紀を視野に入れた教育研究基盤を形成する観点から、優れた実績をあげることが期待される大学院や特色ある試みを行う大学院に対し、資源の重点的投入を行うことなどにより、施設・設備や研究費を充実することも考えられる。これらを通じ、様々な分野に、優れた教育研究の拠点を形成していくことも重要な課題である。

大学院における教育研究を活性化していくためには、教育研究環境の改善とともに、研究支援体制を充実することが課題であり、事務職員や技術職員などの充実を図ることが求められる。

また、大学院がそれぞれ特色を持ち、多様な発展を遂げ、研究水準や教育内容において国内的にも国際的にも競争していくためには、評価と競争原理の確立が必要である。各大学院が、その教育研究の状況を積極的に公開していくこと、自己点検・評価や第三者評価の取組を一層充実すること、さらには、このような評価に基づく資源の重点配分を一層進めることが必要であろう。


(4) 学生の経済的自立の支援

経済的理由で有為な人材が大学院に進学できない事態や、大学院生の多くが、家庭教師などのアルバイトに従事しながら教育研究を続けている現状も早急に改善する必要がある。このため、日本育英会の奨学金について、貸与月額及び人員について引き続き拡充するとともに、制度のより一層の改善・充実を図る必要がある。また、大学院学生が研究補助業務を行った場合に一定の報酬等が与えられる リサーチ・アシスタント制度【用語解説】の導入やティーチング・アシスタントの拡充などに努め、大学院生の経済的自立を支援することが重要である。

なお、外国人留学生についても、困難な経済的環境等を考慮し、今後とも国費留学生制度の拡充等、各種奨学金制度の一層の充実を図る必要がある。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ