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1部   新しい大学像を求めて-進む高等教育の改革-
第2章   大学が変わり始めた
第3節   開かれた大学づくり
2   大学内部の見なおし・点検が始まった



(1) 自己点検・評価システムの導入

大学が、教育研究活動を活性化し、質の向上を図るとともに、その社会的責任を果たすためには、自らの現状について不断に自己点検を行い、その結果に基づき改善に努めていくことが必要である。

このような自己点検・評価の取組は、従来幾つかの大学において自主的に行われてきたものの、必ずしも一般的なものとはなっていなかったが、平成3年6月に改正された大学設置基準で、新たに大学の教育研究活動についての自己点検・評価に関する努力義務が定められた。

この大学設置基準改正後、大学改革に向けての気運が高まるにつれて自己点検・評価に関する各大学の取組も急速に進んでおり、平成6年度現在、全体の約8割に当たる434大学で自己点検・評価に係る学内規程が整備されている。

自己点検・評価の対象について大学設置基準には具体的な規定はないが、平成3年2月の「大学教育の改善について」の大学審議会答申においては、点検・評価項目の例として、

1) 教育理念・目標等、
2) 教育活動、
3) 研究活動、
4) 教員組織、
5) 施設・設備、
6) 国際交流、
7) 社会との連携、
8) 管理運営、財政、
9) 自己評価体制

の9項目が挙げられている。各大学における自己点検・評価の実施状況は、1-2-28 のとおりである。各大学においては、具体的な自己点検・評価の項目について、各大学の理念・目的、教育研究活動の特色等に照らし、十分な検討を行った上で、適切な点検・評価項目を定めるとともに、大学改革に向け意欲的に取り組んでいくことが期待される。

1-2-28 各大学における自己点検・評価の実施状況(平成6年9月現在)


(2) 自己点検・評価結果の公表

大学の自己点検・評価は、大学の現状と課題を把握することにより、自主的な改善努力を促進することを目的として実施されるものである。それだけにとどまらず、自己点検・評価の結果について公表することにより、大学の置かれている状況について地域社会の理解を求めるとともに、学外の多様な意見を求めるチャンスでもある。

近年、自己点検・評価結果を年次報告等の形で一般向けに公表する大学が増加しており、平成6年度現在で190大学に上っている。これは、大学全体の約3分の1であり、先に述べた自己点検・評価に関する学内規程を整備している大学の4割強に及んでいる。これらの公表された資料の内容は、各大学において行われた点検・評価の観点の違い等から、大きく以下の三つに分類することができる。


(ア) 包括的な自己点検・評価を実施しているもの

第一の例は、大学・学部等における教育研究活動全般に関し、包括的な自己点検・評価を行い、その結果を「大学自己点検・評価報告書」、「大学の現状と課題」等のタイトルで取りまとめ、公表するものである。大学の歴史・現状、諸課題、教育・研究活動の現状、学生の状況、国際交流の状況、事務組織、管理・運営体制等について詳細な記述がなされているものが多い。一部の大学では、企業や卒業生、在校生等へのアンケートを実施し、報告書に盛り込むなどの特色のあるものも見られる。


(イ) 教員の研究業績を中心としているもの

第二の例としては、研究業績一覧のような形で、所属教員の研究内容・業績、今後の方向等について取りまとめたものが挙げられる。このような報告書は、大学設置基準改正前から、すでに多くの大学で作成し、公表されていたが、近年、より充実した内容のものが増えている。


(ウ) 個別のテーマごとに実施しているもの

包括的な報告書や、研究業績一覧のような形式の報告書のほかに、大学をめぐる個別の問題にテーマを絞った点検・評価を行い、その結果を公表する例も見られる。

このような例としては、カリキュラム改革について学生に対するアンケートを行い、その結果を基に評価を行ったもの、リフレッシュ教育の効果等について社会人学生等に対するアンケートを基に評価を行ったもの、学生生活、健康管理、図書館、留学生等の学生生活に係る事項について点検・評価を行ったものなどがある。

公表された自己点検・評価報告書


(3) 自己点検・評価の結果のフィードバック

自己点検・評価は、その実施と結果公表をもって完結するものではない。むしろ、新たな大学改革に向けての取組の第一歩として位置付けられるべきものである。各大学においては、自己点検・評価の本来の趣旨を生かすために、報告書の内容や公表した後の外部からの反響等について、十分な検討を行い、大学改革に向けて新たな取組を進めていくことが必要である。

近年、各大学において、自己点検・評価の実施に向けた気運がかつてなく高まり、報告書の刊行も相次いでいるが、今後は、その次のステップである自己点検・評価の結果を踏まえた大学改革への具体的な取組が注目されるところである。


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