ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部   新しい大学像を求めて-進む高等教育の改革-
第2章   大学が変わり始めた
第3節   開かれた大学づくり
1   大学が利用しやすくなった



(1) 生涯学習ニーズへの対応

余暇時間の増大や職業上の知識・技術の継続的な学習の必要性、国民の意識の変化などにより、社会全体の生涯学習ニーズに対する欲求は、かつてないほどの高まりを見せている。大学等は社会に開かれた施設として、このような生涯学習に対するニーズに積極的にこたえていくことが求められている。

大学が社会全体の生涯学習ニーズの高まりに積極的にこたえていくためには、大学教育へのアクセスの方法をより多様化するとともに、多様な学生に配慮した履修形態の柔軟化、多様な学習形態に対する評価の工夫が求められる。このため、種々の制度改正が行われ、これを受けて各大学でも積極的な取組が進められている。


(ア) 入学機会の多様化
(a) 大学への編入学枠の設定

大学の編入学については、従来から欠員が生じた際に受け入れることとなっていたが、短大・高専から4年制大学への編入学の要望が高まってきたことを受けて、平成3年に大学設置基準の改正により、必要専任教員数及び必要校舎面積の基準を、入学定員に基づく方式から、途中年次の編入学定員も含めた学部全体の総学生定員である収容定員に基づいて算定する方式に改め、各大学が編入学定員を設定しやすくなるようにした。

平成7年度の短期大学から大学への編入学者は1万297人、高等専門学校から大学への編入学者数は2,051人となっており、それぞれ平成元年度の編入学者数の2倍となっている。


(b) 社会人特別選抜の実施

社会人特別選抜は、高等学校や大学、短大等を卒業して一度社会に出てから再び大学教育を受けたいと考えている社会人に対し、一般の入学志願とは別の方法で入学者選抜を行うものである。

「社会人特別選抜」については、平成5年9月の大学審議会報告「大学入試の改善に関する審議のまとめ」において、社会人の生涯学習に対するニーズの拡大にこたえ、多様な学習機会を積極的に提供することが大学に期待されていること、また、それにより大学入学者選抜に向けた競争を緩和することが期待されること、社会人等の入学が他の一般学生に良い影響を与えるとともに大学の活性化にも役立つことなどから、その拡大が提言されている。

社会人特別選抜を実施している大学は、平成元年度で93大学、入学者数は2,121人であったが、6年度には207大学、入学者数4,199人に増加している。また大学院では、元年度に53大学、入学者数1,827人であったが、6年度には142大学、入学者数は4,641人に増加している。


(イ) 履修形態の柔軟化
(a) 昼夜開講制の導入

昼夜開講制は、夜間の履修だけでなく、一部昼間や週末を利用した履修も取り入れることにより、学生の多様な生活形態に柔軟に対応した履修を可能にするものである。平日の昼間における学習が困難な社会人等に対して大学教育の機会を提供するため、昼間部の履修形態の弾力化の一つの方法として、従来から一部の大学で導入されている。

昼夜開講制を導入している大学は、平成6年度で国立22大学27学部、私立5大学7学部の計27大学34学部、大学院では、国立60大学108研究科、公立4大学4研究科、私立28大学37研究科の計92大学149研究科となっている。


(b) 夜間大学院制度の導入

夜間大学院制度は、職業上の知識・技術の継続的な学習の必要性が増大する中で、時間的な制約が強い社会人等が大学院で学習することを容易にするため、大学院において夜間に教育を行えるようにしたものである。

平成6年度では、国立2大学3研究科、私立8大学11研究科の計10大学14研究科で実施されている。


(c) 科目等履修生制度の導入

科目等履修生制度は、社会人等に対してパートタイムによる学習機会を拡充し、その学習成果に適切な評価を与えるため、大学の定めるところにより、当該大学の学生以外のもので、一又は複数の授業科目を履修するものに対し、単位を与えることができることとしたものである。

平成5年度では、253大学(放送大学を除く。)で5,431人の科目等履修生を受け入れており、4年度に比べて2倍以上となっている。


(ウ) 多様な学習成果に対する評価の工夫
(a) 学位授与機構の創設

学位授与機構は、高等教育段階の様々な学習成果を評価することにより、大学又は大学院の正規の課程の修了者と同等の水準にあると認められる者に対し、学位を授与する機関である。

学位授与機構により学位が与えられるのは、

1) 短期大学又は高等専門学校卒業者が、大学又は学位授与機構の認定する短期大学又は高等専門学校の専攻科で一定の学修を行った場合と、
2) 学位授与機構が大学又は大学院に相当する教育を行うと認める大学以外の教育施設の課程を修了した場合(平成6年4月現在、9課程を認定)

である。

前者により学位授与機構から認定を受けた短大・高専は、平成6年4月現在、短期大学53校88専攻、高等専門学校9校21専攻となっており、これにより、6年度末までに462人に学士の学位が授与されている。また、後者の制度に基づいて学位授与機構から大学又は大学院に相当する教育を行うと認定された課程は、6年4月現在9課程となっており、3,446人に学士の学位が授与されている。


(b) 専門学校等における学習成果の単位認定

この制度は、専門学校における学修、文部大臣認定技能審査の合格に係る学修等で大学において大学教育に相当する水準を有すると認めたものについて、各大学において単位を与えることができるものである。平成3年6月の大学設置基準の改正により制度化された。近年、この制度を活用して学外での多様な学修を単位として認定する例が見られるようになっている。


(2) リフレッシュ教育の推進

近年、職業人が大学院などの高等教育機関において継続的に教育を受け、生涯にわたり最新かつ高度な知識・技術を習得することが重要になっている。これらの教育(リフレッシュ教育)を積極的に推進するため、これまでに述べたような制度改正に加えて以下のような取組が実施されている。


(ア) 大学等と産業界との連携・協力の推進

大学等と産業界の関係者が意見交換、情報交換を行い相互の理解を促進するために、文部省では、「リフレッシュ教育推進協議会」を開催するとともに、リフレッシュ教育についてのパンフレット、PRビデオを作成し、広報・普及に努めている。また、各大学等における職業人の受入れ情報をガイドブックにして刊行するとともに、企業から大学等への職業人の派遣状況について調査し、大学等へ情報を提供している。

各国立大学においては、各地域における職業人の受入れに関する課題等を産業界の関係者と大学が協議するために「リフレッシュ教育フォーラム」を開催している。

産業界では平成2年に(社)経済団体連合会が中心となって、「先端技術者育成トラスト」を創設し、リフレッシュ教育に積極的な大学・高等専門学校に助成を行っている。6年度までに14大学4高等専門学校が助成を受けている。


(イ) 大学における教育内容・方法の改善

(社)日本工学教育協会は、文部省の委嘱を受けて、産業界、職業人のニーズに応じたリフレッシュ教育の内容・方法について調査研究を実施しており、研究成果は参考資料として、大学等へ提供されている。

各大学においても、社会人にとって魅力ある教育を提供するため、教育内容・方法の改善に取り組んでおり、少人数のセミナー形式の授業、衛星通信等を活用した海外の大学との合同授業、実践的なケース・メソッドの導入など職業人のニーズや実状に合った教育を実施している。

また、平成4年度より、放送教育開発センターが中心となって、幾つかの国立大学、企業等を衛星通信回線等で結び、新しいメディアを活用したリフレッシュ教育についての実験研究を実施している。6年度には、東京工業大学大学院情報理工学研究科の教員等による講義を衛星通信回線を利用して配信するとともに、地上系回線を通じて質問に答える実験が行われた。


(3) 放送大学の活用

昭和60年4月から学生受入れを開始した放送大学は、国民各層の広範な学習需要にこたえて、大学共同利用機関である「放送教育開発センター」との連携の下に、広く国公私立大学の協力を得ながら、テレビ・ラジオを中心とする多様なメディアを効果的に利用して大学教育を実施することにより、新しい高等教育システムを提供しようとするものである。

放送大学には、国民各層の多様な学習ニーズにこたえるために、多くの学問分野を含む教養学部が設置されている。この学部には豊かな教養を培うとともに、実生活に即した専門的学習を深められるよう、既存の学問分野の枠にとらわれない形で、「生活科学コース」「産業・社会コース」「人文・自然コース」が設けられている。現在、社会人、高齢者、主婦など非常に多彩な顔ぶれの約6万人の学生が300科目以上に及ぶ多様かつ充実した授業科目の中から自己の学習目的に応じて科目を選択し意欲的な学習活動を展開している。すでに、平成元年3月の第1回卒業生544名をはじめとして、7年3月までに計6,679名が学士の学位を取得して卒業している。また、放送大学はアジア放送公開大学連合(aaou)に加盟し、諸外国の放送大学等との国際的な協力にも努めている。

現在、放送大学は、関東地域の一部を対象として放送の実施、学生の受入れを行っているが、国民の高度化・多様化する学習ニーズに対応し、教育の機会均等を確保するため、放送衛星を利用した放送大学の全国化に向けて準備が進められている。広く社会人等に大学教育の機会を提供するとともに柔軟かつ流動的な大学進学の機会を保障する放送大学に対する期待はますます高まっており、全国化により、20万人を超える人々が放送大学の学生として多様な学習活動を展開することになると見込まれている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ