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1部   新しい大学像を求めて-進む高等教育の改革-
第2章   大学が変わり始めた
第2節   大学院に何を期待するか
2   高度専門職業人の養成



(1) 社会人の再教育と大学院制度

近年の急速な社会の変化や学術研究、産業技術の高度化に伴い、社会の多様な方面で高度な専門的知識や能力を有する人材が求められている。また、職業能力の高度化に伴う企業等における人材の資質向上に際し、企業内研修に加え、企業外での能力開発の重要性が高まっており、これらの高度専門職業人の養成に対する大学院の積極的対応が期待されている。

このため、近年では、研究者の養成だけでなく、高度専門職業人の養成を目的とする研究科・専攻の設置が増えている。

特に、社会人の再教育に対する需要が大きくなっている背景・要因としては、

1) 技術革新の加速化、
2) 社会・経済の変化に伴う職業能力の高度化、
3) 個人の自己啓発、
4) 職業上の知識技術の新たな修得、
5) リフレッシュの必要性の増大、
6) 労働時間の短縮、
7) 就業形態の柔軟化

等がある。

平成6年度における社会人の大学院への入学は、修士課程には3,298人、博士課程には1,343人となっており、元年度に比べ修士課程は2.1倍、博士課程は4.7倍と増加し、博士課程への入学の増加が顕著である(1-2-18 )。

大学院では社会人の受入れを促進するため、弾力化された大学院制度を活用して、いろいろな試みが実施されている。

語学試験の免除や研究計画の評価を中心とする社会人を対象とした特別選抜制度の導入、
パートタイムでの履修で単位認定を行う科目等履修生の制度の活用、
夜間や週末等における授業を組み合わせた昼夜開講制の採用や夜間大学院の設置

などである。

夜間大学院は、平成7年度までに、筑波大学教育研究科、経営・政策科学研究科、大阪教育大学教育学研究科、青山学院大学国際政治経済学研究科、多摩大学経営情報学研究科、東洋大学文学研究科、法政大学人文科学研究科、早稲田大学社会科学研究科、東洋英和女学院大学人間科学研究科、同大学社会科学研究科、山梨学院大学公共政策研究科、姫路獨協大学言語教育研究科、同大学法学研究科、同大学経済情報研究科、武庫川女子大学臨床教育学研究科の11大学(15研究科)に設置されている。

昼夜開講制は、夜間の講義と集中講義を組み合わせる等の方法で、社会人が在職のまま大学院で教育を受けることができるようにするものである。平成7年度においては新潟大学教育学研究科学校教育専攻、名古屋市立大学経済学研究科日本経済・経営専攻、東京電機大学工学研究科電気工学専攻など113大学(189研究科、540専攻)で行われており、近年この制度を採用する大学院が増えてきている。

夜間大学院や昼夜開講制を採用している大学院では、その教育研究の対象分野も企業法学、国際ビジネス、臨床教育学など職業実務と密接にかかわるものが多い。また、企業に対するアンケート調査などを実施して、カリキュラム編成にその結果を活用したりする例も見られる。さらには、企業においても大学院に従業員を派遣し、その資質向上のために活用する動きも見られる。

後述の調査結果によれば、現在大学院で学ぶ社会人学生の間では、社会人入試に関する情報が十分入手できると感じている者や、社会人に配慮した履修形態になっていると感じている者の割合は必ずしも高くない( P.59参照)。今後、大学院においてこのような弾力化された制度を積極的に活用した取組の一層の推進が望まれる。

1-2-18 社会人の大学院への受入れ状況の推移(各年度5月1日現在)

1-2-19 国・公・私立大学大学院修士課程修了者数等の推移

1-2-20 国・公・私立大学大学院博士課程修了者数の推移


(2) 大学院修了者の進路

大学院修了者の進路状況(平成6年3月)を見ると、修士課程では修了者が3万6,581人で、うち博士課程へ進学した者は6,191人、就職した者は、2万4,990人であり、その主な就職先は産業別に見ると、製造業14,204人(56.8%)、サービス業(教育分野を含む)5,184人(20.7%)、公務1,635人(6.5%)などとなっている(1-2-19 )。

博士課程では修了者7,366人で、そのうち就職者は65.7%に当たる4,842人であり、その主な就職先は、サービス業3,633人(75.0%)、医療保健業1,328人(27.4%)、製造業700人(14.5%)、公務262人(5.4%)などとなっている(1-2-20 )。

修士課程修了者に対する人材需要は理工系を中心に高いが、人文系や博士課程修了者に対する人材需要は近年増えてきているものの、なお大学院教育を受けたことが社会的に十分評価されているとは言えない。また、大学院においても社会的需要に適切にこたえ得る分野や魅力ある内容を持った教育展開が必ずしも十分でない面もある。

資源の乏しい我が国が、国際社会において将来にわたって発展を可能にしていくためには、多様な分野において高度な専門的知識や能力を有する人材を養成することが必要である。そのためには、大学院修了者を社会の多様な分野で積極的に受け入れ、適切な評価と待遇が行われるよう企業など社会の受入れ体制の整備をするとともに、社会に開かれた大学院の整備充実を今後とも推進していく必要がある。


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