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2編 文教施策の動向と展開
第9章 国際化の進展と教育・文化・スポーツ
第3節 教育・文化・スポーツにおける国際交流・協力
5 国際機関を通じた協力



(1) ユネスコ事業への参加・協力

ユネスコは,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を目的とする国際連合の専門機関であり,我が国はその基本理念と多国間協力事業の重要性を高く評価し,従来からその活動に積極的に参加・協力している (表2-9-7) 。しかし,ユネスコは,その事業計画・予算,管理・運営等について様々な問題が指摘され,ついには,アメリカ,イギリス及びシンガポールが脱退するに至った。これを契機に,改革への努力が行われ,機構改革,人事の刷新,事業の重点・精選化など様々な措置が取られてきているほか,平成3年秋の第26回ユネスコ総会においては我が国提案の機構改革案が採択された。

2-9-7  我が国が現在協力しているユネスコの主な事業

また,日本ユネスコ国内委員会は,我が国におけるユネスコ活動に関する助言,企画,連絡及び調査のため,文部省に設置されている特別の機関であるが,平成元年7月に文部大臣及び外務大臣に対し,「ユネスコ第3次中期計画と関連して我が国が当面重点的に推進すべきユネスコ活動について」建議を行った。この建議においては,1990年(平成2年)の国際識字年に向けての協力強化,地球環境問題へのユネスコを通じた協力等が重点課題として提言されており,これを受けて,平成2年度からアジア太平洋地域の識字事業を推進するため日本識字教育信託基金70万ドルを拠出している。

なお,我が国が,従来から特に積極的に参加・協力している事業には,次のようなものがある。

教育の分野では,アジア太平洋地域加盟国の教育協力の強化,教育発展への自助努力の促進を目的とした「アジア太平洋地域教育開発計画(APEID)」及び2000年(平成12年)までに同地域における非識字者をなくすことを目的とした「教育の完全普及に関するアジア太平洋地域事業計画(APPEAL)」を重視し,信託基金の拠出,国立教育研究所や大学等における専門家会議の開催等を行っている。また,科学の分野では,海洋学,環境及び生態学,水文学等の分野の政府間共同調査事業に参加しているほか,若手研究者養成のための1東南アジア基礎科学地域協力事業」,地球環境科学関連の研究水準の向上を目的とする「アジア太平洋地域地球環境共同研究事業」に信託基金の拠出を行っている。文化の分野においては,我が国の代表的な文学作品を海外に紹介する日本文学代表作品翻訳事業への信託基金の拠出や,ユネスコの提唱により設立された政府間機関である文化財保存修復研究国際センター(IC-CROM)への協力などを行っているほか,外務省においては「文化遺産保存日本信託基金」をユネスコに拠出している。また,ユネスコへの幹部職員やアソシエート・エキスパート(若手技術援助専門家)の派遣なども行っている。

さらに,アジア太平洋地域の文化の保存と発展等を図り,相互理解に寄与することを目的とした(財)ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)は,アジア太平洋地域加盟国との協力により音楽,識字教材等の共同製作事業,研修事業等を行っている。また,国内におけるユネスコ活動の推進を目的とした(社)日本ユネスコ協会連盟では,各国での識字教育施設建設活動や青少年の国際交流活動などを行っている。


(2) OECD事業への参加

OECD(経済協力開発機構)は,教育,科学等を含む広い意味での経済の各分野にわたり,国際的な協力・交流・情報交換活動を行うことにより,加盟する先進国間に共通する課題を協議・検討し,必要な場合には調整する国際機関である。

文部省では,OECDが実施する教育・科学関係の事業について,専門家会議等への参加者の派遣,大臣会議や定例会議への代表の派遣,日本国内における国際会議の開催等を通じ,積極的な協力を行ってきている。また,これらの機会を通じて我が国の諸施策をOECD諸国に紹介するとともに,他の先進諸国の教育・科学に関する諸施策の現状や問題点について情報の収集に努めている。

教育の分野では,OECDの機関として,各国の教育政策の当面の課題について情報交換等を行うことを主たる任務とする「教育委員会」と,教育に関する中・長期的な課題についての比較研究活動等を主たる任務とする「教育研究・革新センター(CERI)」が設けられている (表2―9-8) 。なお,文部省では,平成4年度から,教育委員会又はCERIの実施する事業への協力を一層強化するため,OECDと共催で毎年1回,我が国において専門家会議を開催することとしており,今年度は「教員の質」をテーマとしてこの会議を開催する予定である。

2-9-8  OECD教育委員会,CERlの主な事業



(3) 国連大学への協力

国連大学は,人類の存続,発展及び福祉に係る世界的な問題についての研究,研修及び知識の普及を目的として,昭和48年の国連総会によって設立された我が国に本部を置く国連機関である。

2-9-2  国連大学のネットワーク

国連大学は,教授陣やキャンパスを持って学生を受け入れるのではなく,世界各地の大学・研究機関とネットワークを構成し (図2-9-2) ,研究・研修事業,研究成果の普及等を行う学術機関である。なお,1992-93年度の研究・研修事業分野は,1)普遍的価値と義務,2)世界経済と開発,3)地球環境システム,4)科学と技術の進歩,及び5)人口と福祉の5分野である。

我が国は,昭和49年の大学本部誘致以来,本部施設を提供するとともに,事業運営,財政等の面において,大学基金への1億ドルの拠出など,積極的な協力を実施してきた。

施設については,我が国と国連との協定に基づき,渋谷の青山都電車庫跡地に恒久的本部施設として新たな施設を建設し,平成4年7月1日に同大学に提供した。

また,事業への援助については,昭和61年度から事業運営費への拠出を行うとともに,平成3年度から国連大学とユネスコの共同研究事業を実施するための信託基金をユネスコに拠出している。さらに,平成4年度から新たに,日本国内の大学・学会と国連大学との学術協力を推進することを目的として,共同研究を実施するための拠出金を同大学に拠出する。


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