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2編 文教施策の動向と展開
第7章 社会教育の振興
第4節 多様な学習機会の整備
3 高齢者の学習



(1) 高齢者の学習需要

我が国の平均寿命は,昭和22年には男50.1年,女54.0年であったが,生活水準の向上,医療体制の整備などを背景に伸長し,平成3年には男76.11年,女82.11年となり,いよいよ人生80年時代を迎えた。

昭和61年6月に閣議決定された「長寿社会対策大綱」においては,人生80年時代にふさわしい経済社会システムの構築の必要性を示し,その中で,1)雇用,所得保障システム,2)健康,福祉システム,3)学習,社会参加システム,4)住宅,生活環境システムに係る長寿社会対策を総合的に推進することとしている。

高齢者の生涯学習への意識を,総理府の「生涯学習に関する世論調査」(平成4年2月)で見ると,「趣味を豊がにするため」が最も多いが,他の世代に比べ,「老後の人生を有意義にするため」が多いことが特徴づけられる (表2-7-2)

2-7-2  高齢者の生涯学習をしてみたいと思う理由

学習の方法としては「地域や職場のサークル,グループ活動に入る」,「公民館などが行う講座,教室に通う」を掲げる人が多数を占めるなど,社会教育に対する期待が高い。


(2) 高齢者の学習機会の整備と学習成果の活用

高齢者の生きがいある生活を実現するため,魅力のある学習の場と,高齢者の持つ優れた経験を生かすことのできる社会参加の場の拡大が図られている。

地方公共団体,特に教育委員会や公民館が行っている学級,講座は,高齢者の体系的な学習の場として,大きな役割を果たしている (表2-7-3) 。これらの学級,講座のうち99%は,市町村が実施しているものである。

2-7-3  教育委員会と公民館における高齢者対象の学級・講座の状況

教育委員会,公民館が実施している学級,講座への受講者数について,昭和52年度と平成元年度を比較すると,1.75倍と増え,また,その内容は体育,レクリエーションが大幅に増加している。

また,知事部局,市町村長部局の実施する学級,講座も増えており,昭和60年度には2万4,587(市町村が89%)となっている。

高齢者の学習においては,楽しみのための学習という要請が―般的であると考えられるが,―方で,高度で専門的な学習の要請も存在している。高齢者の学習要求の多様化,高度化に対応し,文部省では,平成元年度より,都道府県が,地域の大学や民間教育事業等と連携を図りながら,幅広い分野と高度な内容を持つ「長寿学園」を開設し,修了者を地域活動の指導者として積極的に活用する事業を助成している。このような高齢者のための総合的な学習機会の提供は,学習を通じて,高齢者の仲間づくり,社会参加への道が開かれることとなり,大きな意義を有している。また,平成2年度からは,社会人とりわけ中高年が高齢期を円滑に迎えるため,科学技術の高度化,情報化,国際化等の社会の変化に対応した職業上,生活上の能力を再開発できる専門的,体系的な学習機会を提供する社会人の能力再開発コースの開設についても助成を行っている。

さらに,昭和59年度から,市町村が,高齢者の生きがいを総合的に高めるため,福祉関係部局や老人クラブなど関係団体との連携を図り,高齢者の生きがい対策を効果的に行う「高齢者の生きがい促進総合事業」に対して助成を行っている。この事業では,高齢者教育促進会議の設置,高齢者教室,ボランティアの養成講座,高齢者の国際理解を促進するセミナー,高齢者の人材活用,高齢者と若い世代の交流,若年期から中高年に至る人々に高齢者問題を考えてもらうシンポジウムの開催,高齢者の社会参加や生活上の諸問題に応じる事業などが実施されている。

今後とも,豊かで活力ある長寿社会の実現に向け,高齢者の生きがいを促進する事業を積極的に推進していく必要がある。


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