ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2編 文教施策の動向と展開
第6章 学術研究の振興
第6節 重要基礎研究の推進
5 生命科学


生命科学は,DNAやタンパク質等の分子を基本に,生命現象を物理的,化学的特性により解明しようとする科学である。遺伝現象,細胞機能の解明からさらにより高次の脳機能の解明までも目指しており,近年組換えDNA実験等の新たな技術開発により飛躍的な発展を遂げている。

その発展は,学術面で生命に関する理解が深化するだけでなく,難病治療技術の進展,植物の品種改良などの医療,農業,工業等の実用面において,豊かな応用成果を人類にもたらすものとして期待されている。


(1) バイオサイエンス研究

文部省では,学術審議会建議1大学等におけるバイオサイエンス研究の推進について」(昭和61年2月)を踏まえ,科学研究費補助金により研究の推進を行っているほか,大学等における生物資源確保のための動植物の系統保存事業の充実,遺伝子実験施設の計画的整備,関係学部学科や大学院の整備充実を図っている。

また,組換えDNA実験の実施に当たっては安全性確保に十分留意することが求められ,研究者による自主規制のガイドラインとして,「大学等における組換えDNA実験指針」が制定されている。


(2) がん研究

我が国の死亡原因の第1位を占めているがんの成因と本態を明らかにし,がんの予防,診断,治療方法を確立するためには,大学等における基礎的研究の推進が不可欠である。

文部省は,従来から科学研究費補助金により,がんに関する基礎研究を広範に推進してきている。昭和59年には「対がん10カ年総合戦略」(昭和58年6月,がん対策関係閣僚会議決定)が発足,これを受けて文部省では,がん遺伝子に関する研究,ウイルスによるヒト発がんの研究,発がんの促進と抑制に関する研究等を推進しているほが,バイオサイエンスの新しい発想と研究技法を導入した研究の重点的推進を図っている。また,がん研究のための国立大学の施設,設備の充実等を行い,継続的,総合的にがん研究の推進を図っている。その結果,我が国のかん研究は,国際的にも高度な水準にあり,新しいがん遺伝子の発見,免疫転写調節因子の発見,プロテイン,キナーゼ等細胞内情報伝達機構解明等による発が人メカニズムの解明,診断のための基礎技術の開発など,世界的に注目される重要な研究成果を上げている。


(3) エイズ研究

エイズの感染者数は急速に増加しているが,根本的な治療法がまだ確立されていないことから,世界的に深刻な問題となっている。我が国においてもエイズ感染者数は年々増加しており,早期にエイズの予防,治療法を確立することが極めて重要である。このため,政府は「エイズ問題総合対策大綱」(昭和62年2月エイズ対策関係閣僚会議決定,平成4年3月―部改正),「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」(平成元年1月)に基づいて,エイズに関する総合的対策の推進に努めている。

文部省では,昭和58年から科学研究費補助金によりエイズ研究を開始し,エイズウイルスの構造,機能解析,エイズウイルスの感染,免疫異常,病態,予防,治療などに関するエイズの基礎的研究を重点的に推進しており,今後もさらに研究の進展が望まれている。


(4) ヒト,ゲノム解析研究

ヒトゲノムとは,24種の染色体―組のことをいい人間の全遺伝情報を担っているものであり,いわば人間の生物学的な設計図といえる。その構造及び機能の解析は,学術的にも社会的にも大変大きな意義を持っている。現在アメリカを始めとして世界的に研究が進められている。

文部省では,学術審議会建議「大学等におけるヒト,ゲノムフ冶ダラムの推進について」(平成元年7月)の趣旨を踏まえ,科学研究費補助金によりヒト,ゲノム構造解析,ヒト,ゲノム機能解析,DNA解析技術の開発,大量情報処理系の開発,ヒト,ゲノム解析研究と社会の接点などの研究を推進している。

また,ヒト,ゲノム解析研究の拠点,支援事業の担当施設として,東京大学医科学研究所「ヒトゲノム解析センター」の整備を進めているほか,地域における研究の拠点として,遺伝子実験施設にゲノム解析分野の増設を進めている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ