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2編 文教施策の動向と展開
第6章 学術研究の振興
第5節 学術情報等の収集,利用の促進
1 学術情報の収集,提供サービス


学術研究の急速な進歩発展に伴い,その成果として生み出される学術情報は急激に増大しており,また,研究者が必要とする学術情報の形態も,文字情報,実験データ等の数値情報,画像情報,あるいはこれらの組合せといったように多様化している。その結果,個々の研究者が必要とする文献等の情報をすべて手近にそろえることは困難になってきている。

このような状況から,大学等における独創的,先端的な学術研究を生み出すための基盤として,研究者が必要とする学術情報を迅速,的確に提供するとともに,学術研究の成果を国内外に普及するための学術情報流通体制の整備が急務となっている。

このため,文部省では,大学共同利用機関として学術情報センターを創設し,同センターを中心に全国の国公私立大学等の参加の下,大学の図書館,大型計算機センター,総合情報処理センター等をコンピュータとデ―夕通信網で結合する,全国的,総合的な学術情報システムの整備を積極的に推進している。


(1) 大学図書館の機能の高度化

大学図書館は,大学の研究者や学生等に対し,図書,学術雑誌を始めとする研究,教育に必要な情報資料を収集,提供する機関として重要な役割を果たしている。

最近,電子的形態の情報が増加するなどその形態が多様化していることから,データベースを利用した情報検索,高速ファクシミリによる文献複写サービス等に積極的に取り組み,情報収集機能や情報提供サービスの充実に努めている。

平成3年5月現在,全大学の56%に当たる289の国公私立大学の図書館が業務の電算化を行い,貸出,返却業務の合理化と目録,所在情報サービスの充実を図っている。国立大学の図書館では,専用コンピュータの導入と大学図書館間における図書資料の文献複写サービス等のための高速ファクシミリの導入を進めており,平成4年度には新たに導入する9大学を加え86大学に設置される。

また,学術情報センターにおいては,大学図書館との協力により,大学図書館間の複写サービス,現物貸借サービスの依頼,受付,会計処理等の情報伝達を電子メールで行うシステム(ILLシステム)を開発し,平成4年4月からその運用を開始している。

さらに,大学図書館においては,CD-ROMの利用,キャンパス情報ネットワークを利用した研究室等からの目録検索など,新しい情報サービスシステムの導入に努めている。


(2) データベース作成等の推進

大学等の研究者が必要とする学術情報を迅速かつ的確に利用し得るようにしていく上でデータベースの果たす役割は極めて大きい。特に我が国では,欧米諸国に比べてデータベースの作成が立ち遅れており,その促進が緊急の課題となっている。

このため,文部省では,国立大学や学術情報センター等における種々の専門分野のデータベースの作成を推進するとともに,学会や研究者グループによるデータベースの作成を科学研究費補助金(研究成果公開促進費)により助成しており,平成4年度は,日本古典文学本文データベース,星間分子情報データベース,ヒト,ゲノム統合データベースなど,94件のデータベース作成事業を支援している (第2編第10章第5節参照)。

2-6-4  国立学校特別会計及び科学研究費補助金で作成しているデータベース数の推移


(3) 学術情報ネットワークの整備

学術情報ネットワークは,学術情報センターが全国の通信拠点(ノード)に設置したネットワーク機器を高速ディジタル専用回線で結び,これに国公私立大学等のコンピュータを接続することにより,計算機利用,情報検索,情報交換等を実現しようとするものであり,学術情報システムを支える基盤通信網となっている。

近年,情報関連技術の急速な進展に伴い,大学等においてもコンピュータの小型化,高性能化が進むとともに,様々なコンピュータを相互に接続するキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)も次第に整備されてきている。このため,平成4年度から,従来のネットワークに加え,学内LANを相互に接続するための新たなネットワークの整備に着手し,通信方式の多様化,効率化を図ることとしている。

また,我が国の大学等の研究成果を広く海外に紹介するとともに,諸外国の研究者との間で研究情報の交換等を効率的に行うことができるようにするため,学術情報センターとアメリカ国立科学財団(NSF),イギリス図書館(BL)等とを国際専用回線で接続し,情報検索サービスの提供,国際電子メールの運用を行っている。


(4) キャンパス情報ネットワークの整備

文部省では,学術情報など多様な情報の流通やコンピュータの高度利用を図るため全国的な学術情報ネットワークの構築とともに,大学内におけるキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)の整備を推進している (第2編第10章第5節参照)。


(5) 研究成果の普及

学術研究の成果の公開を促進することは,我が国の学術の振興と普及に資するとともに,学術の国際交流に大きく寄与している。近年,特に大学等の研究者が生み出す優れた研究成果を社会各方面へ公開する必要性が高まっている。

2-6-5  学術情報ネットワークの概念図

このようなことから,文部省では,学会等が定期的に刊行する学会誌,論文集の刊行,学術的に価値の高い優れた研究成果の学術図書の刊行,学術図書の外国語への翻訳に要する経費等に対し,科学研究費補助金により助成している。また,科学研究費等による独創的,先端的な研究成果を広く社会の各方面に公開し,我が国全体の創造的な科学技術の振興に資するために,文部省が支援して,昭和61年度から,1大学と科学」公開シンポジウムが開催されている。このシンポジウムは,科学研究費等による最新の成果のうち,社会的に関心が高いと思われる研究分野をいくつか取り上げ,それぞれの研究分野ごとの第―線の研究者の研究発表や,参加者との間での意見交換の場を提供している。平成3年度には,「ヒトの防御機構」など五つのテーマについて東京と大阪で実施され,広く国民各層から約4千人の参加があった。


(6) 学術用語の制定,普及

難解で多様な学術用語を整理統―し,平易簡明なものにすることは,学術の進歩とその普及にとって極めて重要であり,学術情報流通の基盤整備を図る上でも大きな意味を持っている。

このため,文部省では,関係学会の協力を得て,各専門分野ごとに学術用語を制定し,それぞれ「学術用語集」として編集,刊行しており,これまでに数学等29分野の学術用語を制定している。

現在,薬学等の4分野について新たに学術用語を制定するための作業を,また,計測工学等の2分野については改定のための作業を進めている。


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