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2編 文教施策の動向と展開
第4章 高等教育の改善・充実
第3節 高等教育機関の整備
9 国立大学等の施設整備



(1) 高等教育施設の現況及び老朽化・狭隘化への対応

 我が国の高等教育施設は,戦後の戦災復旧と新制大学の発足に伴う応急的な整備を経て,昭和30年代後半以降,木造から鉄筋コンクリート造への改築,理工系学部を始めとする学生増募,工業高等専門学校の創設等によって急速な量的拡大を遂げた。さらに,昭和40年代以降は,筑波研究学園都市における文部省関係機関の整備,新設医科大学や新構想大学(技術科学大学及び新教育大学)の創設,大学共同利用機関の創設等に伴う施設整備が進められ,面積は増加の一途をたどった。平成3年5月現在,高等教育施設の延べ面積は,国立約1,734万m2公立約284万m2私立約2,818万m2等となっており,合計約4,840万m2にも及んでいる。

 このような量的整備が進められる一方,近年,高等教育施設の建物の老朽化が進行し教育研究に支障を生じているとの指摘があり,その対応が大きな課題となっている。例えば,国立学校施設について見ると,建築後20年以上を経過した建物が全体の約45%を占めており,大規模な改修や改築を必要とする建物が増加している。また,大学院学生及び留学生の増加,実験設備の大型化,情報機器の導入等による施設の狭隘化も年々深刻になりつつある。

 これらの問題を解決し教育研究環境の改善を図るため,新たに平成4年度から特に老朽化・狭隘化が著しい施設について緊急かつ計画的に整備を行う特別施設整備事業を実施することとした。この事業は,国立学校特別会計に国立学校用地の移転跡地の処分収入等を財源とする特別施設整備資金を創設し,この資金を活用して施設整備を実施するもので,初年度は200億円を計上した。特別施設整備事業を含む平成4年度の文教施設整備予算は約1,027億円で前年度に比べ約14%増となっている。


(2) 教育研究の高度化・多様化に対応した施設整備

 社会の国際化・情報化及び科学技術の高度化に伴い,高等教育機関における教育研究内容も高度化・多様化しており,これらの変化に対応する施設整備が重要な課題となっている。このため,文部省では,臨時教育審議会から提唱された「教育・研究・文化・スポーツ施設のインテリジェント化」を受けて,高度な機能を備えるとともにゆとりと潤いのある教育研究環境づくりを目指した「インテリジェントキャンパス構想」を提唱するとともに,以下のような施策を講じている。

 1) 新しい構想の高等教育機関の創設に対応し,平成3年度から北陸先端科学技術大学院大学の整備を進めており,引き続き,日米建設合意に基づく外国企業参入に係る特定大型公共事業プロジェクトの対象となっている奈良先端科学技術大学院大学の整備を開始した。
 2) 重要基礎研究の推進に対応し,加速器科学,宇宙科学,生命科学,核融合研究等を支援する大規模な研究施設の建設を進めており,現在,核融合科学研究所,国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡ドーム等の整備が進行中である。
 3) 21世紀に向けての留学生政策の展開に伴い,我が国への留学生や外国人研究者が急速に増加しているため,各国立学校では留学生や外国人研究者のための居住施設である国際交流会館の建設を進めている。
岐阜県土岐市に建設中の核融合科学研究所


 4) その他の大学等においても,最先端の研究を行うための研究施設,産業界との共同研究を促進するための共同研究センター,情報化に対応するためのキャンパス情報ネットワーク等の整備を推進している。

(3) キャンパスの再開発

 現在,多くの大学では施設の老朽化や過密化のため教育研究の進展に対応することが困難になってきている。このため,文部省では,機能的でゆとりあるキャンパスに再生するとともに,将来の変化にも柔軟に対応できるよう,キャンパスの再開発整備を推進している。特に,昭和30年代から40年代にかけて建設された医学部附属病院施設は,最近の医療の専門化・高度化や医療技術の進展に対応することが困難になってきたことから,全面的な建替えの時期を迎えているものが多く,現在,東京大学,東京医科歯科大学等で附属病院の再開発整備を進めている。この他,附属病院以外では,電気通信大学,名古屋工業大学等で再開発整備が進行中である。


(4) キャンパスの移転・統合

 既存の大学の中には,キャンパスが市街地にあって狭溢なため,教育研究に支障を生じたり,将来の発展に対応できなくなっている大学や,キャンパスが分散しているため,管理運営上の支障を生している大学がある。このため,キャンパスを郊外に移転若しくは統合する大学が増えており,国立大学では,金沢大学,大阪教育大学等の移転統合を進めている。移転統合事業のうち,筑波,賀茂,宮崎の3地域については研究学園都市整備事業として整備が進められてきており,現在は賀茂学園都市における広島大学の移転事業を進めている。

 なお,東京都区部における人口及び諸機能の過度の集中の是正に資するため,多極分散型国土形成促進法に基づく国の行政機関等の移転に関する基本方針及び移転機関等が閣議決定されており,文部省所轄の施設等機関では東京外国語大学を始め8機関が移転対象機関とされている。


(5) 既存キャンパスの整備

 このほか,各国立学校において既存キャンパス環境の向上を目指し,学生増募や学部学科の新設改組に対応した校舎の整備,学生寄宿舎の居住性改善のための整備,老朽化した附属学校校舎の改築整備等を積極的に推進している。


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