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2編 文教施策の動向と展開
第4章 高等教育の改善・充実
第3節 高等教育機関の整備
2 大学院の充実


 我が国の国際的な地位の向上に伴い,先駆的な基礎研究の推進を通じての国際的な貢献とこれを支える優れた研究者の養成や,急激な技術革新,社会経済の進展等に伴い,高度の専門的知識・能力を持つ人材の養成,社会人の再教育等の社会的な需要にこたえるため,大学院の重要性が一層増大しており,その整備充実が高等教育の大きな政策課題となっている。

 大学審議会は,このような観点から,大学院の在り方について多岐にわたる提言を行った。文部省では,これらの提言を踏まえて,平成3年7月に大学院制度面で所要の改正を行い,平成4年度においては,予算面で大学院の充実と教育研究の一層の高度化を図る措置を講じた。


(1) 大学院の拡充
1) 国立大学大学院の整備

 平成4年度においては,最近の学術研究の動向や社会的要請に対応して先端的,学際的分野等の教育研究を展開するため,奈良先端科学技術大学院大学にバイオサイエンス研究科を新設(平成6年4月学生受入れ)するとともに,人間情報学研究科,国際協力研究科,数理科学研究科,情報システム学研究科の独立研究科のほか,教育学研究科,国際政治経済学研究科,地域文化研究科など,14大学に14研究科(うち1大学は大学院の新設)を設置した。また,日本語教育学専攻,国際協力専攻,情報工学専攻,先端学際工学専攻など20大学に34専攻を増設するとともに,学部とは独立の組織としての大学院の実質化を実現するための教育研究組織の整備,大学院における留学生の受入体制の整備,理工系分野を中心に活発な研究を行っている外部の試験研究機関との連携を積極的に推進するための整備等を図った。


2) 公・私立大学大学院の新増設の動向

 一方,公・私立大学の大学院の整備においても,それぞれの地域の実情や建学の精神を踏まえつつ,特色ある大学院の新増設が行われている。平成4年度においては,言語科学研究科,情報学研究科,総合学術研究科などから成る大学院の新設(13大学14研究科),国際関係研究科,人間生活学研究科など研究科の増設(10大学10研究科),工業デザイン学専攻,不動産科学専攻,医療・福祉工学専攻,森林科学専攻など専攻の増設(31大学60専攻)が行われた。

2-4-1  大学院,研究科,課程・専攻等新増設の状況(国公私立)


(2) 大学院の教育研究の高度化

 大学院の果たしている役割の重要性にがんがみ,その教育研究条件の改善充実が必要であり,とりわけ,我が国の学術研究面や人材育成面において,世界的水準を追求し,一層の向上を図っていくため,教育研究基盤の飛躍的充実を図るとともに,世界的水準の教育研究拠点(センター・オブ・エクセレンス)の育成を図ることが課題となっている。

 平成3年5月の大学審議会答申においても,同様の観点から,世界の第一線に伍した水準の高い教育研究を積極的に展開していくためには,卓越した教育研究実績を上げることが期待される大学院や教育研究上の新しい試みに意欲的に取り組もうとしている大学院に対して,重点的な財政措置を講じる必要がある旨提言されている。

 文部省では,平成4年度予算において,このような課題に対応するため,各大学の個々の改革構想を踏まえ,大学院を中心とした教育研究組織の重点的な整備を行うとともに,

 1) 教育研究の基幹的経費である学生当積算校費,教官当積算校費について単価改定を含む増額
 2) 大学院を中心とする教育研究の高度化を重点的に推進するため,優れた大学院を中心とした教育研究条件の整備やティーチング・アシスタント制度の導入などに必要な経費として新たに「高度化推進特別経費」を国立及び私立に措置(4年度予算額50億3,000万円)
 3) 高度かつ創造的な教育研究の場としての大学院の整備充実を図るため,国公私立を通じ,優れた教育研究実績を上げている大学院研究科に対する最先端の大学院教育研究用設備の整備のための「大学院最先端設備費」の増額(平成3年度に比べ5億6,200万円増の49億3,700万円)
 4) その他,若手研究者の研究機会の確保のため,日本育英会による育英奨学事業について大学院博士後期課程の貸与月額の増額(平成3年度に比べ2万円増の106,000円)や日本学術振興会の特別研究員制度について採用人員の増員(平成3年度に比べ200人増),研究奨励金の増額(博士取得者等249,000円→262,000円,博士後期課程在学者136,000円→156,000円)

など,大学院に重点を置いた整備充実を図った。


(3) 大学院制度の弾力化の取組

 我が国の大学院制度は,昭和49年の大学院設置基準の制定により,所定の期間に課程を修了し,学位を授与することを建前とする課程制大学院の性格を明確にするとともに,入学資格や教育方法の弾力化の措置を講じ,更に平成元年9月に同基準等を改正し,その改善を図った。

 この制度改正を受け,各大学院においては教育内容・方法などの工夫・改善について積極的な取組をみせている。


1) 夜間大学院・昼夜開講制の実施

 社会人の再教育や生涯学習等の需要にこたえるため,専ら夜間に教育を行う夜間大学院(修士課程)は,平成4年度現在,筑波大学経営・政策科学研究科など4大学6研究科9専攻が設置されている。また,大学院設置基準第14条によるいわゆる昼夜開講制を実施しているものは,国公私立を通じて58大学75研究科238専攻に及んでいる。


2) 入学資格の弾力化の取組

 優れた能力,資質を有する者に対し,早期に大学院教育を受ける機会を開くことを趣旨として,大学3年次から大学院へ入学を認めるものは,平成3年度現在,東北大学工学研究科,同志社大学アメリカ研究科など15研究科で実施し,36人が入学をした。

 また,大学を卒業後,研究所等において2年以上研究に従事した者に博士後期課程への入学を認めるものは,平成3年度現在,埼玉大学理工学研究科,佐賀大学工学系研究科など26大学28研究科で実施し,105人が入学した。


3) 大学院の短期修了等

 博士課程の修業年限は標準5年であるが,優秀な学生は最短3年で修了可能であり,平成元年度間にこれにより早期に課程修了し,学位を授与された者は,国公私立で179人となっている。

 また,平成3年7月の学位制度の改正の趣旨を踏まえ,学位授与の円滑化については,ようやく大学関係者の間でも問題意識が高まり,文科系の博士の学位授与の積極的な対応と改善に向けての動きが見られるようになった。

 今後,各大学院において,更に新たな制度の積極的活用や自己点検・評価システムの導入により,活発な教育研究が展開されることが期待される。


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