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2編 文教施策の動向と展開
第4章 高等教育の改善・充実
第2節 高等教育改革の推進
3 生涯学習等への対応


 技術革新の加速化による職業上の知識,技術の継続的な学習の必要性や人々の知的欲求の高まりなどにより社会全体の生涯学習ニーズが増大している。これに適切にこたえるためには,今後の高等教育において,有職者などのいわゆる社会人学生にも配慮した履修形態の柔軟化や多様な学習成果に対する評価の工夫が一層求められるとともに,教育研究の成果を地域社会や住民に積極的に還元していく姿勢が求められるものと考えられる。


(1) 履修形態の柔軟化

 フルタイムによる昼間の学習が困難な社会人等の学習機会を拡充するためには,高等教育機関の履修形態等を多様化・柔軟化することが重要である。これまでにも,夜間学部等の制度により,社会人等に配慮した履修の道が開かれていたが,平成3年6月の大学設置基準等の改正により,大学の定めるところにより,当該大学の学生以外のもので1又は複数の授業科目を履修するものに対し,単位を与えることができる「科目等履修生」制度が導入された。これによって,各大学等において,科目登録制(特定の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度)とコース登録制(コースとして設定された複数の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度)を設定することが可能となった。

 同時に,昼間学部の履修形態の弾力化の一つとして一部の大学で既に実施されていた昼夜開講制(昼夜にわたって授業を開設して,学生の生活形態に応じた履修を可能にするもの)についても,制度として位置付けた。

 また,近年,短期大学や高等専門学校を卒業した者が,更に高度の学習機会を求めて,4年制大学への編入学を希望する例が増加しているのを受け,大学設置基準を改正し,これらの希望に応じて編入学のための特別の定員枠を設定しやすいようにした。


(2) 多様な学習成果に対する評価の工夫

 高等教育の多様な発展に伴い,高等教育段階の様々な学習成果を適切に評価することが求められている。

 文部省では,従来から大学・短期大学の間で設けられているいわゆる単位互換制に加えて,平成3年6月の大学設置基準の改正において,大学以外の教育施設等における学習の成果であっても,大学教育にふさわしい内容と水準を有するものについては,大学の判断でこれを評価し,一定の範囲内でその大学の単位として認定できる制度を導入した。この制度は,短期大学及び高等専門学校にも同様に導入された。

 また,平成3年7月に学位授与機構が創設され,高等教育段階の様々な学習の成果を評価することによって,大学・大学院の正規の課程を修了していないが大学・大学院の修了者と同等の水準にあると認められる者に対して学位を授与することが可能となった。この制度の具体的な適用としては,1)短期大学・高等専門学校の卒業者等が大学及び学位授与機構の認定する短期大学・高等専門学校の専攻科においてさらに一定の学修を行った場合 (図2-4-1) ,2)学位授与機構が大学・大学院に相当する教育を行うと認める大学以外の教育施設の課程を修了した場合 (図2-4-2) ,の二つがある。

 同機構は,平成3年に,大学・大学院に相当する教育を行う課程として9課程を認定し,平成3年度末には,この制度に基づき849人(学士839人,博±10人)に学位の授与を行った。また,短期大学・高等専門学校の卒業者等に対する学士の学位の授与に関連して,短期大学・高等専門学校の34の専攻科を認定するなどの諸準備を行った。

2-4-1  短期大学・高等専門学校の卒業者等で一定の要件を満たした者に対する学士の学位の授与

2-4-2  大学以外の教育施設において組織的・体系的な教育を受けた者に対する学位(学士,修士,博士)の授与


(3) 地域社会への積極的な貢献

 各高等教育機関については,地域社会に積極的に貢献することが要請されているが,そのためには,まず各高等教育機関が優れた教育研究の実績を上げ,社会的な評価を一層高めることが重要である。

 さらに,各高等教育機関が地域の文化の中心として,また地域コミュニティーの一員として,例えば,公開講座の開設,図書館・運動施設等の開放,地域の諸活動への教員の協力,地域住民への各種情報提供サービスの実施,地域における産官学の研究協力等を通じ,地域社会に貢献することが期待されている。


(4) リフレッシュ教育の推進

 技術革新の進展や産業構造の変化などを背景に,技術者はもとより広く職業人が,大学院などの高等教育機関において継続的に再教育(リフレッシュ教育)を受け,最新かつ高度の知識・技術を修得することが必要となっている。このような産業界等のニーズに対応し,リフレッシュ教育を推進することは高等教育機関の多様化・活性化を図る上でも重要な課題となっている。

 既に,社会人特別選抜や(1)で述べた昼夜開講制,夜間大学院などの制度を活用し,リフレッシュ教育に取り組む大学等も増えてきている。また,平成2年には,(社)経済団体連合会が中心となって,社会人技術者の再教育事業を実施する大学,高等専門学校に対し設備等に必要な経費を助成する「先端技術者育成トラスト」が創設されており,これまでに5大学,1高等専門学校に助成が行われるなど,産業界の支援体制も整備されてきている。

 文部省では,リフレッシュ教育を一層推進するため,平成2年4月から「社会人技術者の再教育推進のための調査研究協力者会議」を設置し,平成4年3月に報告書「リフレッシュ教育の推進のために」を取りまとめた。報告では,1)大学院等への職業人のアクセスの改善,2)カリキュラムの改善,3)短期セミナーや衛星通信を利用したセミナーなど多様な学習機会の提供,4)リフレッシュ教育の成果の評価,5)リフレッシュ教育情報の提供,6)大学等と産業界との意見交換,7)支援体制の整備などの推進方策を提言している。

 文部省では,この報告を踏まえ,平成4年度に省内にリフレッシュ教育企画官を設置するとともに,リフレッシュ教育情報の企業等への提供,標準プログラムの開発,リフレッシュ教育フォーラムの開催などの施策を実施することとしている。


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