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2編 文教施策の動向と展開
第4章 高等教育の改善・充実
第2節 高等教育改革の推進
2 教育研究機能の充実


 我が国が引き続き社会の活力を維持し,国民生活の向上を図っていく上で,人材の養成と学術の振興を担う高等教育機関の役割はますます重要となってきている。また,我が国の高等教育の現状に対しては,国際的な比較等から厳しい批判があり,今後,我が国の高等教育機関は,何にもまして教育研究の質的充実に取り組むことが必要となっている。この質的充実に当たって特に重視すべき方向として,平成3年5月の大学審議会答申「平成5年度以降の高等教育の計画的整備について」では,1)創造性豊かで時代の変化に柔軟に対応し得る能力を育成するための教育機能の強化,2)他の先進諸国に伍して新たな世界を切り開くとともに世界に積極的に貢献するための世界的水準の教育研究の推進,3)社会人の生涯学習ニーズへの適切な対応と地域社会への貢献,を挙げている(3)については「3生涯学習等への対応」で記述)。


(1) 教育機能の強化

 各大学等がその教育機能の充実・強化を図るための具体的取組として,先述した平成3年5月の大学審議会答申では,次のことを指摘している。

 1) 今日のように,技術革新が加速化し,社会の動きが急な時代には,時代の変化に適切に対応し得る能力を育成することが重要であり,このため,これからの高等教育においては,自ら考え,判断させる教育が何より重視されるべきであること。また,社会に出た後も,常に新しい知識を獲得し,能力を磨いていくことができるよう,情報処理能力・外国語能力・表現能力など,学習活動に不可欠な基礎的能力の訓練等も従来以上に重視される必要があること。
 2) 高等教育の規模が拡大し,多様な学生が学ぶ状況で,学生の学習意欲の向上を図り,学習内容を着実に消化させるためには,各大学等において,学生の学習に配慮した教育プログラムの開発・提供に取り組むことが重要であること。
 3) 高等教育機関が,本来期待されている教育機能を十分に発揮するために重要なことは,まず,一人一人の教員が教育指導能力,意欲の向上に努めることが基本であり,このため,欧米の大学で広く普及している教員の教授内容・方法の改善・向上への取組(ファカルティ・ディベロップメント)や,教員の研究上のみならず教育上の業績の適切な評価方法を検討することが求められること。
 4) 高等教育における国際化が進展し,外国人留学生の一層の増加が予想される中で,教育研究指導の工夫,日本語教育の充実等,文化的・社会的背景の異なる外国人留学生に配慮した教育の在り方が求められること。また,日本人学生の留学の機会の拡充及び帰国後の受入体制の整備等にも努める必要があること。

 各大学等においては,これらの方向に沿って,大綱化された大学設置基準等の趣旨を生かし,特色ある教育を推進することが望まれる。


(2) 世界的水準の教育研究の推進

 我が国の大学の教育研究費,施設・設備等は,世界的水準の教育研究を支える上では必ずしも十分なものとはなっておらず,各方面からも種々の指摘を受けており,その教育研究環境の改善を図ることが今日大きな課題となっている。特に,我が国の基礎研究を中心とする学術研究を推進するとともに,創造性豊かな優れた研究者及び高度な専門的知識・能力を有する人材を養成するという役割を担う大学院の質・量両面での整備充実を図ることが急務となっている。

 ア 教育研究環境の高度化と研究の後継者たる優秀な人材の確保・育成我が国の高等教育機関が,学問の基礎的,応用的研究を深化させ高度な教育研究活動を展開していくためには,まず,科学研究費を始め教育研究費についての充実を図るとともに,施設・設備の充実を図ること,教員に優れた人材を確保することが重要である。とりわけ,広く国公私立の大学院の飛躍的充実が求められ,大学院教育に配慮した教育研究経費や施設・設備費の充実など,基盤的整備を推進するとともに,特に優れた教育研究に対して重点的な支援を行うことが重要である。  また,将来の学術研究を担う優れた若手研究者を養成・確保するためには,大学院の教育機能の充実を図るとともに,優秀な大学院学生等に対する特別研究員制度や奨学制度等の一層の充実を図り,安定して勉学や研究に専念できる環境を用意することが重要である。  このため,文部省では,平成4年度予算において,科学研究費補助金,日本学術振興会による特別研究員制度,日本育英会による奨学金の拡充に努めているほか,新たに大学院を中心に重点的整備を図るための高度化推進特別経費を措置している。
 イ 大学院の量的整備我が国の大学院は,伝統的に個々の学部,学科組織に基礎を置くものが大多数であり,施設,設備や教員組織は事実上学部に依存している面がある。また,国際的に見ても学部と比較して極めて小規模である。平成3年11月の大学審議会答申「大学院の量的整備について」においては,大学院教育に対する需要の動向として,1)在学者数の動向については,過去10年間で修士課程で1.8倍,博士課程で1.6倍程度の高い伸びを示しており,かつ,伸びそのものも高まりつつあること,2)大学院修了者に対する需要動向については,学部等の教員については大幅な伸びが見込まれないものの,研究機関等における研究者需要については拡大が予想され,さらに,企業における高度な専門的知識,能力を有する人材の需要についてはかなりの拡大が見込まれること,3)社会人のリカレント教育に対する需要が急速に高まっていること,4)留学生の受入れの拡大が予想されること,等の基本的趨勢を指摘している。その上で,これらの動向等を総合的に勘案し,他の先進諸国との比較も考慮すれば,平成12年度時点における我が国の大学院学生数の規模については,社会人の学生及び留学生も含め,全体としては少なくとも平成3年時点の規模の2倍程度に拡大することが必要である,としている。

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