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2編 文教施策の動向と展開
第3章 初等中等教育の改善・充実
第4節 生徒指導・進路指導の充実
1 登校拒否等学校不適応の現状とその対応


 最近の児童生徒の問題行動・学校不適応の状況は,校内暴力が以前と比べて全体的に鎮静化し,いじめは減少しつつあるが,いずれもなお相当数見られる状況にある。一方,小・中学校の登校拒否児童生徒は年々増加し,高等学校中途退学者も依然として多数に上っており,これらの学校不適応の問題への対応が重要な教育課題となっている。


(1) 登校拒否・高校中退の現状

 平成3年度間に「学校ぎらい」を理由に年間50日以上欠席した者の数は,小学生9,645人,中学生4万3,711人であり,これは昭和41年度の調査開始以来最多となっている (図2-3-1) 。また,この数に年間30日以上50日未満欠席した者も含めると全体としてその数は,小学生1万2,637人,中学生5万4,112人に及んでいる。今や社会問題ととらえるべきであろう。

 登校拒否の原因・背景は,学校,家庭,社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合っていて,明確に特定することが困難であることが多い。また,その態様も,無気力のタイプ,不安を中心とした情緒的な混乱のタイプ,遊び・非行のタイプ等まちまちである。したがって,登校拒否の解決のためには,学校,家庭,関係機関等の関係者が互いに密接に連携してこの問題に取り組んでいくことが強く求められている。

 また,小・中学校の登校拒否と並んで高校中退も大きな問題となっている。

 平成2年度の高校中退者数は12万3,529人に達しており,平成元年度に比して0.4%増加した。その高校在籍者数全体に占める割合(中退率)は,平成元年度と同じ2.2%であり,多数の者が高等学校を中退している状況にある (表2-3-3)

2-3-1  登校拒否児童生徒数の推移

2-3-3  高校中退者数の推移(公・私立)

 その事由としては,「進路変更」によるものが最も多く(38.9%),次いで「学校生活・学業不適応」(26.6%),以下「学業不振」(11.3%)、「家庭の事情」(6.5%),「問題行動等」(5.9%)の順となっている。また,「進路変更」の中では,「就職を希望」が最も多く(「進路変更」のうち66.2%),以下「別の高校への入学を希望」(12.1%),「その他」(10.9%),「専修・各種学校への入学を希望」(8.4%),「大検受検を希望」(2.4%)の順となっている。

 この問題に適切に対応するためには,こうした実情を十分踏まえ,進路指導の改善・充実,学習内容の定着のための学習指導の充実など,学校における指導の一層の充実が求められている。


(2) 登校拒否対策の推進

 文部省では,登校拒否問題に対する指導の充実を図るため,従来から教員研修の実施,教師用指導資料の作成・配布,教育相談活動の推進等の諸施策を講じてきたほか,高校中退問題への対応も含めて,学校,家庭,地域が一体となって総合的に学校不適応等の問題解決に取り組む「地域における生徒指導のための研究委嘱事業」を実施している。

 特に,平成2年度からは,登校拒否児童生徒の学校生活への復帰を支援するため,教育センター等に登校拒否児童生徒を集め,個別カウンセリング,集団での活動,教科指導等を行う「適応指導教室」事業を都道府県又は市町村に委託しているところである。この適応指導教室での指導の結果,実際に登校拒否児童生徒の学校復帰が得られるなどの成果を得ており,今後更にこの事業の充実が期待される。平成4年度は,委託先を3年度の26か所から49か所に拡大するとともに,事業内容に訪問指導や家族啓発を新たに加えるなどこの取組の充実を図ったところである。

 また,平成元年7月に発足した「学校不適応対策調査研究協力者会議」は,登校拒否問題の背景・要因,登校拒否児童生徒に対する基本的な対応の在り方等について,平成4年3月13日に「登校拒否(不登校)問題について-児童生徒の「心の居場所」づくりを目指して-」と題する最終報告書を取りまとめた。

 本報告書は,登校拒否問題の対応として,登校拒否は特定の性格傾向を持つ子どもにのみ起こるものというとらえ方ではなく,どの子どもにも起こり得るものであるという視点に立つことを求めるとともに,学校・教師の一層の努力に大きな期待を述べている。

具体的には,

 ア 学校が児童生徒にとって自己の存在感を実感でき精神的に安心していられる場所-「心の居場所」-としての役割を果たすことが重要であること。
 イ 一人一人の教師がこの問題についての認識・理解を深めるとともに,校長がリーダーシップを発揮し,校内の体制を整え,全教職員が取り組む必要があること。
 ウ 保護者に対する啓発・支援に努めるとともに,家庭・地域社会と連携・協力した対応を図ること。また,教育センター等の専門相談機関と適切な連携を図ること。教育委員会は学校の取組を支援するため,多様かつきめ細かな施策の展開を図ること。

等を指摘している。

 登校拒否問題の取組に当たっては,上記報告書の趣旨を踏まえ,真の生徒理解に立って日々の温かい教育指導を展開するとともに,多様な角度から総合的に取り組むことが求められている。


(3) 高校中退対策の推進

 文部省では,高校中退問題に適切に対応するため,従来から全国の生徒指導担当者の会議でこの問題を重点的に取り上げるとともに,研究指定校における研究等を実施しているが,平成元年3月には,学校や生徒の実態に応した多様な教育課程の編成が一層弾力的に行えるよう学習指導要領を改訂したところである。特に学習指導要領の改訂においては,多様な教育課程の編成が一層可能となるよう多様な選択教科・科目の設置や履修の弾力化,単位制の趣旨を生かした弾力的な各学年の課程の修了の認定などに配慮したところである。

 また,平成3年4月の中央教育審議会答申においては,単位制の趣旨を生かし,わずかな科目でも落とすと進級・卒業できないという窮屈な状況を改め,進級・卒業認定や転学許可等について一層弾力的な取扱いをするよう配慮するとともに,中退その他で高等学校をいったん離れた者にも,自由に再挑戦のチャンスを用意する必要があると提言しているところである。各学校においては,これらの提言の趣旨の実現に努めるとともに,多様化している生徒の実態を踏まえ,単位制の趣旨を生かした弾力的な教育課程の編成,生徒の特性に応じた学業指導や適応指導の充実に努め,生徒一人一人が生き生きと通える高校教育の実現に努力することが大切である。

 なお,学校不適応対策調査研究協力者会議においては,高校中退者問題の背景・要因,基本的な対応の在り方等について,広く専門的,総合的な観点から検討を行っているところである。


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