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2編 文教施策の動向と展開
第3章 初等中等教育の改善・充実
第1節 施策の概要


 我が国の初等中等教育は,その普及の程度や質の高さにおいて,国際的にも一定の評価を得ているが,今後は,画一的・硬直的との指摘がなされている教育の現状を改善し,一人一人の子どもの個性を伸長し,多彩な能力をはぐくむ視点に立った施策の充実が極めて重要である。

 このような考え方の下に,現在,文部省では,以下のような諸施策の推進に取り組んでいる。

 第一は,教育内容・方法の改善である。平成元年3月,社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成を図ることを基本的なねらいとして,幼稚園から高等学校までの学習指導要領の改訂を行った。新しい学習指導要領は,幼稚園については平成2年度から,小学校については平成4年度からそれぞれ実施しており,中・高等学校については平成5年度から逐次実施することとしている。中・高等学校については,現在,この新学習指導要領に円滑に移行するための措置(移行措置)を実施しており,各学校では,移行期間中から新学習指導要領の趣旨を生かした指導の展開が望まれる。

 第二は,徳育の充実である。道徳教育は,豊かな心を持ちたくましく生きる人間を育成する上で極めて重要なものであり,特に,激しい変化が予想される今後の社会において,自分の生き方を持った人間の育成を図り,基本的な生活習慣や望ましい人間関係の育成など社会生活をしていく上で必要な道徳性を身に付けることは極めて重要である。新しい学習指導要領においては,道徳教育の内容の抜本的な改善を図っている。

 第三は,生徒指導・進路指導の充実である。生徒指導の課題は,単に学校不適応や問題行動への対応という消極的な面にとどまらず,児童生徒一人一人の特性等を踏まえつつ,児童生徒の豊かな人間性をいかに育成していくかという積極的な視点に立った指導の改善・充実を図ることである。特に,今日重要な課題となっている登校拒否や高校中退,校則の見直しなどについては,各学校において積極的な取組を進めていく必要がある。進路指導については,偏差値偏重を改め,生徒の能力・適性や希望を十分考慮したより適切なものに改善していくことが課題である。

 第四は,高等学校教育の改革である。平成3年4月に出された第14期中央教育審議会の答申では,高等学校教育の多様化・個性化の一層の推進と受験競争の緩和のための様々な改革方策が提言されている。生徒の多様な実態に適切に対応した魅力ある高等学校教育の機会を提供していくため,今後,答申の趣旨を踏まえ,学校・学科制度の改革,教育内容・方法の改善,高等学校入学者選抜の改善など様々な施策を積極的に推進していくことが課題となっている。

 第五は,幼稚園教育の振興である。幼稚園教育については,これまでにも積極的な普及策を講じてきているが,現在なお,全国の約3分の1程度の市町村には幼稚園が未設置であるなどの課題が残されている。今後,このような地域間格差の是正や保護者の経済的負担の軽減などの措置を講じ,幼稚園教育の一層の振興を図っていく必要がある。

 第六は,特殊教育の振興である。心身障害児の可能性を最大限に伸ばし,その社会参加・自立を可能な限り実現するため,盲学校,聾学校,養護学校や特殊学級において,一人一人の障害の状態などに応じたきめ細かな教育を一層充実するとともに,小・中学校の児童生徒や教員及び社会一般の人々の心身障害児に対する理解認識を,様々な機会を通して推進していくことが必要である。

 第七は,同和教育の振興である。同和問題の解決に果たす教育の重要性にかんがみ,従来から,学校教育及び社会教育を通じ,広く国民の基本的人権尊重の精神を高めるとともに,対象地域における教育上の格差の解消と教育,文化水準の向上に努めることを基本として所要の施策を講じているが,今後ともこの観点から同和教育の一層の推進に努めていく必要がある。

 第八は,教科書制度の改善である。教科書は,学校教育において,主たる教材として重要な役割を果たすものであるため,検定制度によって適切な内容を確保する一方,義務教育諸学校の児童生徒には国が無償で給与している。このうち,検定制度については,平成2年度から臨時教育審議会答申を踏まえ改善を図った。また,国民の教科書検定への一層の理解に資するため,平成3年度以降,新たに,申請図書の公開を行っている。

 第九は,教育諸条件の整備である。学級規模の適正化と必要な教職員の確保は教育条件整備の大きな柱の一つであり,これまで数次にわたり年次計画を策定し改善を図ってきた。平成4年度は緊急に対応を要する課題について教職員定数の充実を図った。平成5年度がら義務教育諸学校において個に応じた多様な教育が展開できるような教職員配置を計画的に行うため,次期教職員配置改善計画について検討を進めている。また高等学校においても,普通科等における40人学級の実施と多様な高校教育の推進を図るため新しい年次計画を策定することとしている。

 さらに,児童生徒の学習活動等にふさわしい環境を確保するため,公立学校施設について,小・中学校校舎等の新増改築事業を中心に事業量の拡充を図るとともに,屋外教育環境整備費補助制度の継続を図るなど,質的整備の充実に努めているところである。

 第十は,教員の資質能力の向上及び学校の管理運営の改善である。学校教育の成否は教員の力量によるところが大きく,その資質能力の向上を図ることは重要な課題である。教員の資質能力は,養成・採用・現職研修の各段階を通じて次第に向上していくものであるため,文部省では,教員の採用・免許制度の改善,初任者研修制度の創設等を図ったほか,各教育委員会において,教員採用試験の選考方法の改善や採用スケジュールの早期化が図られている。

 学校においては,校長のリーダーシップの下に,全教職員が一致協力する体制が確立されていることが必要である。このため,文部省では,各教育委員会に対し,優秀な若手教員の管理職登用の促進や校長の同一校在職期間の長期化等による校長を中心とした責任体制の確立を指導している。


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