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2編 文教施策の動向と展開
第2章 生涯学習の振興
第5節 生涯学習と社会教育・文化・スポーツ
2 社会教育・文化・スポーツの新たな展開


 社会教育,文化・スポーツ活動が多様であるように,それらが行われる場も多様であり,これらの場を提供する事業の運営主体も多岐にわたる。ここでは,国や都道府県,市町村による公的な事業・社会教育関係団体の活動と企業による民間事業について,それらの振興に関する施策の整理を試みる。


(1) 公的事業の推進
1) 社会教育の振興

 社会教育は子どもから高齢者に至るまで生涯の各時期にわたって,多様な学習機会を提供するものである。したがって,生涯学習に対する国民の意欲が高まっている今日,社会教育の役割は一層重要になっている。前述したような国民の学習需要の高まりを背景に,文部省,教育委員会では,積極的に社会教育事業を実施している。また,地方公共団体の首長部局や公安委員会等の教育委員会以外の部局においても関連の事業を展開する動きが見られる。

 これを受け,文部省では,1)人生80年時代に対応した学習機会の整備,2)家庭や地域の教育力の活性化,3)地域の学習拠点となる社会教育施設の整備,指導者の養成,施設のネットワーク化等の基盤整備,4)各種メディアの活用の4点に重点を置いて社会教育の一層の振興を図っている。


2) 国民の文化活動の振興

 各種芸術文化の創作,観賞などの文化活動は,国民の生涯学習活動において,極めて重要な役割を果たすものである。国民の自発的な文化活動を刺激し,それらの振興を図るため,文部省では,1)芸術鑑賞機会の充実,2)地域文化の振興,3)文化財の整備・活用,4)国民の文化活動の国際交流の推進,の4点に重点を置いて諸条件の整備を行っている (第2編第8章参照)


3) 生涯スポーツの振興

 スポーツ人口の増大,ライフスタイルやスポーツに対する国民の意識の多様化に伴い,文化活動と同様,各種のスポーツ活動も国民の生涯学習活動として,重要な位置を占めるようになっている。このため,文部省では,1)スポーツ施設の整備,2)スポーツ指導者の養成確保,3)生涯スポーツの事業の推進,4)各種スポーツの普及・推進を図るスポーツ団体の育成の4点に重点を置いて国民のスポーツ活動の諸条件整備を図っている (第1編第1部第2章第3節参照)


(2) 民間教育事業の展開

 近年,都市部を中心に,民間企業による教育・文化・スポーツ事業(以下,「民間教育事業」という。)が盛んになってきており,柔軟な発想による多様で創意あふれる学習機会の提供という面で大きな役割を果たしている。

 その伸び率を見ると,昭和61年度文部省「生涯教育事業調査」によれば,9年前に比べ,学級・講座数は4.4倍,受講者数は2.5倍となっており,その学習内容も,趣味,教養,家庭・日常生活,市民生活,スポーツ・レクリエーション,職業に関することなど多彩なものとなっている。また,民間の体育・スポーツ施設は,昭和50年から60年の10年間に施設数が3.1倍に伸びている(文部省「体育・スポーツ施設現況調査」)。

 民間教育事業は,事業者の創意工夫により,人々の多様な需要の動向に柔軟に対応するところにその特色がある。したがって,行政は,その自主性を尊重し,民間教育事業者それぞれの自由な発展にゆだねることを基本としている。同時に,学習者や利用者のために多様で良質の学習機会と情報提供を拡大するという観点から,今後,民間教育事業の動向や実態を視野に入れ,公的な事業の役割を考慮しつつ,これらとの連携を図り,生涯学習基盤の総合的な整備を進めることが必要である。

 これは,平成2年1月の中央教育審議会の「生涯学習の基盤の整備について」の答申においても提言されているところである。

 以上のような基本的考え方の下に,民間教育事業者と行政との連携を進めるため,文部省では,次のような具体的方策について検討してきたところである。

1) 民間教育事業者が協同して自主的にその事業の水準の維持向上を図るための団体の育成を図り,民間の指導者の養成と企画・指導能力の向上に資するための研修の機会を積極的に提供すること
2) 各都道府県に設置されている生涯学習推進会議への民間教育事業者の参画に努め,市町村においても同様な連携協力組織の設置に努めるなど,民間教育事業者の参画を得た生涯学習の総合的な推進体制を整備すること
3) 民間教育事業を含めた学習情報を把握し,住民や団体,企業に対する情報提供及び学習相談のサービス体制を整備し,民間教育事業者の求めに応じて助言を与えること

 なお,生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律の中に規定された地域生涯学習振興基本構想は,通商産業省との連携の下に民間事業者の能力を活用しつつ,生涯学習のための多様な活動機会を総合的に提供しようとするものである。そして,この構想が円滑に実施されるよう,所要の税制・金融上の優遇措置が講じられている。


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