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2編 文教施策の動向と展開
第2章 生涯学習の振興
第4節 生涯学習と学校
5 学校の機能・施設の社会への開放


 生涯学習の振興のためには,学校における教育機能・施設を開放し,地域における生涯学習のニーズにこたえることも極めて重要であり,生涯学習審議会答申においても,地域住民の利用を考慮した学校施設づくりを推進し,単に学校教育の場のみならず,その教育機能を幅広く社会に広げることが提言されている。

 学校の施設の開放や大学,高等専門学校,高等学校,専修学校の公開講座は,こうした観点から学校と地域社会を直接結び付けるものであり,学校を成人も含めた人々の生涯学習のために,地域社会における最も身近な学習の場として積極的に活用するものである。

 また,近年における就業構造の変化,技術革新等の社会の変化に伴い,高度化・多様化する社会人の学習ニーズにこたえるため,大学,短期大学,専修学校等における社会人の再教育機能を高め,リカレント教育の推進を図ることが重要となっている。生涯学習審議会の答申においても,リカレント教育の推進を当面重点を置いて取り組むべき課題の一つとして取り上げ,その充実・振興施策について様々な指摘がなされている。


(1) 大学等の公開講座・生涯学習センター

 大学等における公開講座は,大学等の学術研究・教育の成果を直接社会に開放し,地域住民・成人一般に高度な学習の機会を提供するものである。大学公開講座の状況を見ると,講座数では国公私立を合わせて3,147講座(平成元年度)であり,昭和54年度と比べると約2.7倍に増加している。公開講座への参加者は,平成元年度には約42万人に上っている (図2-2-7) 。講座の内容は,一般教養,語学のほか専門的な内容からスポーツまで様々である。この中で職業に関する講座は全体の1割程度であるが,近年,各地の大学などでは,職業人を対象としてその職業能力の向上を目的とする講座を開設する例が見られ,一般教養に限らず,職業能力向上の面でもその役割を果たしている。高等専門学校においては,国立のほぼ全校(53校)が公開講座を実施しており,平成元年度における開設講座数は173,受講者数は4,245人となっている。

 さらに,近年,恒常的・継続的な公開講座を行う機関として,東北大学やその他の大学などで大学教育開放センター等が設置されている。さらに,体系的・継続的な講座の実施や大学・短大等における学習機会に関する情報の提供・学習相談など,社会人を対象とした取組を積極的に行う体制として,地域の学習需要を考慮しながら,各大学・短大等の自主的な判断により生涯学習センターを開設することが期待されており,平成4年度には茨城大学に生涯学習教育研究センターが設置された。

2-2-7  大学公開講座の実施状況


(2) 高等学校開放講座

 高等学校は,小・中学校に次ぐ身近な教育機関である。近年,高等学校においても,地域における成人の学習ニーズに応じて開放講座を開設するところが次第に増加している。昭和55年には全国で351講座が開設されていたが,平成元年には1,682講座が開設され,その開設数で約5倍に増加し,約5万人が受講するとともにその内容も多岐にわたっている。

 高等学校は民間の教育事業の展開が比較的少ない地域にも設置されており,その教育機能を地域に開放することの意義と役割は大きい。このため,高等学校開放講座を積極的に充実していくことが必要である。文部省では,昭和63年度から,都道府県が行う高等学校開放講座に対して助成を開始し,その拡充を図っている。


(3) 専修学校開放講座

 専修学校は,社会の変化に伴う多様な要請に弾力的に対応して,実践的な職業教育,専門的な技術教育等を行うところに特色があり,生涯学習の機運の高まりとともに,専修学校が,地域に密着した教育機関として,人々の多様な学習ニーズに応じて,社会人向けの講座を開設するなどその有する教育機能を積極的に活用していくことが要請されている。

 文部省では,平成2年度から,専修学校の専門的な教育機能を地域に開放し,人々の生活や職業に必要な知識・技術及び一般的な教養に関する学習機会を提供する専修学校開放講座の開設に対して助成を行っている。


(4) リカレント教育推進事業

 今後の生涯学習社会における社会人・職業人のリカレント教育の重要性にかんがみ,文部省では,産業構造や就業構造などの急激な変化や急速な技術革新に対応する高度で実践的な学習機会を提供する「リカレント教育推進事業」を,平成3年度より実施している。これは大学,短期大学,専修学校等関係者,地方公共団体関係者,産業界関係者等で構成される「地域リカレント教育推進協議会」が,1)リカレント学習コースの開設,2)リカレント学習プログラムの研究開発,3)社会人・職業人の学習機会に関するニーズその他情報の収集・提供等,等の事業を総合的に実施するものである。平成3年度は,神奈川,広島,福岡・北九州の3地域で実施した。


(5) 学校施設の開放

 学校施設の地域住民への開放は,従来から積極的に行われている。公立小・中・高等学校施設の開放状況を見ると,昭和59年度に運動場を開放した学校は,小学校で約84%,中学校で約78%,高等学校で約45%に上っており,また,体育館を開放した学校は,小学校で約86%,中学校で約81%,高等学校で約33%となっている。また,大学についても,昭和62年度に校庭等の体育施設を開放した大学は381校(全体の約80%)に上り,利用者数も延べ約203万人に達している。

 また,文化教養活動のための学校施設の利用は,スポーツ活動のための利用に比べてまだ少ないものの,その希望は今後ますます増加する傾向にある。特に大学の図書館は,高度な学術・文化等に関する膨大な資料を所蔵しており,生涯学習社会における情報センターとしてその果たす役割は大きい。平成2年度には,全大学の97%に当たる497大学が図書館を学外者に開放し,その利用者数は約27万人であった。

 施設開放に伴う課題としては,施設管理の責任,事故防止などが挙げられるが,これらの管理責任の在り方を明確にするとともに指導員の配置などを工夫し,開放事業を一層拡充するよう努めることが必要である。


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