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2編 文教施策の動向と展開
第2章 生涯学習の振興
第4節 生涯学習と学校
2 新しいタイプの学校


 人生の各段階の学習ニーズにこたえるためには,様々なタイプの学習機会が用意されることが必要である。近年,年齢,学習目的等の異なる学習者に対して多様な学習の機会を提供するため,放送大学,専修学校等,従来の学校とは異なる機能・性格を持つ新しいタイプの学校が創設されている。


(1) 放送大学

 放送大学は,生涯学習の時代に即応し,放送等を効果的に活用した新しい教育システムの大学教育を推進することにより,レベルの高い教育,学習の機会を広く国民に提供することを目的とした新しいタイプの学校である。昭和58年4月に設置され,昭和60年4月から学生の受入れを開始して,テレビ・ラジオを中心とした多様なメディアを効果的に利用して大学教育を実施している。現在約4万1千人の学生が学んでおり,平成元年4月に初の卒業生を送り出し,平成3年度第2学期末までに合計2,659人が卒業した。

 放送大学では,その設置の趣旨から,入学者選抜に当たっては一般の大学のような入学試験を実施せず,また,多様な学習形態に対応できるよう学生種別を区分し,卒業を目的とする全科履修生,1年間在学し,希望する科目を履修する選科履修生,1学期間在学し,希望する科目を履修する科目履修生,及び1年間にわたり,特定の事項を研究する研究生の4種類を設けている。

 放送大学の学生は一般の大学とは異なり,社会人,有職者が学生の主体を占めており,年齢別構成では,10代9%,20代28%,30代21%,40代23%,50代12%,60代以上8%と幅広く,職業別構成でも,会社員,公務員,主婦など多様な社会人が在学している (図2-2-3)

2-2-3 放送大学在学者の種類・年齢・職業(平成4年度第1学期)

 現在,放送大学の対象エリアは,東京タワー及び群馬県域送信所から送信された電波の届く関東地域とケーブルテレビによる同時再送信で受信できる長野県諏訪地区,山梨県甲府地区等に限られているが,生涯学習体系への移行のための基盤整備の観点からも放送大学による学習機会の拡充が要請されている。

 このため,平成3年度までに放送大学の対象エリア外の全国10地区(北海道,宮城,石川,岐阜,大阪,広島,香川,福岡,熊本,沖縄)に,平成4年度には更に4地区(富山,静岡,愛知,長崎)にそれぞれビデオ学習センターを設置した。これは,放送大学の学生となった地域の人々にビデオ・オーディオテープを利用した放送授業をセンター内で視聴できることとしたもので,並行して通信指導や単位認定試験を実施してその合格者には単位を認定しており,放送の視聴できない地域における放送大学教育の受講の機会を提供している。

 また,平成4年度には放送大学の将来の運営の基本事項について調査研究を行い,衛星等の利用による対象地域の全国への拡大の問題を含め,生涯学習の中核的機関としての放送大学の将来計画や他の大学との連携協力等について幅広く検討を行うこととしている。

 さらに,放送大学と社会教育施設との連携により地域における学習機会の拡充を図るため,公民館・図書館等の社会教育施設で放送大学の授業番組を活用した学習講座を開設している。

 なお,放送大学については,生涯学習体系の中核的機関の一つとして位置付け,地方公共団体,他の生涯学習機関及び既存の高等教育機関等と総合的な連携協力を深めることにより,広く国民の生涯学習に対するニーズにこたえていくことが期待されている。


(2) 単位制高等学校

 臨時教育審議会答申において提言された単位制高等学校は,生涯学習の観点から,だれでもいつでも,必要に応じて高等学校教育を受けられるよう,その履修形態を学年制によらず単位制のみによるものとした新しいタイプの高等学校であり,学習歴や生活環境などが多様な生徒に対し,広く高等学校教育の機会の確保を図るとともに,高等学校教育の多様化・弾力化に資するものである。同答申を受けて,学校教育法施行規則の改正及び単位制高等学校教育規程を制定し,昭和63年度から単位制高等学校の制度を発足させた。

 単位制高等学校は,学年制の規制を外すとともに,1)入学者選抜の方法,入学及び卒業時期の特例,2)多様な科目の開設と複数の時間帯又は特定の時期における授業の実施,3)単位の累積加算,4)科目履修生に対する配慮を可能とすることなどを特色としている。

 単位制高等学校については,生涯学習の観点から,学習者の幅広いニーズにこたえる学校としての役割が期待されており,平成4年度には,公立の単位制高等学校は22都道府県で31校,私立の単位制高等学校は4都府県で5校が設立されている。


(3) 専修学校等

 専修学校や各種学校は,社会の変化に伴う多様な要請に対応して実践的な職業教育,専門的な技術教育を行うところに特色がある。その本来の特色を生かすため,教員の資格や施設設備の基準については大学,短期大学,高等学校等と比べて弾力的なものとなっている。

 専修学校制度は,職業や実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図ることを目的として,昭和51年に発足した。以後着実な発展を続け,平成4年5月には学校数3,408校,生徒数約86万人に達している。

 専修学校には,入学資格の差異により3つの課程(高等課程,専門課程,一般課程)の区分が設けられているが,その中でも高等学校卒業程度を入学資格とする専門課程(専門学校)には,高等学校新規卒業者の15.3%(短期大学には13.1%)が進学しており,高等教育の重要な一翼を担うまでになっている。専門学校の卒業者に対する処遇に関しても,国家公務員では採用・給与面で短期大学卒業者と同格に扱われ,民間でも同様の処遇が定着してきている。

 また,中学校卒業程度を入学資格とする高等課程(高等専修学校)は,昭和60年9月に一定の要件を備える修業年限3年以上の学校の卒業者に大学入学資格が付与され,後期中等教育の多様化,活性化の見地からも,重要な役割を果たしている。一般課程は,入学資格を問わず,だれでも専門的な知識・技術を学べるところに特色がある。

 最近,大学や短期大学の在籍者で夜間等に専修学校などに通学し,外国語会話や情報処理技術等大学では得られない実用的な知識・技術を習得するものが見られる(いわゆるダブルスクール現象)。昭和63年には専修学校に学ぶ大学生や短期大学生は専修学校の正規の課程に在籍している者と公開講座や各種の教室等を受講している者を合わせて1万853人いる (図2-2-4)

2-2-4  専修学校に通っている社会人,大学・短期大学生

 また,各種学校は,学校教育に類する教育を行う教育施設として,一条学校に比べて法的規制が少ない自由で柔軟な教育機関としての特質を生かし,各種職業に必要な教育その他の分野において社会の要請に対応している。

 今後とも,専修学校・各種学校は,柔軟な学校制度としての特色を生かし,社会の変化に対応した実践的な職業教育,専門的な技術教育を行う機関として発展していくことが期待されている。さらに,ニーズに応じた科目の多様化や新しい履修方法を取り入れることなどにより,社会人・職業人を対象とする生涯学習の機能を拡充していくことが求められている。

 なお,文部省においては,平成4年5月,「専修学校教育の充実・振興に関する調査研究協力者会議」を発足させ,社会の変化に対応する専修学校教育の在り方などについて検討を行っている。


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