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1編 スポーツと健康
第2部 健康教育の充実
第2章 健康教育の充実のための施策の展開
第4節 学校給食の充実



1 学校給食の現況

 学校給食は,児童生徒の心身の健全な発達に資し,国民の食生活の改善に寄与することを目的として実施されており,学校教育活動として定着している。平成3年5月現在,全国で約1,355万人の幼児児童生徒が学校給食を受けるに至っている (表1-2-5)

1-2-5  学校給食実施率(幼児児童生徒数比)


2 学校給食の役割

 学校給食は今日では学校生活に不可欠の学校教育活動として深く定着しており,文部省ではその充実を図るため種々の施策を講じてきている。新学習指導要領においても,学校給食に関する指導を特別活動の学級活動に位置付け,学校給食の一層の充実を図ることとしている。

 さらに,今日,国民の食生活は,平均的には豊かになったと言われるが,子どもの偏食,肥満傾向児の増加などの栄養管理上の問題が広く指摘されている。また,社会環境などの変化に伴う家庭の在り方の変容は,朝食を欠いたり,独りで食事を取る子どもの増加を招くとの指摘がなされるなど基本的生活習慣ともかかわる食生活上の問題を引き起こしている。このような状況を背景に,実際の食事という生きた素材を通して正しい食事の在り方や好ましい人間関係を体得させる学校給食の役割は,ますます重要になっている。学校給食の役割は,次のようにまとめることができる。


(1) 栄養のバランスのとれた豊かな学校給食

 学校給食は,おいしく食べられるように,また,多様な食品を組み合わせ,栄養のバランスのとれた食事が摂取できるよう工夫されており,成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな役割を果たしている。特に不足しがちなカルシウムやビタミンの一部は,一日の所要量の55%が摂取できるよう配慮することとなっており,栄養摂取の観点から一日の食事の中で学校給食は重要な位置を占めている (表1-2-6)

1-2-6 平均摂取栄養量(全国平均)


(2) 望ましい食習慣を作る学校給食

 栄養のバランスのとれた食事,楽しい食事とはどのような食事であるかなどを児童生徒が理解し,日常の生活に生かすことができる能力や態度を育てることも学校給食の大きな役割である。特に,脂肪,糖分,塩分等の過剰摂取に注意する習慣を身に付けることにより,将来起こり得る様々な疾病を予防することもできる。このように児童生徒一人一人が,生涯にわたって健康で充実した生活を送るためには,子どものころ育てることがますます重要となっている。

また,学校給食は,家庭と連携しながら食事のマナーについて理解を深めさせる役割も果たしている。

 さらに,児童生徒の中には食事時間の乱れや好き嫌いにより,たん白やせたい願望による無理なダイエットなどから,やせ,無月経,貧血などの症状や,さらにごく一部には,情緒不安定や欲求不満等による拒食・過食なども見られる。このような問題に関しても,児童生徒に適切な食事の取り方を指導する必要があり,栄養のバランスのとれた学校給食を提供し,献立を教材として指導することにより大きな効果が期待できる。


(3) 人間関係を豊かにする学校給食

 給食の時間は,児童生徒が一緒に「食べる」体験を通して望ましい食習慣を身に付けさせるのに役立つばかりでなく,好ましい人間関係を育てる上でも大きな役割を果たすものである。この時間は,児童生徒同士,教職員と児童生徒の触れ合いの場である。このため,児童生徒にとっては学校生活をより豊かにする時間であるとともに,教職員にとっては,児童生徒のありのままの姿を見ることができ,一人一人の児童生徒への理解を深められる有意義な時間でもある。


(4) 多様な教育効果のある学校給食

 学校給食は,準備,会食,後片付けまで児童生徒が自分の手で仕事を進める活動であり,勤労に関する貴重な実践の場となっている。また,このような共同作業を通して,奉仕や協力,協調の精神,社会性を養うという役割も果たしている。

 給食の時間は,食事に関連した「社会」や「家庭」等の学習で得た知することはもとより,農業や漁業,加工業などの食糧の生産・加工や商店などの食品の流通,さらに消費や調理等について学校給食の場や内容を生かして,学習内容の理解が一層深められることにもなる。さらに,給食ができるまでには,多くの人々が汗を流して働いていることを理解させることや,学校農園等を活用した勤労生産的な活動の中で,生産物を給食に利用することなどを通して,自然の恵みや働く人々への感謝の心を育てることも期待できる。

 また,昭和51年度に導入された米飯給食,近年取り入れられている郷土食や日本古米から行われてきた行事にちなんだ行事食,諸外国の姉妹都市の代表料理は,郷土や地域あるいは日本の伝統的食習慣や諸外国の食事の様子を理解させる上で,大きな役割を果たしている。また,これ文化を理解させることも期待できる。


3 学校給食の充実

 学校給食法に定めるとおり,学校給食の実施主体は義務教育諸学校の設置者であり,国及び地方公共団体は学校給食の普及と健全な発達を図るよう努めなければならないこととなっている。

 また,学校給食に要する経費については,施設・設備費及び人件費は設置者,食材料費は保護者が負担することや,国は学校給食の開設に必要な施設・設備に要する経費を補助できることなどが法律で定められている。


(1) 食事内容,方法の充実

 学校給食をより豊かにするため,近年,各学校では郷土食や姉妹都市の食事等を研究して給食に供したり,各自が自主的に献立を選択できるバイキング給食,複数献立や地域の高齢者等の招待給食,異学年交流給食,保護者を招いた親子給食などの様々な取組が行われるようになっている。

 文部省においては,食事内容を始め給食指導,食事環境,運営体制等の充実を図るための参考に供するため,昭和48年度以来,学校給食改善研究指定校を毎に10校程度指定して実践的な調査研究を行う事業を実施している。

 また,(社)全国学校栄養士協議会では,昭和57年度以降,学校給食週間中(毎年1月24〜30日)に各学校等で作られた郷土食等の献立表を作成し、学校栄養職員等へ配布することにより,食事内容の充実の一助としている。


(2) 米飯給食の推進

 米飯給食については,食事内容の多様化を図り,栄養に配慮した米飯の正しい食習慣を身に付けさせる見地から,昭和51年度から計画的に推進している。平成3年における米飯給食の平均実施回数は,週2.6回に達しており,今後とも週3回の実施を目途に,その一層の推進を図ることとしている (表1-2-7)

 なお,農林水産省では,米飯給食の導入・推進を図るため,学校給食用米穀を売却する際,値引き措置を講じている。平成4年度における値引き率は,新規導入校で60%,週3回以上米飯給食を実施している学校で50%,その他の学校については45%となっている。

1-2-7  米飯給食の実施状況  平成3年5月現在


(3) 食事環境の整備

 食堂,食器具などの食事環境の整備は,望ましい食習慣の形成に資するのみならず,潤いのある豊かな環境の中で楽しい食事を通して好ましい人間関係を育成することにも役立つものである。平成3年5月現在において食堂を保有する学校は,完全給食又は補食給食実施校の19.5%(小学校),9.0%(中学校)となっており,着実な伸びを示している (表1-2-8) 。こうした食堂のある学校では、給食時の異学年間の交流や親子給食会,地域住民を招いての招待給食など様々な特色ある給食活動が行われている。文部省では,食堂の整備を促進するため,食堂の新増築補助に加え,昭和63年度から普通教室などの校舎の一部を改修してランチルームを整備する事業に対し補助を行っている。また,共同調理場方式を採用している学校で食事内容に応じて適温で学校給食が行えるよう,平成2年度から,適温給食設備の整備について補助を行っている。

 食器具については、従来より食事内容にふさわしい食器具を導入するよう指導しており,今日,はしの使用校は9割を超している。また,陶磁器や木製食器などの地場産物等を利用した食器を導入する学校も増えるなど改善が図られている。

 こうした食事環境の改善を更に推進するため,日本体育・学校健康センターの「望ましい食事環境づくり研究委員会」においては,食堂・ランチルーム,食器具等の整備を始めとする望ましい食事環境の在り方について総合的な観点から検討を行っている。

1-2-8 食堂を保有している学校数


(4) 学校給食指導の充実

 新学習指導要領により,給食指導を通じた健康に関する教育の一層の工夫改善や,他の教科等との関連を図った指導などが更に重視されるようになったこと等を踏まえ,平成4年度に学校給食指導の手引を8年振りに改訂した。

 この度の改訂においては,1)食事内容が一層多様化していること,2)食事環境の改善が進んでいること,3)児童生徒の新しい健康問題(肥満傾向,食物アレルギー、やせたい願望による少食)に対処するため,個に応じた指導が一層求められていること,4)給食指導をより効果的に進めるため,学校栄養職員の指導への積極的な参加や工夫が一層求められていることなどの点に留意して内容の充実を図った。


(5) 学校給食における学校・家庭・地域の連携推進事業

 児童生徒の基本的生活習慣や望ましい食習慣育成のためには,その生活の基盤である家庭や地域との連携を密に図る必要があることから,「学校給食における学校・家庭・地域の連携推進事業」を昭和58年度から実施し,成果を上げている。


(6) 学校給食に関する助成制度
1) 学校給食施設設備整備費補助(昭和25年度〜)

 学校給食の普及充実を図るため,義務教育諸学校及び夜間定時制高等学校における学校給食の開設に必要な施設・設備及び学校給食の改善充実に必要な施設・設備の整備に要する経費を設置者に対し補助している。


2) 要保護及び準要保護児童生徒援助費補助(学校給食費)(昭和31年度〜)

 生活保護法に規定する要保護者のうち教育扶助(学校給食費)を受けていない児童生徒の保護者及びこれに準ずる程度に学校給食費の支払が困難な児童生徒の保護者に対し,学校給食を実施する公立の小・中学校の設置者が学校給食費の補助を行う場合に当該設置者に対し補助している。


3) 高等学校定時制及通信教育振興奨励費補助(夜食費)(昭和36年度〜)

 夜間定時制高等学校に在学する生徒の健康の保持と修学援助を図るため,当該学校の設置者が夜間給食を実施する場合,物資を購入する経費の一部について補助を行っている。


4) 学校給食流通近代化事業補助(日本体育・学校健康センター補助)(平成元年度〜)

 学校給食を取り巻く環境の近代化を図るため,学校給食に関する情報の収集,提供を迅速に行うとともに,学校給食関係者の資質向上のための各種講習会の開催や食品検査体制の強化等,実践的な啓発事業を行うために要する経費,並びにへき地地域における学校給食の確実な実施を図るため学校給食用物資(パン又は米飯及びミルク)の購入に必要な経費を日本体育・学校健康センターに対し補助している。


5) 学校給食用食材料費補助

 米穀及び牛乳等の食材料費についても,食事内容の充実・多様化及び国の農業政策,酪農振興等の観点から併せて補助を行っている。


4 学校栄養職員

 学校栄養職員は,.学校における重要な教育活動である学校給食を通じ,児童生徒の健康教育を進める上で極めて大きな役割を担っている。

 学校栄養職員は,栄養や健康に関する専門的知識・技能を有する専門家として児童生徒の生涯にわたる心身の健康づくりを目指し,内容豊かな給食を提供するばかりでなく,給食指導の面でも,学級担任等への協力等により積極的に参画することが求められている。

 学校栄養職員の職務については,学校給食法において「学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる」としている。具体的役割としては,1)栄養のバランスのとれた食事内容の充実・改善,2)豊かで多様な献立の作成,3)生きた教材として活用できる献立の工夫,4)地域に根ざした献立の工夫,5)選択できる献立の工夫,6)衛生や安全への一層の配慮,7)学校給食に関する基本計画への積極的な参画,8)給食指導への協力・参画,9)学校給食に関する調査研究の充実などが挙げられる。

 このように,学校栄養職員の役割は極めて重要かつ広範であり,文部省では,前述のように計画的にその配置促進を図っており,平成4年5は,公立の大規模な共同調理場に勤務する学校栄養職員の職務の在り方等について実践的な研究を行うこととし,このため,指定調理場に学校栄養職員の加配措置を行っている。

 さらに,学校栄養職員の資質向上を図ることが極めて重要であることから,平成2年度より新規採用学校栄養職員研修を,平成4年度より中堅学校栄養職員研修をそれぞれ実施している。


5 業務運営の合理化

 臨時行政調査会第5次答申及び臨時行政改革推進審議会答申等において,学校給食業務運営の合理化を推進し,人件費コストの縮減を図る必要があることが指摘された。これを受け,文部省では,パートタイム職員の活用,共同調理場方式,民間委託等地域の実情等に応じた適切な方法により運営合理化を図るよう,設置者の努力を促している。なお,合理化の実施に当たっては,学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮し,設置者としての責任を全うし得る体制の確保に努めるよう指導している。


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