ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1編 スポーツと健康
第1部 体育・スポーツの振興
第1章 体育・スポーツの振興
第2節 社会環境の変化と体育・スポーツ



1 近年の社会環境の変化

 近年,我が国においては,様々な社会環境の変化に伴い,国民の間にスポーツに対する関心が高まり,スポーツの実施人口が増加するとともに,その実施目的,実施内容も多様化している。

 これらの背景として考えられる社会環境の変化は,主として次のようなものである。

 第一は,都市化や科学技術の進展に伴う生活の利便化である。都市化の進展に伴い,身近に運動できる場所が減少するとともに,交通機関の発達や家庭への電気製品の普及など,生活の利便化に伴い,日常的な運動の機会も減少しており,運動不足を感じる人が多くなっている。

 また,経済社会の急速な発展に伴い,社会生活は様々な面で高度化・複雑化しており,日常生活において様々なストレスが生じやすい状況となっている。このため,ストレスからの解放を求めてスポーツ活動への志向が高まっている。

第二は,一余暇時間の増大である。週休2日制の普及や労働時間の短縮,家事の省力化等により,人々が自由に使える時間が増加しており,スポーツ活動の活発化を促している (図1-1-1)

 第三は,所得水準等の向上である。所得の増大に伴う生活水準の向上は,スポーツ活動など人々の生活をより豊かなものとするための経済的余裕を生み出している。

図I-1-1  1日の時間の使い方の変化

 第四は,社会の高齢化の進展である。平均寿命の伸長や出生率の大幅な低下等により,我が国の人口構成は,世界でも例を見ないほどの急速なテンポで高齢化しつつあり,今後,更に高齢化が進むと予測されている。これに伴い,健康・体力に対する関心が高まり,スポーツに対するニーズが高まっている (図1-1-2)

 第五は,国民の生活意識の変化である。総理府「国民生活に関する世論調査」(平成4年5月)によれば,昭和54年を境に,「物の豊がさ」よりも「心の豊かさ」を望む国民が多くなっている。スポーツは,精神的充足や楽しさ,喜びを与えるなど,心にかかわる側面も大きく,今後,スポーツの振興は,我が国がゆとりと豊かさの実感できる社会へ向かっていく上で重要な役割を果たすものであると考えられる (図1-1-3)

1-1-2  主要先進国の65歳以上人口割合の推移・予測,高齢化の速度

1-1-3  心の豊かさか,物の豊かさか


2 国民のスポーツ活動の現状と意識

 前述のような社会環境の変化とともに,スポーツに対する国民の意識も変化してきている。

 文部省では,平成4年2月に,民間の調査機関に委託して,全国の19歳以上の―般社会人を対象とした「運動・スポーツに関するアンケート」(有効回答数2,468,以下,「スポーツアンケート」という。)を実施した。調査の結果から,以下のことが明らかになった。


(1) スポーツを行う理由

 一般社会人の7割余りが,この1年間にスポーツを行っている。スポーツを実施した者に,どのような理由で行ったのか尋ねたところ,「健康,体力つくりのため」と回答した者が48.7%と最も多く,このほかに,友人,仲間との交流や家族との触れ合い,趣味や気晴らしを理由とした者が多い (図1-1-4)


(2) スポーツ活動の現状

 この1年間に行ったスポーツを見ると,ウォーキングが最も多く43.2%,以下,ボウリング,ゴルフ,水泳,健康体操の順となっている (図1-1-5)

1-1-4  スポーツを行う理由

 なお,今後やってみたいと思うスポーツを挙げてもらったところ,ウォーキング,ゴルフ,健康体操,水泳,ハイキング,登山,スキー,テニス,釣り,ボウリング,サイクリングの順となっており,手軽なスポーツや野外活動,レジャー的なスポーツの人気が高まっている (図1-1-6)

 また,スポーツの実施場所について見ると,民間スポーツ施設が最も多く35.5%,以下,県や市町村のスポーツ施設,公園・広場,空き地・道路,家の中や庭,学校の施設など身近な施設が利用されている (図1-1-7)

 さらに,スポーツを―緒に行う人について見ると,家族が最も多く37.4%であり,以下,職場の仲間,自分一人で,近所の仲間,地域のクラブやサークルの仲間となっている (図1-1-8)

このように,国民が行っているスポーツ種目は,各人の趣向に応じて多様化しており,また,実施場所や一緒にスポーツを楽しむ人についても多様となっている。

1-1-5  この1年間に行ったスポーツ種目ベスト10

1-1-6  今後行いたいスポーツ種目ベスト10(一般社会人)

1-1-7  スポーツを行う場所(一般社会人)

1-1-8  スポーツを一緒に行う人(一般社会人)


(3) 「見るスポーツ」への関心

 スポーツは,自ら行うのみならず,これを観戦して楽しむという側面も有している。スポーツ観戦の状況について尋ねたところ,「実際に見に行く」と回答した者が28.4%,「実際に見には行かないが,テレビで見たりラジオで聴く」と回答した者が66.0%となっており,合わせて9割以上がスポーツを観戦していることが分かる (図1-1-9)

 次に,観戦するスポーツの中で特に関心があるものを尋ねたところ,大相撲が48.2%で最も人気が高く,次いでプロ野球40.9%,マラソン19.7%,高校,大学野球14.9%,バレーボール13.0%,ゴルフ13.0%となっている (図1-1-10)

1-1-9  スポーツの観戦状況(一般社会人)

1-1-10  観戦するスポーツの種類(一般社会人)


3 スポーツ人口の増加

 総理府「体力・スポーツに関する世論調査」(平成3年10月,調査対象は20歳以上)によれば,1年間に1度でもスポーツを行った者を見ると,その実施人口は増加している (表1-1-1)

 一方,その実施状況について見ると,1年間に1度でもスポーツを行った者のうち,週3日以上実施した者が18.2%,週に1又は2日実施した者が24.2%となっており,国民全体の27.9%が週に1日以上スポーツを行っている。

 このように,週1日以上継続的にスポーツを行ったことがある者は国民の約4分の1となっており,多くの国民がスポーツに親しんでいるが,同時に,同調査によれば,「運動不足と感じる」という者は国民の62.8%を占めており,また,「今後,スポーツを行いたい」と考える者は国民の75.6%を占めている。このことから,国民のスポーツに対する高いニーズをうかがうことができる。

 また,同調査によると,スポーツを行わなかった理由として,「仕事が忙しくて時間がとれないから」と答えた者が49.9%と約半数を占めていることから,今後,週休2日制の普及や余暇時間の増加等を背景に,一層のスポーツ人口の増加が予想される。

1-1-1 スポーツ人口の推移


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ