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2部   文教施策の動向と展開
第8章  国際化の進展と教育・文化・スポーツ
第4節  留学生交流の推進
2  留学生受入体制の整備充実


文部省では,21世紀初頭に10万人の留学生を受け入れることを目途に,留学生の渡日前から帰国後までの体系的な施策の推進に努めている。

2-8-2  留学生数の推移

2-8-3  出身地域別留学生数

2-8-7 出身国(地域)別留学生数

2-8-8  主要先進国との留学生数の比較


(1) 海外における留学準備体制の整備

我が国への留学希望者がスムーズに留学を実現するためには,海外における日本留学に関する豊富な情報の提供,入学選考方法の改善,留学予備教育の実施など留学準備のための体制を整備することが,重要である。


1) 留学情報提供の充実

留学生が自らの留学目的に合った大学を選択し,実りある留学を実現するためには,我が国の事情や個々の大学の教育研究上の特色等に関する豊富な情報が不可欠である。このため,従来から(財)日本国際教育協会の留学情報センターを通じて内外からの問い合わせに対応し,併せて英文による日本の大学案内誌等の刊行・海外への送付等の留学情報提供を行っている。また,平成元年度には,マレーシア,タイ,インドネシアの3か国で新たに「日本留学説明会」を開催し,参加した15大学等が海外の日本留学希望者に対し,直接に教育研究情報の提供と留学相談に当たった。

平成2年度においても,引き続き留学情報資料の充実を図るとともに,海外における「日本留学説明会」の開催国を拡大することを予定している。


2) 海外における入学選考方法の検討

留学生は,日本と異なる教育事情の下で教育を受けてきているため,入学者選抜に当たっては留学生の特性に配慮した特別の選考方法を採る必要がある。このため,文部省では,(財)日本国際教育協会を通じて「私費外国人留学生統一試験」及び「外国人日本語能力試験」を実施し,各大学に対しその積極的活用を促している。

しかし,現在大学の学部等に入学しようとする多くの私費留学生は,まず,来日して日本語学校等で勉強した後,希望する大学等の入学試験を受けていることから,来日してから留学する大学等が決まるまでの1〜2年間進学先未定の不安定な状態となっている。このような状況を改善し,日本への留学希望者が母国においても我が国の希望する大学への入学を決定できる仕組みを整えることは,今後一層留学生の円滑な受入れを図っていく上で重要な課題といえる。そのためには,現在国内でしか実施されていない私費外国人留学生統一試験を海外でも行い,その結果に基づいて留学する大学を決定し得るような仕組みを整備することが有効と考えられることから,平成元年度から,その実施方法等についての調査研究を行っている。


3) 海外における予備教育

文部省では従来から,中国及びマレーシア政府派遣留学生を対象として,日本人教員を現地に派遣し,日本語及び基礎教科等の渡日前予備教育を行っているが,今後,日本留学決定者等が大学等への入学後,専攻分野の研究教育を円滑かつ効果的に進めていくためには,このような予備教育を更に拡充していくことが重要と考えられる。このため,平成2年度においては,海外における留学予備教育の在り方に関する調査を行うこととしている。


(2) 安定した留学生活基盤の確立

留学生が充実した勉学生活を送るためには,安定した生活基盤を確立することが必要であり,このため各種の桓助施策等を充実することが重要な課題となっている。


1) 国費留学生(文部省奨学金留学生)の計画的拡充

国費留学生(文部省奨学金留学生)制度は,広く諸外国の青年に奨学金を支給して我が国の大学等に招致する事業として,昭和29年の制度発足以来,世界の日本留学希望者の期待にこたえるためその拡充に努めてきた。現在では100を超える国々(地域)において国費留学生の募集を行っており,受入留学生数も平成元年5月現在で4,465人に達している。また,諸外国の様々な教育事情と各種の留学目的に対応するため,制度の多様化など,その充実を図っている( 2-8-9 )。

国費留学生は留学生受入れの牽引力としての役割を果たすものであることにかんがみ,平成2年度においても,新規受入れで前年度より230人増の2,735人,総数で5,863人を受け入れる。


2) 私費留学生への支援

我が国の大学等で学んでいる留学生の8割以上は私費留学生であり,近年における円高等によりその生活は厳しいものになっている。文部省では,私費留学生に対しては,従来から,医療費の80%補助,学習奨励費の支給,授業料減免措置,優秀な私費留学生の国費留学生への採用等の施策を実施してきている。

2-8-9 国費留学生の種類等

平成2年度においても,私費留学生を対象として授業料減免を実施した学校法人に対する援助(授業料の30%を限度として支給)の充実を引き続き図るとともに,学習奨励費制度を私費留学生に対する本格的な育英奨学制度として確立するため,大幅に拡充(対象者数2,500人→3,700人,支給額 大学院レベル6万5,000円,学部レベル4万5,000円)するなど,私費留学生が安定した生活の中で勉学に励むことができる環境の整備に努めている。また,近年,大学等の留学生奨学基金や,民間奨学団体,地方公共団体による留学生への奨学事業も活発になっており,これらの活動の一層の拡充が期待されている。


3) 宿舎の安定的確保

留学生のための宿舎の確保は,充実した留学生活を送るための基礎となるものである。しかし,我が国の住宅事情は一般的に非常に厳しいものがあり,とりわけ大都市部に居住する留学生にとって宿舎の確保は大きな問題となっている。

このため,従来から国立大学に留学生宿舎を建設(平成元年現在39大学 計2,802人分)するはか(財)日本国際教育協会の祖師谷留学生会館を建設するなど,留学生宿舎の整備を推進するとともに,公益法人が設置運営する留学生宿舎については,税制上の優遇措置を講じることなどにより建設の促進を図っている。

さらに,近年は,企業の社員寮や公営,公団住宅への留学生の入居や,地方公共団体による留学生宿舎の建設など,各方面の協力により,留学生のための宿舎の確保が図られつつある。

平成2年度においては,(財)内外学生センターが平成元年度がら行っている良質な民間下宿・アパートを確保するための指定宿舎制度や,地方公共団体や民間団体が留学生宿舎を建設する場合に奨励金を交付する制度を拡充するとともに,社員寮の提供を促進するため(財)留学生支援企業協力推進協会に対し引き続き助成を行うなど,留学生のための良質な宿舎を安定的に確保するための多様な施策を推進している。


(3) 大学等の受入体制の整備

来日した留学生が充実した勉学生活を送れるようにするためには,我が国の大学等が,世界に対して開かれた真に魅力的な教育研究組織になることが必要である。このため我が国の大学等では,留学生としての特性に配慮し,英語による授業を行うコースの開設や学位授与に当たって外国語による論文作成を認めるなどの教育指導上の工夫改善やきめ細かく留学生の生活を支援する体制の整備が図られつつある。

文部省では,大学等の受入体制を整備するため,従来から国立大学に対しては,留学生特別指導費等を措置するとともに留学生受入れに伴う専門教育教官や印本語,日本事情」担当教官,留学生業務担当職員等の配置を進めている。平成2年度においても,こうした留学生関係の教職員計63人を国立大学等に配置することとしているほか,留学生に対するきめ細かい指導援助を行うための総合的な組織として,新たに3大学に留学生センター及び留学生課(主幹)を設置した。

一方,私立大学等に対しては,各大学等の受入留学生数等を勘案した私立大学等経常費補助金の特別補助を行うことにより各大学等における留学生の受入体制整備を促進してきており,平成元年度においては,対前年度比32%増の17億2,471万円を支出している。


(4) 地域における受入体制整備とアフターケアの充実等
1) 地域における受入体制整備

留学生の受入体制を充実・整備するためには,国の施策の充実,大学の受入体制の整備はもとより,各地域において,大学を中心とした官民一体となった留学生受入体制を整備していくことが重要である。既に,大阪,兵庫,広島等の39地域(平成2年9月末現在)において,地域の大学,地方公共団体,経済団体,ボランティア団体等を構成員とする留学生交流推進会議が設置され,地域の特色を生かした種々の留学生支援活動が推進されているが,平成2年度においては,これらの地域に密着した活動を支援し,さらに各地域へ拡大していくための予算措置を講じている。


2) アフターケアの充実

我が国の大学等で学び,帰国した留学生は,我が国とそれぞれの母国とのかけ橋となる人々であり,きめ細かなアフターケアを行って帰国後の活動を援助することが重要である。このため,従来から帰国した国費留学生を短期研修のため我が国に招へいする事業や,帰国した留学生がそれぞれの専門領域の研究を進めていくために必要な専門学術誌等の無料送付を行ってきたが,平成2年度においても専門学術誌等の送付対象者数を拡充するなどアフターケアの一層の充実を図っている。


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