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2部   文教施策の動向と展開
第7章  文化の振興
第7節  文化施設の整備
1  国立文化施設の整備



(1) 第二国立劇場(仮称)の整備推進

昭和41年に国立劇場法が制定されて以来,特殊法人国立劇場(現特殊法人日本芸術文化振興会)は,主として我が国古来の歌舞伎,文楽等伝統的な芸能の公開,伝承者の養成,調査研究等を行い,その保存及び振興を図ることにより,我が国の文化の向上に寄与してきた。

一方,オペラ,バレエ,ミュージカル,現代舞踊,現代演劇等の現代舞台芸術の公演等のための施設の設置が関係者の間で多年にわたって要望されていたが,平成元年3月末の「国立劇場法の一部を改正する法律」の成立により,第二国立劇場(仮称)を特殊法人国立劇場の一施設として設置することが決められた。

第二国立劇場(仮称)(建設用地は東京都渋谷区)は,我が国初の四面舞台を備えた大劇場,中劇場及びオープンステージを持つ小劇場を有する総合劇場であり,完成の暁には,国際的にも屈指の劇場どなり,我が国舞台芸術振興の中核として,また,国際文化交流の拠点として,さらには,舞台芸術の情報センターとして機能することが期待されている。

平成2年度は建設計画の推進のため,設立準備室の拡充等を行うなど,開場に向けての諸準備を進めている。


(2) 国立美術館

優れた美術作品,その他の資料を収集,保管して公衆の観覧に供し,併せてこれに関連する調査研究及び事業を行うことを目的として,東京国立近代美術館,京都国立近代美術館,国立西洋美術館,国立国際美術館の4美術館が設置されている。

このうち東京国立近代美術館では,近代美術に関する作品等に,京都国立近代美術館では,工芸を主体とした近代美術に関する作品等に,国立西洋美術館では,フランス政府から寄贈された松方コレクション及びその他の西洋美術に関する作品に,また国立国際美術館においては,日本美術の発展と世界の美術との関連を明らかにするために必要な美術に関する作品等にそれぞれ重点をおいて収集,展示している。

これらの美術館においては,主な事業として,所蔵作品を順次展示する「常設展」と,特定の課題に基づき内外の美術作品を展示する「企画展」等を行っている。平成元年度には,「現代美術への視点一前向きの遡行」,「熊倉順吉展」(東京国立近代美術館),「能弁なオブジェー現代アメリカ工芸の潮流」(京都国立近代美術館),ロダン「地獄の門」展(国立西洋美術館),「今日のドローイング」(国立国際美術館)などの特別展を開催した。また,講習会や講座等の開催,展覧会図録や館報の刊行などにより美術の普及に努めるとともに,美術作品や美術史等に関する調査研究を行い,その成果を展示事業や普及事業等に反映している。

さらに,近年,公・私立の美術館がかなり増加したことから,優秀な学芸員の確保や館所蔵品の体系的な収集が重要な課題となってきており,このため,国立美術館においては,従来から公・私立美術館の学芸員を一定期間,国立美術館に受け入れ,職務に従事しながら研修する制度等各種研修事業を実施している。

今後は,学芸員研修の充実,情報資料の収集,提供のシステム化など公・私立美術館への指導援助機能の一層の充実が求められている。


(3) 国立博物館

東京,京都及び奈良に設置されている三つの国立博物館においては,国宝・重要文化財を始めとする有形文化財を収集・保管して公衆の観覧に供し,併せてこれに関連する調査研究及び事業を行っている。また,館蔵品,寄託品を中心に,文化庁長官の勧告等により出品された国宝・重要文化財を加えて「常設展示」を行うほか,平成元年度には,「室町時代の美術」(東京),「18世紀の日本美術」(京都),「発掘された古代の在銘遺宝」(奈良)などの大規模な「特別展」を開催している。平成2年に東京国立博物館で開催した「日本国宝展」では,古代から江戸時代までの国宝約200点を一堂に公開したところ,国民の伝統文化に対する強い関心を反映し,開館以来の入場者数を記録するなど好評を博した。

国立博物館には,館蔵品等に関する情報資料が多数保管されており,情報資料センターの機能を持つ組織を設けてその公開を行っているが,調査研究・サービス機能を充実するため,コンピュータによる情報資料のデータベース化と各施設相互間のネットワーク化のための調査研究を進めている。


(4) 国立文化財研究所

東京及び奈良の国立文化財研究所は,文化財に関する調査研究,資料の作成及びその公表を行っている。

これらの文化財研究所においては,従来からの考古学,建築史学,美術史学等の分野の研究とともに,自然科学的な手法も取り入れて,学際的,複合領域的な学問研究の成果を結集した文化財に関する研究を行っている。

また,文化財に関する各種情報資料の処理システムの開発の基礎的研究を進めており,遺跡遺物のデータベースの作成や遺跡測量等に関する情報処理化について成果が上がっている。

さらに,文化財保存修復に関する国際的な研究協力として,中国敦煌文化財保存修復に関する調査研究,南アジア仏教遺跡の保存整備に関する基礎的調査研究等の事業を行っており,平成2年度には東京国立文化財研究所にアジア文化財保存研究室を設置するなど,文化財保存修復の国際的協力センターとしての機能の強化・,充実を図っているところである。


(5) 国立劇場

特殊法人日本芸術文化振興会が我が国の伝統芸能の保存と振興を目的として設置している国立劇場(本館,演芸資料館,能楽堂,文楽劇場)においては,古典の正しい保存と伝承を心掛けた伝統芸能の自主公演を行うとともに,歌舞伎,文楽,能楽等の伝承者の養成,伝統芸能に関する調査研究,資料の収集等の事業を行っており,我が国の伝統芸能の保存・振興の拠点として,大きな役割を果たしている。

平成元年度には,歌舞伎「霊験亀山鉾」の57年ぶりの復活上演を始めとする157公演(1,024回)の自主公演を行うほか,伝承者養成事業として,歌舞伎俳優第10期研修生10名,能楽第1期研修生7名ほかの研修修了生を出すなど,伝統芸能の保存伝承事業を実施した。


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