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2部   文教施策の動向と展開
第7章  文化の振興
第5節  国語施策,著作権施策及び宗務務行政の推進
2  著作権制度の整備



(1) 著作権思想の普及

著作権制度は,小説,絵画,音楽などの著作物の創作者である著作者の権利(著作権)や,著作物を公衆に伝達している実演家,レコード製作者,放送事業者等についての権利(著作隣接権)を定め,人々が著作物等を享受する際の公正な利用にも留意しつつ,著作者等の権利を保護することにより,我が国の文化の発展に寄与することを目的とするものである。

著作権思想は,着実に社会の各方面に定着しつつあると考えられるが,著作権制度は文化創造の基盤としても重要なものであり,より一層人々の理解を求めていく必要がある。このため,文化庁では,各種の講習会を開催しているほか,(社)著作権資料協会(著作権関係法令等の研究,資料の収集整備を目的とする公益法人)とも協力しつつ,著作権に関する資料(著作権法の解説書や,まんがやイラストを活用したガイドブック等)の作成・頒布を行うなど,著作権思想の普及に努めている。


(2) 著作権制度の改善及び今後の課題

現行著作権法は,昭和46年1月に施行され,既に19年を経過しているが,この間における複製技術,情報処理技術,電気通信技術などの発達は目覚ましく,これに伴い著作物の新しい利用手段や伝達手段等の開発・普及が急速に進んでいる。このため,現行著作権法制定以後生起した新たな課題や,国際的な課題となっている事柄については,順次,著作権審議会の審議も経て,法改正を行うなどの対応に努めてきたが,今後とも次のような問題に対して的確に対応していく必要がある。


1) レコードの保護関係

レコードの保護期間については,昭和63年1月にまとめられた著作権審議会の審議結果を踏まえ,同年の著作権法の一―部改正により,それまでの20年から30年に延長したところであるが,同審議結果において「今後とも国際的な状況の変化や著作物等の利用手段の発達等,環境の変化に応じて検討を行うことが適当である。」とされており,また,諸外国における保護の状況や,平成2年末を交渉期限とするガットのウルグアイ・ラウンドのTRIP(知的所有権の貿易関連側面)交渉の動向をも踏まえ,適切に対処する必要がある。

また,我が国は,昭和53年に「許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約」を締結し,同年以降に固定された外国レコードについては,同条約に基づく保護を与えており,さらに,昭和53年以前に固定された外国レコードについても,著作権法第121条第2号により,実質上,相当程度保護してきたところである。しかし,同号は,国内のリプレッサー(レコードの原盤の提供を受けて商業用レコードを製作するレコード会社等)が製作した商業用レコードからの複製・頒布を禁止する規定であり,デジタル録音等複製手段が発達している現在,輸入盤レコードからの複製が問題となっており,現行規定のままでは対抗できないため,その是正が必要となっている。

以上のようなレコードの保護問題について,著作権賽議会で平成2年6月から検討を行っている。

また,レコードの貸与(レンタル)については,昭和59年の法改正により,著作者,実演家及びレコード製作者に貸与権等が付与された。しかしながら,外国の実演家及びレコード製作者については,貸与に関する権利が著作隣接権に関する条約上の義務とはなっていないことや,国内においてレコード製作者と貸レコード業者の間でレコードの貸与禁止措置をめぐって争いがあり,利用関係において混乱が著しいことから,この権利を認めるに至っていない。

文化庁としては,著作隣接権保護の一層の充実と国際協調の推進を図る観点から,貸レコードについての円満な利用秩序が維持,形成されることについての見通しが得られ次第,外国の実演家及びレコード製作者に対しても貸与に関する権利を与える必要があると考えており,関係者間における協議の促進について指導助言している。


2) 出版者の保護関係

複写機器の発達,普及に伴い,出版物からの複写複製が頻繁に行われ,出版者の出版活動に影響を与えているが,出版物の複写利用に関し,現行著作権法上,出版者は独自の権利を認められていない。このため,著作権審議会は,出版者の法的保護の問題について,昭和60年9月から検討を行っていたが,平成,2年6月,出版物の複写利用者に対して報酬を請求することができる権利を出版者に認めることが適当であるとする報告書を取りまとめ,公表した。


3) 私的録音,録画関係

個人的に又は家庭内で使用することを目的として行われる著作物の録音,録画については,私的使用のための複製として,著作権者等の許諾を得る必要はないこととされている(著作権法第30条)。しかし,録音・録画機器の著しい発達に行われるようになり,著作権者等の経済的利益が脅かされているのではないかとの指摘がある。このため,著作権審議会では昭和62年8月から小委員会を設置して検討を行っている。

これまでのところ,著作権者等の利益を保護するため,録音・録画機器又は生テープに―定の報酬を上乗せし,これを著作権者等に還元する、という報酬請求権制度を導入している西欧諸国の状況などに留意しつつ,との報酬請求権制度を導入するとした場合の具体的問題点等について検討を進めている。


4) コンピュータ創作物関係

近年におけるコンピュータのハードウェア,ソフトウェアの両面にわたる開発,普及は目覚ましく,著作物等の作成過程において,コンピュータが利用されることも多くなってきている。このため,コンピュータを用いて作成される「コンピュータ創作物」に関する著作権問題について,著作権審議会は,昭和61年3月から検討を行っている。

検討内容は,コンピュータ創作物の現状及び今後の発展動向のほか,コンピュータ創作物の著作物性や著作者の同定の問題,そのほかコンピュータ創作物に関する著作権問題全般についてである。


5) コンピュータ・プログラムに係る著作権問題

コンピュータ・プログラムの開発には多大の知的労力と経費を必要とする―方,それを複製することは比較的簡単であるため,コンピュータの急速な普及に伴い,コンピュータ・プログラムの無断複製等の紛争が多発し,プログラムの適切な法的保護の確立が重要な課題になった。

そのため,昭和60年の法改正により,コンピュータ・プログラムの著作権法上の保護の明確化を図ったところである。しかし,プログラム関連の産業は近年急速に発展したものであり,プログラムの著作権に関する判例も少なく,また,プログラムの作成や利用にかかわる関係者の著作権に対する意識も高いとはいい難い面があり,著作権法の運用面における課題が残されている。このため,文化庁では,学識経験者や実務家の協力を得て,昭和62年12月から,「コンピュータ・プログラムに係る著作権問題に関する調査研究協力者会議」を開催し,保護されるプログラムの範囲やプログラムの委託開発等における権利関係の明確化など,プログラムの著作権の保護に関する諸問題の調査研究を行っており,その解釈・運用について一層の明確化が図られるよう努めている。


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